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物流業界トピックス

効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第13回-

no47-3

■業務改革案作成ステップ1 – 業務改善項目の整理 -

今回は業務改革案作成のファーストステップとなる『業務改善項目の整理』について説明します。

no47 図1

これまで本手引きで何度も説明をしてきたとおり、ITの投資対効果の最大化を実現する為には、
ビジネスプロセスやルールの再設計を前提に倉庫管理システム(WMS)の設計を行う必要あります。

日米でITの投資対効果を比較すると日本は米国の約半分だそうです。
この差はIT技術から生まれるものではなく、導入手法の差から生まれていると思われます。
日本は最新のIT技術を30年以上も前の古い手法で導入しているからです。

倉庫管理システム(WMS)の構築についても日本では、RFP(提案依頼書)を作成して開発ベンダーを選定する方法が主流になっています。
しかし要望をユーザーにヒアリングし、それを議事録程度に整理して、最後に高可用性やセキュリティについて書かれた十数ページのRFPにどれだけの効果が期待できるでしょうか?
筆者の経験上、多くの場合、RFPの作成についてIT投資額全体の3~5パーセントしか費やしていません。

米国ではシステム設計工程に入るまでのビジネスプロセスやルール改訂についてシステム全体の50%を費やしていると言われています。
システム規模やお客様の状況によりその割合は変動的であるのは当然としても、やはり数パーセントでは、費用対効果を最大化させるIT投資は難しいと思います。

ユーザー要望ではなく要求を引き出す

システムを導入する際によくシステムエンジニアがユーザーにヒアリングをして要望を引き出します。
ユーザーの要望に応える為だけの目的でIT投資を行うのであれば、それで十分です。

しかし本手引きの目的はIT投資対効果を最大化することですから、これでは不十分です。
ユーザーも気付いていない本来の要求を引き出す“要求抽出”が『業務改善項目を整理』する上で必要になります。
そしてこの”要求抽出”に大きな影響を与えるのが、ユーザーへのインタビューの進め方なのです。

インタビューの方法には2通りあります。
1つ目の方法は「構造型インタビュー」と言われる方法です。
この構造型インタビューでは予め用意されたインタビューシートを用いて決められた内容について順番にユーザーへ質問していきます。(図1)
ただ漠然と「現状の課題はなんですか?」と聞くだけではユーザーの顕在的な課題しか拾えません。
決められた質問に答えてもらうことで、ユーザー自身が潜在的な課題に気づき、そして解決策まで導きだすこともできるのです。
質問内容を決める際はYes Noで答えられる質問は避けましょう。
no47 図1-1

2つ目の方法は「オープン型インタビュー」と言われる方法です。この方法は現場の方に自由にしゃべって頂くインタビュー方式です。

この2つのインタビュー方法を組み合わせて第11回の「課題抽出」の回で整理した課題からユーザーの本来の要求を抽出していくのです。
ユーザーが気付いていない本当の要求を引き出す効果的なファシリテーションがIT導入の成否を分けるといっても過言ではありません。

■関連性のある項目をまとめていく

第11回の「課題抽出」の回で整理した課題について関連性のある項目をまとめていきます。
片方を解決すると片方が悪くなるようなトレードオフの関係にある項目や、一つを解決するとその他複数の課題も同時に解決するような関係性を記号でチェックつけていきます。
ここであまり複雑にやりすぎると逆に分かりづらくなるので、簡単にチェックをつける程度で結構です。

■感覚ではなくビジョンや戦略をキーに優先順位をつける

課題を整理していくとすぐに100や200のリストが出来上がります。
多い場合は1,000近い課題があがるケースもあります。これらすべてを解決することが、効果を最大化することにはなりません。
それぞれの課題を解決する為にはそれなりのお金も時間もかかるからです。

このような課題解決をToDo形式で進めていくと、コストインパクトや、緊急性だけでユーザーの感覚的に優先順位が決定されていきます。
そうした優先順位づけも有用ではりますが、、ここではもう少しロジカルに工夫して優先順位をつけてみましょう。
まずは3つから5つ程度の優先順位付けの判断基準を設定します。(図2)
no47 図2

それぞれ「高」「中」「低」でポイントを設定します。「高=5」「中=3」「低=1」といった具合です。
判断基準別にポイントの割合を変更するのも良いでしょう。例えばビジョン・戦略への影響度を一番の優先順位とするのであれば、その判断基準のポイントを高めに設定すればOKですね。

第11回の「課題抽出」の回で整理した課題について上記の判断基準をエクセルの列に追加してポイントの多い順でソートすれば完成です。
あとはそのリストを見ながらユーザーと一緒に最終的な検討をすれば良いでしょう。
本ステップを実施するだけで、ユーザーの要望だけでなく潜在的な要求を整理することができプロジェクトの未来はより明るいものになることでしょう。お勧めです。

■まとめ

このような業務改革案を作成していくフェーズでは、ぜひシステムエンジニア(SE)の同席を推奨します。
業務改革案をユーザーが作成して、それをベンダーSEや社内SEに伝えるというやり方が多いようですが、
私の経験からSEというのはその職業性質上、非常に優れた分析力と論理思考力を備えています。

彼らを業務改革案の作成という超上流の工程からメンバーに加えることで、業務のプロセスを上手に整理していくことが出来ます。
またそうしたSE経験のある人をメンバーに加え、ファシリテーターとして迎えることで、ユーザーが本当に必要としている要求を上手く引き出してくれます。
ビジネスプロセスの変革を推進し、プロジェクトに勢いを付けることが期待出来るのです。
次回は「新業務フローの作成」について説明します。どうぞお楽しみに。

著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。