AI物流の現在地を探る③ ~シンギュラリティの実現性~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

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AI物流の現在地を探る③ ~シンギュラリティの実現性~

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 画像素材:ビジュアルジェネレーション /PIXTA

<目次>

1.藤井三冠の一手がAIを超えた瞬間

2.物流再構築におけるAIの有効性

3.AIが得意なこと、人間が得意なこと

 


1.藤井三冠の一手がAIを超えた瞬間

 

将棋の藤井聡太王位(棋聖=19)が今月13日、第4期叡王戦第5局にて豊島竜王を下し史上最年少3冠を達成しました。筆者も少し
将棋を指すのですが、3冠の瞬間をABEMAで見てつい興奮してしまいました。谷川さんや羽生さん以来、長い間スター棋士が出
ていなかった将棋界にとっても大変喜ばしいニュースではないでしょうか。

対局後、各所で大反響になったのが、藤井くんが食べたおやつ「コロコロしばちゃん・・・」ではなく、藤井くんが終盤に指した97桂馬という一手。 終盤まで不動駒だった左桂を、さらに端へと跳ね出したこの着手には、スポニチ観戦記者の関口武史指導棋士五段
も「藤井さんにしか指せないすごい手」と驚きを隠せない様子でした。解説のプロ棋士たちも全く読みになく、AIの候補手にすら上が
っていませんでした。

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対局相手の豊島竜王が王を退避させた直後に指されたこの一手は、筋としては悪い選択で、AIの評価が一気に50%にまで落ちて
しまいました。おそらく多くの人がこの瞬間、藤井くんが致命的なミスをしてしまったと思ったのではないでしょうか。実は筆者もその
一人です。しかし、結果的にはこの手が必殺の一撃となり、藤井くんは史上最年少の3冠を手にしたのです。

この着手を少し解説すると、AI的には最善ではないにしても、相手が間違えてくれれば一発で勝ちに進める人間相手には非常に
有効な勝負師の一手でした。お互いに残り時間がない1分将棋の中で、手筋ではないこの一手を目にしたときの豊島竜王の動揺
は察するに余りあります。1分将棋という中で人間相手だからこそ仕掛けられた、人間だからこそ指せる最善手であったと言える
のではないでしょうか。

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2.物流再構築におけるAIの有効性

 

多くの物流現場において、現場の人間は翻訳しなければ使い物にならない基幹システムからたたき出される数字に悩まされてい
ます。それらの数字は販売、財務、経理専用の数字であるためです。これらの数字はリアルタイム性よりも正確性が求められます。
しかし、現場で日常業務にあたっている人たちは、正確性よりもリアルタイム性を必要とします。例えば、過剰在庫を抑制するため、
売上Aランク商品の発注点、安全在庫を変更するのに、販売や財務側で検討し、その数値が3ヶ月後に上がってくるとしたらどうで
しょうか?現場は日々動いているので仕方なく現場の人たちは、必要となるデータを自ら集めるために毎日何時間も時間を費やす
ことになります。あるいは内々のシステムをExcelでつくることになるでしょう。

こうしたギャップは何故生まれるのでしょうか?大きく理由は2つあります。1つは、経理側は現場がどのような数字を欲しているの
か理解していないからです。もう1つは、現場の人たちが経理側にどのような数字が欲しいかということを言わないことです。その他
にもシステムの欠陥や、先見性の欠如、組織構造の欠陥、情報の不全などといった理由が挙げられます。

こうした情報管理上の問題は本来直ちに改善する必要があるのですが、放っておくと属人化が進みます。ベテラン社員の経験と勘
が現場を動かすようになります。また情報に関わる機能障害は時間の浪費を招きます。人口減少による市場縮小が進み、物流再
構築が加速する中、経営者はこれまで以上に多くの情報量を卓越したシステムで管理、計画しなければなりません。

従来のプログラミング方法で構築された物流システムを用いるだけではなく、人間の能力を超えるものが求められる時代になりました。
AIによる最適解法、機械学習は、物流の実行における従来の制限を取り払い、企業は新たな可能性を手に入れることが出来るように
なります。

世界的なアパレル小売企業のアーバン・アウトフィッターズは、「デジタルチャネルの浸透による配送およびロジスティクス費用の増加」により、利益率の大幅な低下に苦しんでいました。同社のCFOであるコンフォルティは、 「売上高は大幅なマイナスになる可能性がある」とした一方で、デジタル販売の拡大をサポートするために「拡張された流通施設」への設備投資を増加する方針を示しました。また、COVID-19によって引き起こされた不確実性のために、見通しは「一瞬のうちに変わる可能性がある」とも述べました。

アーバン・アウトフィッターズはAIソフトウェア会社であるCB4とパートナーシップを拡大し、DC配送センターをより有効活用するためにAIを採用しました。ECによる消費者への直接販売需要の高まりにより、従来は卸売りや店舗への出荷が主な業務だった物流オペレーションは、かなりの複雑さと量になっていました。その結果、同社の旗艦DC物流センターの1つが近い将来にキャパオーバーになることが予想され、新たな施策を検討する必要が生じたのです。この時、経営トップの判断により、AIを活用することで従来の倉庫管理システムによるアプローチを超えていく方法を検討することになりました。

AIを導入することで、より多くのタスクを管理し、センターの需要と在庫、リソースを適切に管理することが可能になると判断したからです。
このような経営判断は今後多くの企業でも増えてくると思いますが、物流の予測・計画・最適化において、なぜAIが大きな可能性を秘めているのかを理解するしなければ適切な判断をすることは難しでしょう。そのためには、AIが得意なこと、そして人間が得意なことを理解する必要があります。


3.AIが得意なこと、人間が得意なこと

 

AIが台頭していく中で、「人間を超えるかどうか」という議論が盛んに行われています。哲学者のレイ・カーツワイル博士は、AIが人間
を超える「シンギュラリティ」が2045年に起こると提唱しました。日本語では「技術的特異点」と言われ、人工知能が人間を超える転換点を指します。この技術的特異点を超えると、AIは人間の手を借りることなく、自らをプログラミングすることで凄まじい成長発展を
するようになると言われています。

人間の脳には多くの限界があります。正確性やスピードなどはコンピューターにはかないません。また多くの情報を処理する際には効率 が悪くなります。しかし、経験や勘から生まれる創造性や創意工夫はそうした欠点を補って余りあるほどです。さらには人間の脳は沢山のことを一度に処理する並列処理が得意で、心理学者がヒューリスティクスと呼ぶ直感とか勘も正確性には欠けるかもしれませんが、ある程度どのような状況においても使える非常に便利な能力です。

直感的思考法は、ひとつの情報を手がかりとして判断し、その他の情報を無視することで、すばやく、効率よく判断できます。いくつかの情報に基づいて、2つ以上の選択肢の長所短所を比較し、どれを選べば損か得かといった計算は省略されます。なぜその結論にいたったか自分でもよく分からないのですが、長い時間かけて分析した結果よりも優れていることが多いのです。藤井くんの一手もまさに経験と勘による直感的思考法によるものです。

善悪を含む判断を下すのもAIには難しいです。例えば、サプライチェーンを最適化するために、創業以来お世話になっている取引先を切った方が良いという結果が出た場合、AIの言うとおりにするとどうなるでしょうか?関連する取引先の信用を失ったり、古参社員のモチベーションや信頼度の低下といったことを招くことだってあるかもしれませんね。

実は筆者は、シンギュラリティには懐疑的です。それは、「AIは人間が作ったものであり、人間の脳は神が作ったもの」という創造論を超えるだけのインパクトを持つ根拠が今のところ見当たらないからです。しかし、AIによって人間の知能や可能性が拡張することは間違いないと思います。AIをうまく使って人間の視点を広くする、例えば在庫を最適化するためのロジックをAIで補強するといった試みは良いと思います。
しかし、判断をAIに丸投げして、部分的なデータに基づくにすぎない計算結果を「普遍的に正しい」と主張するのは、反対です。

先日、日経新聞で「AI研究で独走していた米国を中国が追い越しつつある」という記事を目にしました。研究の質を示す論文の引用実績が米国を超えたということです。日本はAIにおいて先進国となるのか、後進国となるのか。いずれにしても、AIは幅広い産業に組み込まれ、国家の競争力や安全保障をも左右するだけの影響力を持つようになります。「AI覇権」を巡る世界的な攻防は激化し、AI技術はさらなる
発展を続けていくでしょう。

経営者の皆さんには、「AIvs人間」の対立構造を超えて、いかに共存していくのかといった長期的かつ戦略的視点を持って、
自社のビジネスにAIを導入して頂きたいと思います。

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(出典:日経新聞)

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