業界最先端ショップ「BEAMS」の「物流の法則」に学ぶ!|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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業界最先端ショップ「BEAMS」の「物流の法則」に学ぶ!

今回は40年近く日本のファッション業界をリードされてきた
「BEAMS(ビームス)」さんの物流戦略を少し探ってみたいと思います。

原宿に6.5坪の小さな小さな洋品店「AMERICAN LIFE SHOP BEAMS」
が誕生したのは今から約40年程前。

1976年2月、当時周りにお店がほとんどなかった時代に、
元々は八百屋さんだった建物を改装し営業をスタートしました。

これが記念すべき「BEAMS」の1号店です。

その後、店舗数、レーベルを着実に増やし、
海外出店やECへの展開にも力を入れています。

同社の物流の拠点となっているのは、
東京都江藤区にある「BEAMS WHRE STATION」です。

80万点以上ある商品を保管し、日本全国140カ所以上の店舗に
毎日ミスのない配送を行っています。

その圧倒的な量の仕分けをミスなくスピーディーにこなしているのは、
「リニソート」と呼ばれる自動仕分けシステムです。

またハンガーにかかったまま商品を高速で自動ソートが可能な
「ファッションソート」という優れたシステムも導入しています。

このように自動ソートシステムに多額のシステム投資をしている
理由としては同社の競争戦略に関係があります。

セレクトショップは以前は衣類や雑貨類の販売をメインに行っていましたが、
最近ではライフスタイル全般の提案が消費者から求められています。

BEAMSはその他のセレクトショップに比べ商品点数が非常に多く、
また140カ所以上ある店舗すべて品揃えが異なります。
同じ商品ラインナップの店舗は1店舗もありません。
その街その街の特徴に合わせてライフスタイルを提案することが
同社の販売戦略だからです。

出荷数は年間500万点を超え、
1店舗に1万点以上の商品が仕分けされ出荷されていきます。

SKUは20万点、年間の仕入れ点数は1,000万ピースにもなります。

「BEAMS」には「物流の法則」があるそうです。
「今日売れた商品は、翌日には補充する」

シンプルですが、これだけのSKUを抱え、全店ラインナップが
違うことを考えると決して簡単ではないと思います。

今でこそ最先端のロジスティクスを実現している同社ですが、
創業から25年はほとんどアナログで物流作業をされていたそうです。

しかし会社の成長に運用がついていかなくなり、キャパをオーバーすると
物流センターを移転といった状況が続いていました。

しかし2002年を皮切りに在庫管理システム、ピッキングカート、
自動ソーター等の各種マテハンをどんどんと導入していきました。

現在では最先端のシステムで運用されている物流センターですが、
そこで働く全員がお客様満足と会社の売上を常に意識し、
日々の業務に当たっています。

そういった大切なところには、業界のトップを走り続ける
企業としてのこだわりが見え隠れします。

出荷作業の進捗状況を確認出来る大画面ディスプレイには、
ピッキングの作業が完了するとなんと大きな花火が画面一杯に表示されます。
そこには”人間らしさ”を追求した自由な遊び心が感じられます。

2011年9月にはシステム部門と物流部門によりRFIDを推進する
プロジェクトチームを発足しました。
そして一年後の2012年9月に船橋市のららぽーとでオープンした
「B:MING LIFE STORE」というショップでRFIDが初めて導入されました。
この店舗での利用はまだテスト段階で、2年間の利用により導入効果や
課題が見えてきました。

まず目立った導入効果としては、店間移動などで移動させたい商品を集めて、
まとめて読取が出来るので、ミスが減り、処理時間は従来の半分となりました。

棚卸業務についてはさらに大きな効果が出ています。
各店舗の理論在庫データをまずiPadにインポートし、
ハンディで棚卸を登録するとiPadの理論在庫が消込されるといった
仕組みを構築しました。
これにより従来の棚卸に比べ10分の1の時間で棚卸が完了します。

今までは前日の店舗を閉めた夕方から棚卸を開始し、
当日の店舗を閉める時間まで棚卸を行っていましたが、
それが約1時間で完了するまでになりました。

物流センターには大きな読み取り用のゲートを設置し、
まとめて商品出荷時にまとめて読取が行えるため、検品も効率化が行えています。

反面、課題としてはラメなどを使った衣類は読取率があまり高くなかったり、
液体のコスメ用品なども読取の精度は落ちるといった具合に、
商品の特性により読取精度にバラつきがあることです。

もう一つ大きな課題として目に見えない電波で一度に読み取るので、
本当に間違いなく読めているのかが不安という声が現場から上がっ
ていることです。

このようにいくつかの課題もあり、現在もテスト段階ではありますが、
BEAMSでは2016年にRFIDを全店導入を予定しています。

ファッション業界では、RFIDの需要が確実に増えてきています。
このような業界のリーダー企業が積極的に導入を進めることで、
業界全体の物流コストが下がり、それが私達消費者に還元される
ことを是非期待したいですね!