「超人手不足」の物流業界はどう変わる?2030年近未来物流の展望(4)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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「超人手不足」の物流業界はどう変わる?2030年近未来物流の展望(4)

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画像素材:PIXTA

 

*** コロンブスに学ぶイノベーションの教訓 ***

 

世界の歴史上、最も偉大なイノベーションは一人の航海士によって生み出されました。
この航海士は1400年代後半に活躍した探検家であり、大航海時代にアメリカ大陸を発見した人物として知られています。
彼の名は、クリストファー・コロンブス。
コロンブスは家業の手伝いで若くして船に乗り、織物や酒・チーズなどを売っていました。

あるときコロンブスは「地球は丸いのではないか」と思いつきました。
当時、地球は平らで海の果てには巨大な滝や魔物がいると考えられていました。
しかし、彼は沢山の書物を読んで勉強しているうちに、地球は丸くて西へと進めばインド諸国に着くはずだと確信するようになりました。

自身の独創的な考えを確認する為に、カスティーリャ王室から援助を得たコロンブスは、約1000人の乗組員と3隻の船を与えてもらって、スペイン・パロス港を出港しました。
西へ西へと航海を続けた彼らは新大陸アメリカを発見しました。
この一人の航海士の話しから、イノベーションに関していくつかの教訓を得ることができます。

 

~教訓其の一:手持ちの地図では新天地にたどり着くことは出来ない~

 

もし、コロンブスが昔からある手持ちの地図を信じて頼りにしていたら、新大陸の発見は出来なかったでしょう。
彼は世の中の常識を疑い、リスクを冒してチャレンジしたことでイノベーションを生み出したのです。

 

~教訓其の二:イノベーションとは発明ではない~

 

コロンブスはイノベーターであり、発明者ではありません。
その証拠に彼は何も発明していません。
地球は丸いという説も彼が人類最初の提唱者ではないし、航海に利用した船や航海に必要な技術も彼が発明したものではありません。
彼は既にある知識や技術を応用して新大陸を発見したのです。

イノベーションとは常識を疑い、すでにある知識や技術を応用し、リスクを冒して挑戦することで生み出されるのです。

 

*** 人口減少時代に注目されるRPAとは ***

 

働き方・休み方の改善は、企業の最大の経営資源である「人材」の能力や経験を引き出し、企業にとっても大きなメリットのある取り組みです。
人工減少時代において、企業の活力や競争力の源泉である有能な人材の確保・育成・定着の可能性を高めるためのイノベーションが求められています。
こうした取り組みの利点は大きく、これを契機とした業務の見直しなどにより、生産性の向上につなげることも可能です。

そのようなイノベーションが求められる中で、ホワイトカラーの生産性を向上させるツールとして最近注目を集めているのがRPA(Robotic Process Automation)です。
RPAとは、簡単に言うとホワイトカラーの単純なルーチンワークを自動化するテクノロジーのことです。

RPAは企業の様々なホワイトカラー業務を自動化出来るということで期待を集めており、実際に人件費を80%以上削減した事例も報告されています。
RPAの導入に向いている業務を下記にご紹介します。

 

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物流領域では、一般的には以下のような処理をRPAで自動化出来そうです。

1.複数のWEBサイトからの情報収集作業
例えば送り状の荷物NOでヤマトや佐川のホームページへアクセスし、発送ステータスを取得する。

2.異なるシステム間のデータ転記
倉庫管理システム(WMS)の出荷実績データをCSVで書出し、ヤマトや佐川の送り状発行ソフトへデータを転送。

3.システムの構造化されたデータからレポート作成
倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システムが管理する出荷実績データや在庫データをエクセル上に転記し、出荷実績レポート
グラフや在庫報告レポートの自動作成。

 

*** オッカムのカミソリを根底から覆す人工知能 ***

 

RPAは最近流行のAI(人工知能)と混同して考えられやすいのですが、RPAは自動実行を主な役割とし、AIはデータの活用を主な役割としている点で異なります。
但し、RPAの活用の先にはAIの応用が期待されているので、今後はRPAとAIの境界はなくなるのかもしれません。
現時点では「定型業務の自動化」がその役割ですが、今後はAIによって様々なデータを分析し、その分析結果でRPAが処理を自動実行するという活用が一般的になるでしょう。

イングランドのオッカム村に住むウィリアムは、ローマ教皇ヨハネス22世から異端者として訴えられるほど変わった男でした。
13世紀から14世紀を生きた彼は、西洋の哲学や科学における節約の原理「オッカムのカミソリ」の提唱者として知られています。

「オッカムのカミソリ」とは、「同じ条件下においては、最も単純な解決策が恐らく正しいものである」という原理です。
「ある事実を同様に説明できるのであれば仮説の数は少ないほうが良い」と説明しています。

 

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AIは必要なデータを蓄えて複雑な問題を単純な方法で説明し、解決することが出来ます。
そしてこの場合のデータ(仮説)は多いほど良いのです。
人間の思考で複雑な問題を説明したり、解決する場合は「オッカムのカミソリ」の思考原理が役に立ちました。

しかし瞬間的に膨大な量のデータを処理できる人工知能においては、事象を分析する対象となる仮説データは多ければ多いほど興味深い事象を導き出してくれます。

定型業務を自動化出来るRPAと複雑な問題を単純な方法で解決できるAIはとても相性が良いと言えるでしょう。
この2つのテクノロジーが組み合わされば、企業の様々な業務の自動化と効率化が進みます。

物流領域においても例外ではありません。
倉庫管理システム(WMS)に基幹システムから出荷指示が取り込まれ、ピッキングリストが発行され、送り状を印刷するといった作業は全て自動化されます。
出荷した荷物の問い合わせもRPAが運送会社のサイトからデータを取得し、顧客の過去の問合せデータをAIが分析し、最適な回答が自動応答されます。
今後はこうした専属のオペレーターが必要なくなるので、大幅な人件費の削減が可能になるでしょう。

 

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