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2019年11月12日配信分
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効果性の高い在庫最適化プロジェクトの推進マニュアル

mailmaga277

画像素材:Rawpixel / PIXTA

 

<目次>
1.各部門から見た在庫の特性を整理する
2.組織間のハードルを越えるための3つの要件
3.改善定着化に欠かせないIT(情報技術)
4.まとめ

 

輸快通快④

 

●1.各部門から見た在庫の特性を整理する

 

多くの企業の部門は、購買・生産・販売・物流・会計と専門的な職能において編成されています。
在庫最適化が部分最適で終わってしまう要因はここにあります。

専門的な部門は自部門の職能においては詳しいですが、その分視点が狭くなってしまい、企業全体を俯瞰して見ることが出来なくなってしまいます。
どうしても自部門の都合を優先させた判断を下すことが多くなってしまうのです。
これは何も部門担当者が悪いと言っているのではなくて、そうした組織の中で成果を出すことを求められている以上、仕方のないことなのです。

しかし、在庫最適化の問題は全ての部門に関連します。
在庫最適化プロジェクトを推進しようとした場合、各部門の調整や合意形成には非常に手間と時間がかかります。

こうした問題を解決するには、各部門において在庫がどのような意味を持つのか、その特性を整理することが重要です。
同じ在庫でも、販売から見る在庫と物流から見る在庫では視点が全く異なります。
販売からすれば、在庫は多い方が良いに決まっています。しかし、物流から見れば在庫は少ない方が良いに決まっています。

販売から見た在庫はどのような意味を持つのでしょうか。
それは在庫が多ければ多いほど、売上に貢献出来ます。
一方、物流から見た在庫はどのよう意味を持つのでしょうか。
在庫が少なければ少ないほど、倉庫スペースが有効活用出来て、物流コストも削減されます。

しかし、売上UPも大事、コスト削減による利益拡大も大事、お互いに会社のことを一生懸命考えているのです。
それでも、在庫にフォーカスすると、まったく逆の視点になってしまうのです。
在庫が各部門の業績、会社全体の業績にどのように影響するのか、というその特性を整理することが非常に大切なのです。
各部門が業務連携をスムーズに行う為の正しい在り方として、商品特性・生産特性・販売特性・物流特性を整理して会話することが大切です。
以下の表は在庫が増えることによるメリット、減ることによるメリットを各部門毎に整理したものです。
こうした表を活用して、まずは自社の在庫特性を整理することをお勧めします。

 

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●2.組織間のハードルを越えるための3つの要件

 

在庫最適化プロジェクトを推進しようとするとき、練り上げた構想をプロジェクトとして作業分解し、各部門、関係各社に協力を得ながら推進していく必要があります。
在庫最適化は、単一部門だけで実現することが難しく、組織の上下左右に横わたるハードルを越えなければなりません。

組織の「上」とは、経営層や上司とのハードルです。
予算を獲得する以上は、費用対効果を上に説明して納得してもらう必要があります。
一方、組織の「下」とは現場や外部の協力会社とのハードルです。
実行したいプランに対して、共通の目的意識を持って、高い実現能力を持つ必要があります。

また組織の「左右」に当たる営業部門、情報システム部門といったハードルもあります。
売上至上主義の営業部門からは在庫削減に対する抵抗があるばかりか、日々の営業で忙しくなかなかこうしたプロジェクト活動の時間を優先的に確保してもらえません。
保守的な情報システム部門からは、大規模なシステム改修はよほどのことが無い限り、前向きに取り組んでもらえません。

 

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在庫最適化プロジェクトを推進するには、こうした上下左右全ての協力を得ながら力強く推進する必要があるのです。
どんな崇高な戦略も、どんな緻密な戦術も、実現するためには強靭な実行力が不可欠です。
組織のハードルを越え、実行力を高めていくためには、在庫最適化プロジェクト推進部門側の準備として3つの要件が必要です。

 

1.小さな成功を収め、仮設の有効性を実証する

1つ目の要件は、継続的なプロジェクトにしていくためには規模が小さくても成功を収めることです。
成功体験が生まれると、予算も取りやすくなり、関連部門の協力も得やすくなるなど良いサイクルが生まれます。
例えば在庫管理システムを導入するといった場合等もいきなり全ての在庫に対してシステム化するのではなく、小規模の予算を取って、材料から始めて、製品・仕掛品・副資材といった具合に展開するのも有効な手段です。

最初な小さくても良いので、なるべく成功確率を上げることを意識して改善に取り組みましょう。
逆に、大きな予算を投じたにも拘わらず期待通りの成果が上がらないと、予算も取りづらくなり、関連部門も非協力的になってしまいます。

狙う戦略や仮説を小規模でもよいので実際に試し、全社的に反映させた場合の有効性を測ることで、説得力のあるデータが
取得でき、大きな変革にも道筋を付けることができます。

 

2.計画を誰が見ても分かりやすく提示する

2つ目は、在庫管理に関連する部門の人でなくても何を実行しようとしているか分かるように、計画を分かりやすくすることです。
大きな組織になると、同じ会社でも意外と部門による専門用語が通じない場合もあります。
また、沢山の内容を盛り過ぎて結局何がしたいのか分からないといった計画も敬遠されがちです。
誰が見てもきちんと理解できる計画を作成することが大切です。

計画で共有しなければならないのは、「目的」「課題」「範囲」「担当」「期日」の5つです。
計画が実行されない場合、よく聞くセリフが「そのような話は聞いていなかった」というものです。
「分かりにくい」「説明不足」といったことにならないように、計画の作成は工夫を凝らさなければならないのです。

 

3.計画を金額に換算して表現する

3つ目は、金額で計画が分かる環境を作ることです。
組織の上下左右の垣根を越えて共通言語になり得るのは、やはり「金額」です。
各部門の目標とするKPIは金額換算して表現しましょう。
会社全体、各部門でどれだけの在庫を持っていて、計画が正しく遂行された場合、いくらの利益が生じるのか、計画にリアリティを与えます。

 

●3.改善定着化に欠かせないIT(情報技術)

 

在庫最適化を推進するためには日々の在庫数値を計画とチェックする必要があります。
そのためには適時在庫の正しい情報について取得を出来ることが前提になります。
これらを効率的に行うには、表計算ソフトでは追いつきません。多品目の在庫実績を記録し、管理する専用の情報システムが必須のツールになります。
在庫最適化によるキャッシュフロー改善効果は非常に大きいので、この分野へのIT投資を惜しむのは非常にもったいないことです。

多くの企業で導入されているERP(総合業務処理パッケージ)の構造は、在庫をお金としてバッチ処理的に扱います。
よって、在庫最適化プロジェクトを推進するには、ERPパッケージの外側の仕組みとして在庫計画の為の専用システムを追加することになります。

 

●4.まとめ

 

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在庫最適化プロジェクトのゴールをより効率よく確実に達成するためにはデータが必要です。
正しくデータを活用するには、まず正しく「ゴール」が設定されている必要があります。
多くの関係者を船に乗せておきながら、目的地なしの航海をするわけにはいきません。
目的・計画・データがあることによって「正しい方向に進んでいるのか」「このままのペースで目的地にたどり着くのか」といったことを精度高く判断することができます。
正しく目的を設定し、分かりやすい計画を作成し、データに基づいたチェックを行えば、ゴールにたどり着く可能性はぐんと高くなります。

 

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