中間流通が生き残るための物流戦略  ~3つの戦略ポイント~ (3)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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中間流通が生き残るための物流戦略  ~3つの戦略ポイント~ (3)

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越境EC(えっきょーいーしー)という単語をご存知でしょうか?
インターネット通販サイトを通じた国際的なECのことです。

またの名をクロスボーダーECと言います。

この越境ECの先進的な取り組みとして、昨年の6月に経済産業省が作成した「将来に向けた意欲的
なチャレンジの事例」レポートに日本のアパレル企業の海外進出を支援する事例が紹介されています。

東京都の株式会社アパレルウェブ(http://www.apparel-web.co.jp/)は、2012年10月にシンガポールの
大型ショッピングモール「プラザシンガプーラ」に「JRunway」というお店をOPENしました。

この「JRunway」は実店舗であり、渋谷や原宿で人気の日本のファッションアイテムを取り揃え、現地の
人気ブロガーやSNSと連携し情報を発信してきました。

その2年後の2012年に越境ECサイト「JRunway.com」をオープンし、さらに2015年にはシンガポールの
郵便事業会社であるシンガポールポスト社と業務提携し、ASEAN地域に商品の配送をしています。

これまでは国内でECサイトを運営する企業が越境ECに移行するには3つの大きな壁があると言われて
きました。1つは”言語の壁”、2つ目が”決済の壁”、そして最後の3つ目が”物流の壁”です。
この3つの壁は自社や国内の既存の物流会社では対応ができずに大きな壁となっていました。

しかし、この越境ECサイト「JRunway.com」に参加した企業はこうした壁を一気になくすことができます。
注文が入ると、商品を国内の指定倉庫に納品するだけでASEAN全域へ商品を販売することが可能に
なるのです。

新たに多言語対応のサイト構築や、国境を越えた物流網の構築を行う必要がない為、低リスク&低コス
トで販路を海外にまで拡大できるのです。

こうした”越境型ECモール”は今後も急拡大するとみられ、国内だけでなく、ASEAN全域、いずれは全世
界に国境のないグローバルビジネスが展開できることになり、今後の動向が注目されます。

 

***ITを物流に効果的に活かせるか否かが鍵***

 

さて、前回に続いて廃業していく卸売業と生き残り発展する卸売業とを明確に分岐させている経営戦略の
ポイントを整理してご紹介します。

まずはその3つのポイント(要諦)ですが、

『1.物流オペレーションの基礎力』

『2.物流オペレーションを支えるITの構築力』

『3.ITによるリテールサポート力』

であると前回の記事でもご紹介しました。

この3つの要諦の有為、実行の成否によって、生き残る卸売企業と廃業に追い込まれる卸売企業に分か
れるというのが筆者の考えです。

今回は『2.物流オペレーションを支えるITの構築力』について説明を進めます。

卸売企業の原点でもあり存在価値でもある物流。その基礎力は、日々のオペレーションの効率化と改革の
積み重ねです。

「大事をなそうと思ったら、小さなことでも怠らず努力することだ。すべてものごとは小が積もって大となる」

かの二宮尊徳も日々の積み重ねが大事を成すと私達に教えてくれています。

そして日々の効率化と改革を推し進めるには、今やITの力は不可欠です。
ITを物流に効果的に活かせるか否かが、卸売企業の将来の隆盛を左右すると言っても過言ではないから
です。

 

***変化の激しい物流に柔軟に対応できる物流ITの構築力とは?***

 

では、今回のテーマでもある”ITの構築力”とは具体的にはどういったことを指すのでしょうか。

それは物流IT構築に関する「コスト」と「スピード」です。

いかに競合他社より低コストで、スピーディにITを構築出来るかが重要になります。

今や物流の進歩は日進月歩です。この変化に柔軟に対応していくためには、物流ITも同じ
スピードで進化させていかなければなりません。

多くの企業では、受発注や在庫管理の為の基幹システムにカスタマイズをして、物流オペレ
ーションを無理やり行っています。しかしこれではコストもスピードもかかってしまい、対応しき
れなくなってきます。

変化の激しい物流に柔軟に対応できることが、物流システム(WMS等)の一番重要な要素です。

基幹システムをカスタマイズするとなると時間も費用も膨大にかかります。

物流現場から改善提案が情報システム部門に上がり改善提案をまとめても、結局予算が合わ
ず経営層から却下され、現場のフラストレーションが溜まっている企業をいくつも目にしてきました。

物流情報を基幹システムに頼っている限り、物流オペレーションの高度化には限界があります。
基幹システムと物流システムは、お互いの依存度を低くする為に切り離すべきです。
この視点に立つことがIT構築力を高める為のスタートとなります。

 

***基幹システムと物流システムを切り離すことで全体最適へ***

 

よく基幹システムの機能の一部として物流機能を保持すれば、無駄なマスタ連携や実績連携が必要
なくなる為システムを最適化出来るという話を聞きますが、それは部分最適な考え方です。

販売管理(基幹システム)と物流システム(WMS)のお互いの依存度を低めることにより、低コストでスピ
ーディな物流システムを構築でき、それが全体最適に繋がります。

在庫のリアルタイム管理、ロットの在庫引当の柔軟性、受注状況に応じた物流指示の柔軟性など、高
度な物流管理は情報と物流を同期させなければなりません。

そもそも会計や販売管理と物流では、在庫を扱う視点がまるで異なります。
会計や販売管理では、在庫を『お金』の視点で捉えますが、物流では、在庫は『モノ』の視点で捉えます。

この辺りについての具体的な説明は今回は省略させて頂きますが、ご興味のある方は下記URLより
「基幹システムとWMSを切り離す理由」という資料が無料ダウンロードできますので、是非ご参考下さい。
https://www.inter-stock.net/flow/request/

物流システム(WMS)を基幹システムと切り離すことによって、情報の主導権も変わります。
基幹システムのおまけ機能として物流機能が存在する場合、物流の情報は販売や営業に主導権が渡っ
てしまいます。物流システムを切り離すことで、物流の情報を物流部門が主導権を握ることができるよう
なります。

そして、現場の作業者に負担をかけることなく、日常業務をこなしながら、KPIを取得できるようにします。
こうした改革を成功させることで、「理想」と「運用」と「教育」の一貫性が保たれた効果性の高い物流シス
テム(WMS)の構築が可能になり、卸売企業の存在価値は揺るぎないものになると確信しています。

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