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第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(4)

mailmaga94

筆者が一人暮らしをしていた頃ですので、大分昔の話になりますが、真夜中に急に絆創膏(ばんそうこう)が
必要になり、持ち合わせがなく困ったことがありました。

「もしかしたらコンビニにあるかも」と、近所のセブンイレブンに行き、店員のお兄さんに「絆創膏ってないです
よね?」とドキドキしながら聞くと、「ありますよ」と涼しい顔で返事が返ってきました。
このとき、コンビニの底力を感じたものです。

私達が日頃よく利用するコンビニには1店舗当り約2500程の商品が並べられてあるそうです。

今思えば、顧客の細かいニーズに合わせて、これだけの商品点数を毎日運ぶ仕組みがあるからこそ、
真夜中にも関わらず絆創膏を手に入れることができ、出血から数分後には止血できたのだなと思います。

東日本大震災の経験を思い起こしてみてください。被災地から離れた首都圏のスーパーやコンビニから商品
が消え、モノ不足のパニックが起こりました。

買い溜めする人が多かったことも要因の一つですが、輸送路の断絶により物流機能がストップしてしまった
ことが大きな要因です。

食料品や生活品が手元に届かなければ、日々の生活を送ることが出来ないという当たり前のことを経験し、
私達の生活は「物流」によって成り立っていると、誰もが痛感したのではないでしょうか。

しかし、「喉元過ぎれば熱さ忘れる」ではありませんが、この震災の経験を我々は十分に活かしきれていない
ように思います。

最近ではモノを運ぶための流通システム全般を称してロジスティクスと呼ぶことも増えていますが、日本にロジス
ティクスなるものが最初に確立したのは江戸時代だと言われています。

当時の物流は廻船輸送が全てでしたが、江戸時代から明治初頭まではこの廻船による輸送が華やさと期待を
持って商業世界に根付いていました。

司馬遼太郎の「菜の花の沖」という歴史小説にも、廻船で世界を股にかけ活躍する高田屋嘉兵衛(たかたや かへえ)
という傑物が、現代の日本人が忘れかけているロマンとともに力強く描かれていることからもその事実を伺い知ること
が出来ます。

日本では戦後から今日までロジスティクス軽視の時代が長く続いてきました。
第4次産業革命により、江戸時代の頃のようなロジスティクス全盛時代が復活すると筆者は信じています。

 

*** 課題3:世界から取り残される科学技術・イノベーション力 ***

 

前号では、経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン」の内容の中から、超スマート社会実現の前に立ちはだかる
”5つの課題”のうち、2つについて解説をしました。今回は残りの3つの課題について説明します。

科学技術・学術政策研究所による調査では、被引用度の高い論文の数において、日本は世界で10位だそうです。
10年前に同じ調査で4位だったことから、科学技術立国としての世界的な地位が低下しているのではと懸念されています。

理工系を先行する学生の数も米国などと比較すると圧倒的に少なく、このままでは科学技術分野において世界から
取り残されてしまいます。

日本の強みの1つは、先進技術をいち早く取り込み、モノをグローバルに展開・刷新していく力です。
これまでも新たな技術を現実の世界に積極的かつスピーディに活用し、グローバルな課題を解決して経済大国として
世界をリードしてきました。

企業や大学などの教育機関が一体となって、新しい価値の創造と技術の進化を促進し、変化を生み出す側に立たなけ
ればなりません。

 

*** 課題4:不足する未来に対する投資 ***

 

日本が抱える社会的・構造的課題の一つに少子高齢化の問題があります。 

国立社会保障・人口問題研究所の調査で、社会保障給付費が2010年度に100兆円を突破したと発表されました。
一方で社会保険料や公費などの社会保障財源は年々減っており、財源に見合った給付の抑制が急務といった状況です。

また同機関による別の調査において、2030年に日本国民の3人に1人は65歳以上という超高齢化社会を迎えることが
予測されています。

こうした財源の不足により未来に対する積極的な投資が国を上げて進んでいかないのがこの国の実状です。

また大学などの資金力や資金調達の多様性においても、米国のカルフォルニア工科大学やハーバード大学、
イギリスのオックスフォード大学などに比べて日本の東京大学などは非常に恵まれない環境にあるといえます。

第4次産業革命において情報活用の主導権を握って行くためには、未来に対する積極的な投資が不可欠となりますが、
この点においても大きな課題を抱えていると言えます。

 

*** 課題5:データ活用×AIを使いにくい土壌 ***

 

データ活用において、保有するデータ量が多いに越したことはありません。AI等を活用した様々な分析についても、
データ量が多ければそれだけ沢山の試行錯誤と、多様性に富んだ分析結果を手にすることが出来るからです。

しかし、この保有するデータ量についても日本は米国企業などのITの巨人を有する国に比べて大きく遅れをとっています。
Google検索の月間利用者数は10億人ですが、日本のYahooは0.7億人です。SNSで見ても、facebookの月間利用者数が
12億人に対して、ミクシィでは0.1億人です。

Eコマースでは、Amazonの月間利用者数が2.4億人に対して、楽天は0.3億人です。

また日本企業のIT活用は過度な「自前主義」が欧米諸国に比べて躊躇であり、オープンなデータ利活用に関する理解度
も低いのが実状です。
何度も言うようですが、第4次産業革命の鍵がデータの利活用である以上、こうした土壌や風土は大きな課題と言えるでしょう。

 

*** まとめ ***


日本では、アスクルなどの一部の企業がAI等の新しい技術を積極的に物流に活かそうと試みています。
しかし、大学などの教育機関では、このロジスティクス分野に対する科学技術の研究や教育は中国などに比べて大きく遅
れをとっています。

ロジスティクス分野における新技術の応用とエンジニアリングについて、産学共創でこうした課題に取り組んでいかなけれ
ば、江戸時代のようなロジスティクスの復活は叶いません。

次回はこれまでに説明した5つの課題に対して、我が国の基本的な戦略について詳しく説明します。

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