「働き方改革真っ只中」長距離輸送が抱える時間外労働の課題に荷主が取り組むべき対策について考える|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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「働き方改革真っ只中」長距離輸送が抱える時間外労働の課題に荷主が取り組むべき対策について考える

 

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画像素材:PIXTA

 

出張や客先への移動でよく都内のJRや地下鉄に乗る機会があります。
つい先週も山手線や東海道山陽本線を利用させて頂きました。

ちょうど朝の通勤ラッシュと重なったため、多くの人が「始業に遅れまい」と我先に列車に突っこんでいく姿を目にしました。
人を押しのけ車掌さんの「無理なご乗車はお止め下さい」という警告も無視して無理矢理乗り込んできます。

筆者もその中に詰め込まれすっかり都会の風景の一部と化してしまいました。
会社に勤めていると始業時間が決められていますので、そこに人が集中するのは無理もないことです。

とあるアンケート調査によると、会社の始業時間のトップ3は以下の回答でした。

1位 9:00始業
2位 8:30始業
3位 9:30始業

この時間帯で全体の7割を占めています。
全ての通勤が電車ではありませんが、これだけ多くの人の移動を支える日本の鉄道はホントにすごいなと感心させられます。

満員列車に揺られながら「なぜ都内の企業は始業時間をずらさないのだろう?」と疑問に思いました。
会社に着いた時点ですでにヘトヘトになっていれば、仕事の生産性も上がりません。
毎朝、心にゆとりを持って気持ちよく出勤出来ればどれだけその日の仕事が効率良いものになるでしょうか。

朝は個人の通勤ルートによって、変則にする方法がスタンダードになれば、通勤ラッシュは大分軽減されるのではないでしょうか。

 

***働き方改革はお客様のニーズを無視出来ない***

 

いま政府が働き方改革を推進しています。
プライベートと仕事の両立が出来て、働く人の負担を減らしながら、生産性も上げていく働き方改革の実現は安倍政権の成長戦略の中核でもあります。

成長戦略の目的の一つである潜在成長率を引き上げるには、働き方を改革することで働く人の潜在的な力を発揮してもらう必要があります。

物流業界においては、長時間労働の問題が深刻化しています。
こうした労働者の負担が浮き彫りになっている今がまさに改革のチャンスです。
しかし、物流事業者だけがいくら働き方の改革に取り組んでも荷主側の都合がこれまでと同じであれば、思うように改革は進みません。

何故なら「働き方」についての取り組みは”社員のニーズ”や”企業のニーズ”も重要ですが、”お客様のニーズ”をベースに考えなくてはならないからです。
働き方を自社の社員や自社の都合をベースに改革した結果、お客様の満足度を低下させるようなことになってしまえば本末転倒です。
業績が不振に陥ってしまえば、働き方の改革どころではなくなってしまいます。

物流事業者と荷主が一緒になって働き方改革の実現に取り組むことで、物流業界のみならず、経済全体の潜在成長率の引き上げに貢献することが出来るのです。

 

***荷主側で取り組むべき対策とは?***

 

それでは、物流事業者の長時間労働の問題について荷主側で取り組むべき対策をいくつかご紹介します。

 

一つ目は「共同配送」です。
共同配送は商材に関係なく複数の荷主の考えがマッチすれば実現が可能です。
実は意外と簡単に実現可能なのですが、「似た商材でないと難しいのでは・・」、「時間や場所がマッチングする荷主は少ないから・・」など誤った認識により未だに多くの企業が実施出来ていないのが実状です。

ただし、荷主主導で共同配送を実現するには、いくつか難しい点があるのでも事実です。
まず他企業の情報を得ることが難しい為、提携先企業とのマッチングが困難です。
また上手く提携先が見つかってもお互いの都合を優先して結果的に話がまとまらないケースもあります。

共配については、荷主側が積極的に物流事業者に働きかけ、物流事業者の主導による提案を受けて進める方法がベストです。
共同配送により無駄のない輸送が実現出来れば、その分物流事業者の負担は減ることになります。

 

二つ目は「在庫拠点の分散」です。

そもそも長時間労働を引き起こす原因は長距離移動にあります。
この根本的な問題を解決するには在庫拠点を見直す必要があります。

以前は在庫を一点に集約させることで在庫を削減する戦略が主流になっていましたが、最近では在庫拠点を分散させ、リードタイムを優先する戦略が主流です。
また在庫管理システムや物流システムも進化しているため、複数拠点の在庫を一元管理することで、無駄な在庫を持たなくてもよくなったこともその要因でしょう。

在庫拠点を分散させることで、長距離輸送を必要最低限に抑え、短中距離輸送に切り替えることが可能となり時間外労働を減らすことが出来ます。

 

三つ目は「輸送手段の切り替え」です。モーダルシフトと言われる方法です。
誰もが輸送手段考えるとき、どうしてもトラックがまず頭に浮かびます。
しかし、よくよく考えてみるとトラック以外で運んでも問題のないケースも多くあるのです。

船や鉄道で運べば環境にも優しく、大量の荷物を運ぶ場合にはそちらの方が断然適しています。

ではどのような場合に船や鉄道での運搬が適しているかをご紹介しましょう。

 

1.1度に輸送する量が大口

2.単一温度帯の荷物

3.品質劣化の危険性が低い荷物

4.リードタイムに余裕がある

 

また鉄道は長距離輸送の場合、トラックよりもコスト競争力が高いのも魅力です。
年間を通して定時運行を確保できるので、工場の生産計画などと合わせて計画的な供給ラインを構築出来るのも魅力でしょう。

 

***終わりに***

 

働くことに重要な価値を置き、誰もが多様な働き方で社会に貢献し、相互に思いやり、助け合い、自己実現が可能な社会にするためには、常態化した長時間労働は足元の大きな課題と言えるでしょう。

働き方改革は一億総活躍社会の実現に向けた我々が今取り組むべき大きなチャレンジですから、是非みなさまも本気で考えて自社に出来る取り組みを始めて下さい。
合わせて都内の企業のみなさまが始業時間を変則化することで、朝の通勤ラッシュが少しでも軽減することを切に願います。

 

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