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国際物流大手UPSの「日本の製造業の国際物流調査報告」から読み解く物流戦略(1)

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画像素材:PIXTA

 

筆者は生まれも育ちも広島県で、今仕事をさせて頂いている会社の本社も広島県広島市に拠点を置いています。
両親も先祖もずっと広島ですから、広島という存在そのものが約30億個のDNAに刻まれています。

そんな先祖の代からお世話になっている広島は戦後、製造業によって躍動しました。
その製造業の代表格は言わずと知れた自動車と造船です。
広島県に本社を置く「マツダ」は創業当初はコルク生産を主に行っており社名も「東洋コルク工業」でした。

1931年に3輪トラックの生産を開始し、その後自動車製造を開始し、1967年5月には世界初となるロータリーエンジンを搭載したコスモスポーツの販売が開始されました。

発売から約4年前の1963年に開催された全日本自動車ショーで、当時社長であった松田恒次氏がコスモスポーツに乗って表れるという演出は当時話題を呼びました。

原爆投下によって焼け野原になった広島は、自動車製造と造船業によって躍進し、県民の一人あたりの所得は10年間で6倍も上昇したのです。

 

*** ものづくりグローバリゼーション ***

 

広島が戦後、急速に復興を遂げた背景には製造業が支えになったことは冒頭に書いた通りです。

そして我が国日本の経済を長年支えてきたのもまきれもなく「製造業」です。
日本人が持つ”高い技術力”と”高品質”に対するこだわりと情熱は「ものづくり」という愛着と尊敬を込めた呼び名で世界から高い評価を得ています。

しかし近年では、日本の製造業と世界市場との関係性には変化が生じ始めています。
国内企業の生産拠点も少子高齢化による人手不足、高賃金、厳しい労働規制や環境規制等の理由から海外へシフトしています。

国際物流最大手のUPSがこのような「ものづくりグローバリゼーション」の渦中にある日本のものづくり産業について、物流&ロジスティクスの観点から現状と課題を調査した報告書「日本の製造業の国際物流調査報告」を手に取り、皆さんと一緒に今後の製造業の国際物流戦略の在り方と課題について考察をしていきたいと考えています。

 

*** 国際物流の取引先は中国から東南アジアへシフト ***

 

「日本の製造業の国際物流調査報告」は、海外と物流取引を持つ日本国内の製造業に勤める約1000人のアンケートを元に国際物流の現状と未来、そして課題についてUPSが独自にまとめた資料です。

先進国と新興国の製造コストには格差があります。
先進国はそうした新興国に生産拠点を置くことでコスト競争力を持つことができます。
先進国はこうした新興国を常に探し、新興国は先進国との取引を拡大し、お互いがWIN-WINの関係を構築します。
こうした流れはこれからも永く変わらないでしょう。

これまで輸出入ともに日本の最大の取引相手が中国でした。
しかし近年はベトナムやミャンマーといった成長著しい東南アジア諸国に期待が集まっています。

海外との物流取引がある企業は、輸入が70.5%(中小企業67.6%、大企業73.3%)、輸出が81.2%(中小企業72.2%、大企業90%)で、大企業では9割の企業が輸出を行っていると回答しました。

輸出国として最も多いのが中国で81.3%、続いて東アジア67.3%、東南アジア65.7%と続きます。
ドイツやイギリスなどの欧州に輸出しているのは大企業が多く、アジアに輸出しているのは中小企業が多いのが特徴です。

輸入についても中国が76%で最も多く、アジア全域では91%が輸入を行っています。
こちらも輸出同様、大企業は欧州などを含めてグローバルに取引しているのに対して、中小企業はアジアを中心に取引しているのが特徴です。

海外展開における日本の強みは「技術力」、「製造力」、「企画・開発力」であり、弱みは「交渉力」、「意思決定力」となっており、中でも最も大きな弱みは「価格競争力」となっています。

技術力が強みだとの回答が83.6%で、価格競争力が弱みと回答したのが59%でした。

 

*** 日本を介さない三国間輸送が主流に ***

 

上に書いた日本の強みを生かしながら、弱みを消していく為に、国際物流はその形態を少しづつ変化させつつあります。

本報告書のアンケート調査の回答で、海外取引の今後の予測において、日本を介さない三国間輸送が増加するだろうとの予測回答は注目すべき点です。

これまで日本の貿易と言えば、海外から資材や部品を輸入して、日本国内で製造し、完成品を輸出する形態が主流でした。
しかし今後は国内や海外で部品を調達し、海外の生産拠点で製造し、海外に販売するという日本を介さない三国間輸送が増えていくと予想されています。

これまでは輸出の多くは完成品でしたが、今後は資材や部品の輸出が増えてきます。
こうした流れを受けて、日本企業の国際物流の在り方も当然変わってきています。
これまでは完成品を海外で売る為の「販売物流」が主流でしたが、今後は海外で作る為に海外の製造工程へ部品を届ける「生産物流」へと変化していきます。

つまり国際物流が販売から生産へとシフトすることにより、生産ラインの一部となるのです。
サプライチェーン全体で見渡した場合、国際物流は末端から中核にポジションチェンジしていきます。

そうなれば、生産ラインに直結する為、そのマネジメントはダイレクトに品質や生産能力に直結してきます。

これまでとは全く異なった視点での物流戦略が求められることは自明の理です。
次回は国内の製造業が、サプライチェーンの中核に変容する国際物流をどのように戦略構築すれば良いのかについて考察します。

 

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