第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(2)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(2)

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*** いま私たちの身の回りで何が起こっているのか? ***

 

IoT、ビッグデータ、人工知能(AI)等の技術革新により”第4次産業革命”と呼ばれる時代が到来しています。

前号より2017年5月30日に経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン」の内容を簡潔に要約しながら、来る第4次産業
革命で何が起こるのか、そしてそのチャンスをロジスティクス領域でどのように活かすことが出来るのかを考察していきます。

第4次産業革命をもたらすIoT、ビッグデータ、人工知能(AI)などの新たな技術は、これまでになかったビジネスモデルの出現、
新たな需要の発掘、自律的な最適化を可能にする産業を生み出すことが期待されています。

前号でもお伝えしましたが、こうした産業革命のチャンスを自らのビジネスに活かす為には、情報を集めて”知る”ことが重要
です。知らなければ活用のしようがありません。

いま、私達の現実世界ではいったい何が起こっているのでしょうか?それぞれのキーワードの説明を交えながら簡単に
説明します。

 

*** モノのインターネットと呼ばれるIoT ***

 

IDCのデジタル・ユニバースに関する調査(Extracting Value from Chaos)によると世界中のデータは2年ごとに倍増していくと
予想しています。

ハードウェアの処理速度も飛躍的に向上し、実社会のあらゆるモノがインターネットに接続され、単につながるだけではなく、
倍増していく大量の情報を相互に交換し、自律的に世の中を最適化していきます。

これがモノのインターネットと称されるIoT(Internet of Things)です。

これまではヒトがインターネットにPCやスマフォを介して接続し、世界中の情報を活用してきました。
しかし、その情報量が2年ごとに倍増していくとなると、ヒトがその情報を活かすにも限界があります。

モノがインターネットに接続し、世界中の大量のデータを自律的に活用する時代を迎えています。

 

*** ビックデータとは巨大なデータのこと? ***

 

この世界中で蓄積されている大量のデータを”ビッグデータ”と称しますが、単純にこの強大なデータのことを指すわけでは
ありません。

従来のデータ活用というのは、データベースが主流でした。分かり易い例で言えば、マイクロソフト社のSQLServerやオラク
ル社のORACLEなどがそれにあたります。EXCELなんかも使い方によっては簡易なデータベースになります。

このように決められたフォーマットで構造化されたデータを私達はこれまで利用してきたわけですが、ビックデータでは非構
造化データを扱えるようになりました。

みなさんがツイッターでつぶやいたり、スマフォのGPS機能を利用したりしたデータは全て世界のどこかに保存されています。
こうした様々システム、あらゆるフォーマットの非構造化されたデータを活用する技術のことをビックデータと呼びます。

 

*** 人工知能(AI)の進化は非連続的に進む ***

 

2017年5月23日、人類最強といわれる囲碁棋士、柯潔(か けつ)がDeepMindが開発する囲碁AIの「AlphaGo」に敗れました。
このニュースを見て世界中の人々は、AIの未知なる可能性に対する期待と、言い知れぬ恐怖を覚えたことでしょう。

今後もAIの進化は”ディープラーニング”等の技術により非連続的に発展・進歩していきます。
ディープラーニングとは機械学習の一部であり、日本語では”深層学習”と訳します。

”機械学習”というのは、コンピューターが人間にプログラムを与えられることなく、自己学習して自分でプログラムを作り上げ
ることです。

ディープラーニングはその機械学習の中の一つの技術であり、計算処理を何段にも重ねて多階層で同時に処理を行い、これ
まで1段階の処理では導き出せなかったような結果を得られるようになります。

ハードウェアの処理速度の向上と、インターネットなどを介した大量のデータ収集がAIの進化を今後もさらにスピードアップさせ
ることは間違いありません。

 

*** 第4次産業革命とはデータの利活用である ***

 

ここまで説明して一つ言えることは、”第4次産業革命”とはデータの利活用であるということです。
データの重要性と、データ活用が社会に与える影響は今後益々高まっていきます。

これまでは、各企業が構造化されたデータベースを活用して閉ざされた中でデータを活用をしてきました。
今後はデータの協調型社会が到来します。戦略的にデータをオープン化し、各社の様々なデータが流通市場を介して共有される
ことで、様々なイノベーションが生まれることでしょう。

そして、筆者は「流通市場でのデータ活用の主導権は物流が握る」と確信しています。その点については、今後どこかの機会で詳
しく説明したいと思います。

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