店舗小売業がオムニチャネル化を目指してオンランイン販売をすると在庫が増える?(2)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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店舗小売業がオムニチャネル化を目指してオンランイン販売をすると在庫が増える?(2)

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近年はWeb系の開発を中心に「フルスタック」という言葉がすっかり浸透しました。

以前のような「スキルマッチ」の考え方ではなく、様々な開発領域を自由に横断しながらプロダクトを開発する方法が主流になりつつあります。

しかし、ITエンジニアの市場においては、いまだに「スキルマッチ」の考え方が重要視され、採用側も求職側もこれまで経験してきたスキル重視で動く傾向があります。

こうした動きはエンジニアに限った話ではありません。

特定のスキルや資格だけで生きていく時代は終わりを迎えつつあります。
様々な技術やアイディアをシェアして、共創による差別化戦略が求められるこれからの時代では、専門知識を得ながら境界を越えていく新たな戦略が求められています。

ロジスティクスITの世界でも、スマートフォンやタブレットなどのデバイス、AWSやAzureなどのデータ層、GoogleやWatsonなどのAI(人工知能)など、これまでの技術と最新の技術の融合が新たな市場を生み出しつつあります。

技術の境界を横断的にリードできるエンジニアや企業が今後の物流イノベーションを牽引していくことになるでしょう。

 

***顧客との結び付きを強める為には***

 

さて今回も前回に続いて店舗小売業のオムニチャネル戦略をテーマに、物流管理や在庫管理の視点で考察をしていきます。

リアル店舗小売業がオンライン販売専業者にサービスの面で遅れをとっている現状に対して、リアル店舗小売業には2つの優位性があると前回書きました。

一つ目優位点は、商品を自宅に配送するだけではなく、店舗で受け渡しをするという選択肢を顧客に提供できること。

二つ目は、顧客の趣味嗜好を把握し、その顧客を理解し、その顧客に合わせて組織全体が動くことで顧客の生涯価値(LTV)を最大化できることです。

顧客を理解する為には、オンラインでは限界があります。
顧客との結び付きを強める為にはリアル店舗という媒体が必要不可欠です。

オンライン販売専業者にはオンラインデータの情報しかないわけですから、オムニチャネル化したリアル店舗小売業の方が顧客ロイヤリティを獲得する上で優位になります。

 

***オムニチャネル化で在庫が何倍にも増える?***

 

しかしリアル店舗小売業者がオンライン販売に踏み切りオムニチャネル化を図る上で頭の痛い問題もあります。

オンライン販売はその特性上、※フルフィルメントに非常にコストがかかります。
(※商品の受注から発送、決済に至るまでの業務全般のこと -コトバンクより抜粋-)

そして何より大きな問題になるのが在庫が増えてしまうことです。
これまではリアル店舗での販売だけで需要を予測すればよかったところが、オンライン販売の需要も予測しなければならなくなり、在庫管理の難易度が上がってしまうからです。

在庫が2倍になるだけならまだしも、多くの場合、3倍にも4倍にも膨れあがってしまうのです。

また返品やイレギュラーによる入出荷も増えるので、在庫管理の煩雑さはこれまでの比ではなくなるわけです。

 

***オムニチャネル化では在庫削減を焦らない***

 

こうして以前より在庫が何倍にもなってしまい、慌てて在庫削減プロジェクトが経営者の号令により実行されるわけですが、これは非常に危険です。

在庫が増えないように効率化や最適化を進める必要はありますが、そうしたオムニチャナルの弱点にばかり目を向けると思わぬ失敗をすることになります。

あるアパレルチェーン店では、オムニチャネル化したことにより、在庫の欠品が増え、商品の品切れによる機会損失が15%も増加したそうです。

色やサイズなどの品切れに対してその場で対応できないケースが増え、顧客は他のお店に流れていってしまいました。

強みとなるはずの顧客ロイヤリティを獲得する為に行ったオムニチャナル化が逆効果となってしまった良い参考事例ではないでしょうか。

次回はオムニチャネル化を進める上でロジスティクスをどのように革新していけばよいのか?について考察したいと思います。

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