導入事例9:双葉運輸株式会社|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

導入事例紹介

双葉運輸株式会社

安全と品質を第一に考えた総合物流企業

取材風景の写真「システムを作って構えて待つのではなく、お客様の想いやニーズに柔軟に対応できる汎用性の高い物流センターを目指しています」
西風新都物流センター
松隈センター長

「同業他社と比べて自分達が支払っている運賃の妥当性を計るようなシステムはないか」

荷主企業の物流担当者の方から筆者がよく聞く質問だ。

運賃の妥当性や、物流会社のパフォーマンスを荷主はどのようにして評価すればよいのか。
拠点の立地や物量、重量、荷姿などそれぞれ条件が違うため、簡単に金額で比較することは不可能だ。
またサービスや品質についての評価も定義が各社で異なるため、こちらも比較が難しい。

物流部門がこうした課題を解決する為に、自力で評価基準を作成しても、物流会社を選ぶ決定権は経営層にある。そして多くの場合、経営層は物流会社をコストでしか評価しない。

そのため、どうしても運賃を安くして荷主獲得を狙う物流会社が増えてしまう。
当然、運賃を安くした分だけリスクは増え、無理に稼働量を増やせば事故も増える。
サービスや品質も提案当初と契約後で大きく異なりトラブルとなるケースは後を絶たない。

そうした品質や安全よりもコストを重視する業界の流れに流されることなく、同社では2007年から安全管理室を設置し、社員教育や監査に徹底的に力を入れている。

毎年5月に行われる 安全大会を筆頭に月例の安全推進委員会、 各箇所での安全会議を実施し、社員研修では新人講習(座学、添乗指導)、事故惹起者講習(座学、 添乗指導)等徹底した教育を行っている。

また統一物流システムで物流サービスを箱モノとしてサービス提供する同業者が増えるなかで、双葉運輸株式会社ではお客様の要望を第一優先に考えて柔軟に対応を行っている。

昭和48年9月25日に双葉運輸有限会社として設立された双葉運輸株式会社はお客様のご要望に対し「できない。ではなく、どうしたらできるか」を常に考え創意工夫し、今日まで成長を遂げてきた。

一運送会社としてではなく、流通全体に関与できる「総合物流管理企業」という次代の物流ビジネス
モデルを目指すことで、より充実したサービスの提供、情報化への対応などを行っている。

様々ニーズに対応する西風新都物流センターを構築

様々ニーズに対応

「今まではお客様の業務における足回りを主体に提供するサービスが主流でした。ここ(西風新都物流センター)は様々な物流ニーズにお応えできる汎用センターとしては、双葉運輸のセンターの中でも最大級になります。」

西風新都物流センターの松隈センター長は言う。

「このセンターでは様々な業種・業態のお客様のニーズにお応えしていく予定です。
契約形態も色々ある中、多種多様などんな物流でも対応できる自信があります。」

2014年2月から稼働した西風新都物流センターは物流効率化法に基づく認定を受けた大型施設で、複数の外部倉庫を集約化するなど業務の効率化を図るとともに、CO2の削減(年間10t)による環境負荷の低減も進める。

4800坪の敷地に地上4階、地下1階の施設を建設し、倉庫部分は3階建てで、延べ床面積は約8800坪ある。
外壁に沿うように設けられたスロープによって2階、3階部分に大型トラックの乗り入れも可能だ。
4トン車なら1階に44台、2階に27台、3階にも16台が積み下ろしできる大型バースを設けている。 すべての照明にはLEDを採用し、屋上には3400枚のソーラーパネル(850kwシステム)を設置している。

完全な営業倉庫としては同社として最初のセンターになる。立地も高速ICから近く、下は九州、上は関西・以北の中継箇所として利用されることを期待している。

また広島県内や広島市内にはこのような大型の物流施設が非常に少ない為、市内での物流展開を検討している荷主企業もターゲットにしている。

同社では西風新都物流センターの稼働に合わせて、物流システム(WMS)の導入を検討した。

県内、県外のWMS開発ベンダーに声をかけ、物流システム(WMS)のコンペを実施した。
半年間に及ぶ選定の結果、県内で物流システムの開発・販売を行っているオンザリンクス社の「INTER-STOCK」の採用を決定した。

選定のポイントは豊富な導入実績と柔軟で迅速なサポートが期待できる点と、地理的にも近いという点だ。

1社の荷主企業の管理から物流システム導入をスタート

導入が決定し、早速プロジェクトがスタートした。最初から複数の荷主に対応するのではなく、まずは1社の荷主企業の物流管理からINTER-STOCKを利用し、そこから複数の荷主企業へ展開する方針で進めた。

運用フローの確認を行い、荷主企業から送信される入荷指示データ、出荷指示データのインターフェースの確認と作業を進めていった。

何点か基本機能では対応できない、特殊な機能についてはカスタマイズにて対応した。

例えば標準機能では、入荷時、出荷時にハンディターミナルにロケーションが表示される。
基本的には品目マスタの主ロケーションで管理されるが、1つの品目で複数のロケーションにまたがる場合もある為、ハンディへのロケーション表示は在庫の多い順に全てのロケーションを表示するカスタマイズを加えた。下図は打合せ当時、その機能の実装案をまとめたものだ。

製品をピッキング

この機能の実装により現場ではピッキング作業や入荷作業をしながら、それぞれのロケーションの在庫状況を把握することが可能になった。

さらに荷主企業の商品構成は、全く同じ商品でも複数のJANコードが存在するという特殊性が高いものであった。
ハンディターミナルで該当の商品をスキャンすると複数のJANが存在する場合は、全てのJANが画面に表示され、選択できる機能もカスタマイズで対応した。

誤出荷もなくなり、ロケーションのナビゲーションも大変便利

製品をピッキング

「誤出荷が無くなりました。ロケーションのナビゲーション機能も大変便利ですね。」
(西風新都物流センター 松本氏)

荷主から送信される入荷指示データを元にハンディターミナルで入荷検品を行う。ハンディターミナルには、入庫するロケーションがナビゲーションされる。入荷検品時に携帯プリンタより商品バーコードラベルを発行し、それを商品に貼り付けする。発行される入荷ラベルには入荷日や入荷担当者が出力される。これにより先入れ先出しにも対応可能だ。

出荷についても荷主から送られてくる出荷指示データをINTER-STOCKで受信し、ハンディターミナルでピッキング、出荷検品を実施する。バーコードによる二重検品により誤出荷は無くなった。

日々の入出荷の実績をもとに荷主様への請求データの作成までをシステム化し、現在運用を行っている。

  • 製品をピッキング
  • 製品をピッキング
  • 製品をピッキング

お客様の構想ありきで物流を提案

最近業界で増えている、物流会社側が自社の物流システム(WMS)を統一フォーマットとして、荷主企業に提案するビジネスモデルについて松隈センター長に聞いた。

「元来、物流というのはお客様の構想ありきだと思っています。汎用的なWMSを望んでいる荷主様がいることは確かです。
しかし、荷主様のニーズは多様化しています。」

「今は仕組みを作って構えていくというのはナンセンスだと思っています。お客様の想いありきで、それに対していかに我々が柔軟に対応してあげることができるか。それが我々の役割だと思っています。」

「ただし、いずれもビジネスモデルの有り方だと思います。たとえば通販で開業されて、売上が急に増えると、作業者の不足や場所の不足により倉庫を変えないといけなくなります。こうした物流ノウハウがあまり無いお客様をサポートする場合は、場所、人、システムを全てこちらから提供するというやり方は合うのではないかと思います。」

「しかし製造販売業やメーカー物流などの大手の荷主様はそうはいきません。独自の物流ノウハウを構築されているので、我々の仕組みよりも場所と人だけを提供して欲しいといったニーズも少なくありません。」

某コンビニエンスストアの物流も4月にスタートした。食品の取り扱いになる為、先入れ先出しやロット管理の精度が求められる。
INTER-SOTCKを利用する2件目の荷主様として今後システム化を進める予定だ。

「広島、山口、島根、鳥取、岡山の近場の中国5県の輸配はすでにミルクランという形でコンビニ様始めいろいろさせて頂いているので、いかようにでも対応できます。また共販などにも積極的に取り組み荷主様を増やしていきたいと思います。」
と松隈氏は今後の展望に語気を強めた。

  • 西風新都物流センターのみなさんと
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