小売業は第6のインフラ!イトーヨーカ堂のやさしい店づくり|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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小売業は第6のインフラ!イトーヨーカ堂のやさしい店づくり

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今回ご紹介するイトーヨーカ堂は、
流通業界の巨人、セブン&アイグループの中核となる企業で9年前に7つの事業を統合しホールディングス体制に移行。
同社は海外にも出店し現在では国内に約200店舗、海外にも10店舗以上を展開しています。

今回はイトーヨーカ堂の経営戦略に注目します。

◆購買動向の変化
バブル崩壊後、日本の小売市場は大きく変わりました。
置けば売れていた「モノ不足」の時代から20年以上。
付加価値がないと売れない「モノ余り」の時代が続いています。
衣料品であればコーディネート、食料品であれば産地など、情報を付加して販売する方向に大きく転換してきました。
在庫の保管場所を圧縮するため、コストコやイケアのような倉庫型店舗がここ十数年で台頭してきたように思います。
また、消費者の視点も変わってきており、以前は過剰在庫は値引すれば消化できていましたが、安さだけではなく価値も求め、
価値が認められないと購買につながらない傾向が高まっています。

こうした中、イトーヨーカ堂では、講演会を開いて情報提供したり、店舗の中に各種クリニックやスクール、銀行などを入れるなどして生活の側面を
サポートし、接客を通じて消費者が快適に買物できるよう、情報発信をサービスとして提供しています。

◆やさしい店づくり
消費者の変化に対応するため、新たにオープンする店舗は施設環境を重視し憩いの空間やキッズパーク、特にトイレや休憩所には拘りを持ちました。
女性用トイレでは化粧直し用のスペースを設け、男性用トイレにもオムツ交換台や子供用トイレを完備しました。
「トイレが綺麗だからこの店舗を利用する」というお客様も増えているといいます。
また、環境にも配慮を行い、緑化と太陽光パネルを組み合わせた外壁、電気自動車の充電設備の設置。
さらに、高齢者や体の不自由な方にも使いやすい充実した施設づくりに取り組まれています。

この背景には、元役員の経験が活かされていました。
学生時代に訪れたアメリカで、信号を渡ろうとしていた車いすの老婦人がいたそうです。
手伝おうかと躊躇していると、不良っぽい若い少年が自然に老婦人に声をかけ、車いすを押して信号を渡り、
さらに自宅の玄関まで送って行ったのです。
勇気を出して「知り合いなのか?」と少年に声をかけると「エスコートするのは当たり前じゃないか。変な事を聞く人だな」
と笑いながら返事があったそうです。
この時、自分を恥じ、社会に出たらそういう事がきちんとできる人間になろうと思ったそうです。
今ではその思いが浸透し、みんなが平等に楽しく買物ができる店舗づくりが行われています。

◆第6のインフラ
2011年3月11日の東日本大震災で被災した店舗は翌日12日には全店舗が営業を再開しました。
アクセスが寸断され、物資供給が困難な中、いち早く陸路の確保を行い、在庫商品を店頭に並べ、できる限りの対応を行いました。
大震災を機に小売業の重要性は大きく認められ、電力、水道、ガス、通信、物流に続く「第6のインフラ」と言われるようになりました。
これには物流の大きな影響力が新たなインフラを生み出したと思います。

今後は、お客様がいつでも、どこでも、だれでも、何でも買う事ができるよう、
セブン&アイグループを1つの器としてオムニチャネル化(店舗、通販、ネット、モバイルなど)全てのチャネルを境界なく連携させ、
世界に対抗できるサプライチェーンの構築を目指していくそうです。

セブン&アイグループとイトーヨーカ堂がどのような連携を行っていくのか、今後に注目です。