いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~物流不動産~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

倉庫

いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~物流不動産~

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 画像素材:CORA/PIXTA

<目次>

1.マクドナルドの実態は「不動産業」!?

2.広島市西区に中四国最大の物流施設誕生!

3.このままでは取り残されてしまう地域の物流施設

 


1.マクドナルドの実態は「不動産業」!?

 

先日、AmazonPrimeVideoでマクドナルドの創業者レイ・クロックの半生を描いた『ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ』(ジョン・リー・ハンコック監督)を鑑賞しました。ミルクシェイク用ミキサーのセールスマンをしていたクロックが、仕事に行き詰まり、妻に支えられる日々を送っているところから物語はスタートします。

そんなクロックが51歳のとき、カリフォルニア州サンバーナーディーノでハンバーカー店を営んでいたマクドナルド兄弟からミキサーの大量の注文を受けます。
早速その店に向かったクロックはマクドナル兄弟に店内を見せてもらい、その高いレベルで効率化された調理システムに興奮します。その後、何度も兄弟を説得してフランチャイズ権を獲得し、52歳の時にマクドナルドシステム会社を設立しました。その後世界最大のファーストフードチェーンに成長させるまでを描いた作品です。

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今ではすっかりお馴染みのマクドナルド。CMで堺雅人や宮崎美子が美味しそうにハンバーガーを頬張る姿が印象的で、多くの人がハンバーガーを売った収益でビジネスをしていると思われているのではないでしょうか。しかし、その実態は不動産ビジネスなのです。マクドナルドには、直営店とフランチャイズ店の二つの形態があり、フランチャイズ制を使い、積極的に土地活用を行うことによって収益を上げているのです。フランチャイザー側は日々のハンバーガーの売上よりも、月額固定の店舗賃料の収益が長期に渡って安定的に手に入るというビジネスなのです。店舗経営に興味を持つフランチャイジーにとって、店舗の立地と開発が大きなハードルになります。そのハードルを引き下げつつ、自社に安定的な収益をもたらすWin-Winの仕組みこそがレイ・クロックが編み出したビジネスモデルだったのです。マクドナルド兄弟はハンバーガーを売っていましたが、店舗と立地を開発し、それをリースすることを考えたのがレイ・クロックのすごいところですね。

本来マクドナルドの創業者はマクドナルド兄弟であるはずですが、レイ・クロックが後年自分が創業者であるかのように振舞っていたのは、このビジネスモデルを編み出したのは自分だという誇りを持っていたからかもしれませんね。
(※レイ・クロックが亡くなってから、マクドナルド社が創業者追悼キャンペーンと銘打ったセールを行ったことに対して、マクドナルド兄弟が激怒したのは有名なエピソード)

日本マクドナルドの最新の貸借対照表(バランスシート)の資産の部の内訳を見てみると、流動資産と固定資産の割合は約2:8の比率となっています。この固定資産の中身は言うまでもなく土地や建物が大部分なのです。このマクドナルドの不動産業は、不動産の「売買」ではなく、「賃貸やリース」である点も事業の安定性を高めている重要なポイントです。このようなビジネスモデルは、セブンイレブンなどのコンビニエンスチェーンにも同様に見ることが出来ますね。

この不動産と言う固定資産と賃料という安定事業収入で成長するビジネスモデルは、物流・ロジスティクスにおいても現在盛んに行われています。


2.広島市西区に中四国最大の物流施設誕生!

 

かつて日本には「土地の価格は必ず上がる」という「土地神話」なる共通認識がありました。戦後、毎年のように土地の価格は上昇し、日本の経済成長は土地の価格と相関関係にあり、企業の資金調達は土地を担保に簡単に銀行融資を拡大することが出来ました。その融資でまた新たな土地を買うということが当たり前のようにで行われていったのです。しかし、1989年後半からの大蔵省による金融機関に対して行われた総量規制で土地投機への流れが抑制され、1990年にハブル景気が崩壊すると同時に「土地神話」も崩れてしまったのです。
(※総量規制・・・行き過ぎた不動産価格の高騰を沈静化させることを目的として、不動産向け融資の伸び率を貸し出し全体の伸び率を下回るよう求めたもの)

ところが近年、物流施設の不動産バブルが注目されています。物流業界では、倉庫や物流施設を開発するのは倉庫業や物流事業者が行うのが常識でした。しかし、現在では、物流事業者とは関係のなかった企業が積極的に物流不動産に投資を行っています。長く続く日本の低金利政策も、不動産投資において追い風となっています。
外資も積極的に参入し、その勢いは増すばかりです。明らかに供給過剰ではないかと思うのですが、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率は1.5%と、依然として需給はタイトです。この需要を牽引しているのはやはりECです。総務省によると、20年12月のインターネットを利用した支出総額は、前年同月比24%増加しました。ECの利用は今後もさらに広がるとみて、EC関連事業者が倉庫面積の拡張に積極的になっているのです。

そんな背景から、大和ハウスやGLPなど物流不動産専門の大手デベロッパーがこぞって最新型の大型倉庫をじゃんじゃん建てています。筆者の地元広島でも西区の広島西飛行場跡地に大和ハウスが中四国最大となる大型物流センターを建築しました。鉄骨5階建て延べ9万6千㎡、1フロア当たりの面積は約1・9万㎡のマルチテナント型の施設で、32台分のトラックバースがあり、約500人の雇用を見込んでいます。「これが倉庫?」と思うような商業施設のような作りです。大和ハウスのロゴが現れるまでは、「イオンでも出来るのかな?」と知人と話していたくらいです。もはや過去の物流倉庫のイメージはなく、スマートで洗練されたイメージに革新され、私たちが想像もしていない姿を見せています。

このような最新型の物流倉庫は保管のみならず、工場機能やショールーム・営業センターとしての役割も持っており、「新しい物流の概念」を生み出そうとしていることがヒシヒシと伝わってきます。このように、大和ハウスやGLPなど大手物流デペロッパーは、自社で物流施設を建てて、企業に賃貸する事業を急速に強化しており、当面その勢いは留まることはなさそうです。

■中四国最大の物流センターDLP広島観音

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3.このままでは取り残されてしまう地域の物流施設

 

物流施設はもっとも魅力的な投資案件の一つとして認識され、沢山のお金が流れ込むことによって、さらに魅力的な施設へと生まれ変わる好循環が生まれています。
「ワンフロア、ワンウェイ、ワンストップ」というセースルポイントを持ち、広大なフロアでも入出荷の動線が十分に確保され、エレベーターのような搬送機も不要で、高速に物流オペレーションをこなすことが出来る設計となっています。従来型の施設に比べ圧倒的なコストパフォーマンスを期待できることから、立てればすぐに契約が一杯になるといった具合です。

物流クライシスに怯える荷主企業の経営者は、物流の再構築を最重要戦略としており、最新型の大型倉庫は極めて魅力的に映ります。倉庫の移転ラッシュは当面続いていくものと見られています。このような状況で懸念されるのが、従来型、旧式の倉庫の空室率の増加です。最新型の倉庫に多くの荷主が流れ込んでしまえば、当然従来型倉庫は新たな荷主を見つけなければなりません。こうした倉庫と荷主をマッチングするサービスもいくつが登場していますが、最終的に多くの空き倉庫が生まれるのではないかと思います。そこに追いうちをかけるかのように、耐震基準の厳格化による倉庫の建て替えの強要がありますが、荷主がいなくなってしまった倉庫を建て替えるほど資金力がない倉庫業者は廃業も視野に入れなくてはならなくなります。物流の高度化によって、物流施設が魅力的な投資対象となり、外資や他業界から莫大な資本が流れ込んでくることで、取り残されてしまう物流施設も増えていくことが心配です。

全国のこうした物流施設には、ビジネルモデルの変革に向けて早急な対応が求められているのです。

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