経済産業省の報告書から読み解く、2030年における流通・物流システムの姿とは(1)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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経済産業省の報告書から読み解く、2030年における流通・物流システムの姿とは(1)

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企業経営の存在目的は、社会に貢献することです。
そしてその目的追及の結果として、収益を上げることが出来ます。

そしてそうした企業が社会から必要とされ長く繁栄することが出来ます。

いま、「激変の時代」と言われます。

しかし、こうした変化は乱数的ではなく、ある原則によって変化している
と言えるようです。

「世の中の全ての変化は、すべてスパイラルをえがきながら、生成発展している」
ということです。

この不変の大原則のもと、世の中の変化が起きているということを知れば、
企業経営とは、あらゆる変化に適応して、世の中の生成発展の一助を担うと定義
できるのではないでしょうか。

今年も残すところあとわずかとなりました。この一年、沢山の変化がありました。

新しい年を迎えるにあたり、企業を経営するリーダー、組織をまとめるリーダーの
皆様方には上手に変化に適応し、効率的に経営目標を追求して頂きたいというのが
筆者のあつかましい希望です。

 

***流通・物流分野における情報の利活用***

 

さて、今回は経済産業省が今年5月に作成した「流通・物流分野における情報の利活用等
に関する研究会調査報告書」の概要について説明しながら、今後の物流システム、在庫管
理システムに求められる要諦について考察していきたいと思います。

まず本報告書の概略を筆者なりに情報システムに主眼を置いて、出来る限り簡単明瞭に
まとめてみました。

 

◆研究の目的

 

世界に目を向けるとIoT、ビッグデータ、人工知能等の技術を活用する「第4次産業革命」
とも呼ぶべき大変革が見込まれています。

日本政府内においても、新産業構造ビジョンの検討が進められ、様々なプロジェクト
が立ち上がり、この新たな産業に期待をしています。

そうした背景から、消費者と直接接点を持つことが出来る産業として流通業と物流業
のデータ活用に着目し、市場の活性化や新たな産業モデルの在り方について研究をす
ることを目的として本研究会が発足しました。

 

◆流通・物流業の現状のシステムおよびデータ活用

 

我が国において、流通業は日々の暮らしの中で生活に必要な商品を購入するための生
活の基盤となっています。また、物流業は消費者向けサービスのみならず、企業間の物
の流れを管理し、国の産業を支えている重要な産業です。

1960年代高度成長期に入り、これまでの伝統的な小売業よりもはるかに大きいスーパー
が流通業における様相を一変させました。

1980年代にはコンビニエンスストアが一気に拡大し、他の業界に先駆けて、POSシステム
によりデータ活用の大変革を起こしました。

これにより流通業ではこれまでの売上管理だけではなく、商品の単品管理が可能となり、売
れ筋商品や死に筋商品をリアルタイムに把握し、適正な在庫管理や発注管理を可能にして
いきました。

また物流においてもコンビニエンスストアは大きな革新を起こしており、多品種・高頻度・少量
対応の調達物流や各時間帯別の計画配送により、必要な商品を必要なタイミングで供給する
ジャストインタイム物流を導入し、流通業における物流の在り方を根底から覆しました。

このようなジャストインタイム物流を可能にした背景には情報産業の進化も無視できません。

小売業と仕入れ先との企業間オンライン受発注システム(Electronic Ordering System)や、
企業間がオンラインで情報をやり取りするための通信基盤である電子データ交換(Electronic
Data Interchange)の導入が物流効率化に大きく貢献したことを疑う余地はありません。

しかし、こうした情報活用も変革期が近づいていると言えます。

流通・物流業はサービス業として労働集約的な面が大きく、今後予想される人口減少に伴う
労働力不足が大きなダメージとなることは想像に難くありません。

すでに店舗やトラックのドライバー等の不足が課題となり、こうした人材確保の単価も上昇傾向に
あり、流通・物流業にとってはこれまでの情報活用では生き残れない時代がすぐ目の前まで迫って
きているのです。

次回、「2030年における流通・物流システムの姿」、「流通・物流業のシステム活用の課題」につい
て説明をします。

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