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国際物流大手UPSの「日本の製造業の国際物流調査報告」から読み解く物流戦略(2)

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画像素材:PIXTA

 

私達の身の回りを見てみると、工場で作られた製品に囲まれて暮らしていることに気づきます。
自動車、パソコン、テレビ、携帯電話などなど・・・こうした製品は必ず工場で作られ、私達の手元に届きます。

商品が企画され、設計図が仕上がり、必要な部品が調達され、設計図の通りに組立され、販売先に運ばれ、店頭に陳列され、消費者である私達の手に渡ります。
工場で製造される製品はこのように実に沢山の工程を経て社会に豊かな暮らしを供給してくれています。

サプライチェーン・マネジメント(以下SCM)は、1980年代にアメリカで提唱され、その後2000年代にかけて日本でも広まり、今現在多くの企業で日々、全体最適に向けた取り組みがなされいることと思います。

しかし、昨今ではグローバル化が進みSCMも複数の国をまたぐことで複雑化しており、国際物流を念頭に置いた全体最適の取り組みは企業の重要課題となりつつあります。

本稿では、前回に続いて国際物流最大手のUPS社が作成した「日本の製造業の国際物流調査報告」を手に取り、皆さんと一緒に今後の製造業の国際物流戦略の在り方と課題について考察をします。

 

*** グローバル化により複雑さを増すSCM ***

 

これまでも多くの専門家がSCMについて語ってきました。

そうした専門家の貢献も手伝って、今では多くの製造企業が部分最適による効率化ではなく、調達、生産、販売までを含めた全体最適についての意識が高まりました。

ロジスティクスはこのSCMの一部であり、経営資源をスピーディにサプライ(補給)することで競争相手より優位に立つことが出来ます。
いくら最前線に良い商品と強い営業力があっても、肝心の商品が需要に合わせて供給されなければ何の意味もありません。

日本の製造業の海外生産拠点は今後も引き続き増加していくと予想されます。
UPS社が作成した「日本の製造業の国際物流調査報告」のアンケート調査によると、大企業では50%、中小企業でも20%が海外の生産拠点が今後も増加していくだろうと予測しています。

これまで日本の物流は「調達物流」、「販売物流」が主流でした。海外と取引する国際物流においてもこのいずれかに該当していました。
海外から資材や部品を調達する「調達物流」、完成品を海外へ輸出する「販売物流」といった具合です。

しかし同報告書によると、今後は日本を介さない物流取引である”三国間輸送”が増加すると予想しています。
大企業の45%がこの三国間輸送が増加すると回答しています。
※三国間輸送については前回の記事をご参考下さい。
http://www.inter-stock.net/column/no172/

三国間輸送が主流になると、これまでのSCMの概念に「生産物流」が加わり、より複雑さを増していくことになります。
そうでなくとも、物流の概念はロジスティクスというマネジメント概念によって、より複雑になっています。
製造業にとってロジスティクスはこれまで以上にやっかいで手応えのある経営課題になっていくことでしょう。

 

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*** ものづくり企業のコスト管理意識は高い ***

 

同報告書のアンケート回答によると国際物流業務で重視する点、または課題と思う点について企業の規模や業種を問わず最も多かった回答は「物流コスト」でした。
これは日本のものづくり企業のコスト管理意識の高さを示す結果となりました。

グローバル化が進み三国間輸送が主流になってくると、航空貨物輸送、海上貨物輸送など異なる輸送モードを選択するマルチモーダル化が必要になってきます。
当然サプライチェーンは複雑化し、物流コストを削減する為には、より高いレベルでの効率化と最適化の仕組みが求められます。

物流を単なる”コスト”として取り扱うのではなく、SCM全体として、生産計画や各拠点の在庫を含めてトータルで俯瞰する必要があります。

コストを考えて海外に生産拠点を置いたにも関わらず、物流コストだけに目を向けた為に、SCM全体としてコストが増えたなんてことにもなりかねません。

たとえ物流コストを削減できたとしても、SCM全体としてコストが高くなってしまわないかを判断します。
物流だけでなく、生産だけでもない、全体最適に導くSCMの視点が不可欠です。

 

*** 三国間輸送が主流になる製造業の物流戦略構築の要諦 ***

 

ここまで述べたように製造業の生産拠点は今後も海外で増加が進み、日本を介さない三国間輸送が主流となり、従来のSCMに「生産物流」を加えたより高度な戦略構築が不可欠となってきます。

その為の要諦は下記の通りです。

1.日本国内のシステムと海外の生産拠点のシステムを統一化
国内で利用しているERPや生産管理システムを海外拠点に導入するのは重要な手段となるでしょう。

2.既存の生産管理システムに国際物流を考慮した機能を追加
生産と国際物流がこれまで以上に密接な関係となり、生産管理の中核にポジションを移すことになる為、その為の機能が生産管理システムに実装されている必要があります。

3.国際物流戦略構築のための執行役員の任命と権限の委譲
最後に筆者が三国間輸送が主流になる製造業の物流戦略構築を行う上で、最も重要な一手と考えるのは、国際物流を企業戦略として実行出来る執行役員の任命です。

 

すでにそうしたポジションに人材を置いている企業においても、より大きな権限を与え、スピーディに決定できる土壌が必要です。

同報告書で日本企業の弱みの一つに「意思決定力」が挙げられていました。海外と取引を円滑に進める為には、スピーディな意思決定力がその成否を左右させます。

マルチモーダルな輸送手段の構築、ネットワークの構築を海外とスピーディに展開する為にはトップと直結する権限委譲が必要不可欠です。

 

*** おわりに ***

 

国際物流をどう活用し、SCM全体としてのロジスティクスに対してどのような戦略をとるかによって今後の国内の製造業の発展に大きな差が生じてくるでしょう。

そして、今も昔も顧客の立場にたって戦略を構築することが、企業成長の原点となるコア・コンピタンスであることに変わりはありません。
国内の製造業が見事に復活することを願います。

 

※※最後まで読んで頂いた方に耳寄りなお知らせ※※

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