第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(5)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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第4次産業革命の到来 経済産業省が示した「新産業構造ビジョン」をロジスティクスの観点で探る(5)

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日本の首都である東京は、徳川家康が拠点を構えたことで大都市へと発展をしました。
では何故、家康は拠点を東京(当時では江戸)に置いたのでしょうか?

これには諸説ありますが、当時メキメキと頭角を表していた家康の実力を恐れた秀吉が天正18(1590)年7月に、
北条氏の本拠地であった小田原城が落城した際に関東へ入るよう指示をされたという説が最も有力です。

つまり、家康は秀吉に言われて仕方なく江戸に入ったというのが定説です。
しかし本当に家康はこの転封に対して全く納得をしていなかったのでしょうか?

江戸は伊勢と品川を結ぶ太平洋海運や、銚子、関宿から浅草に通じている利根川もあり、中世を通じて東国の
水上交通の要所でした。

戦の天才である家康がロジスティクスの観点で江戸の利点を見出していたことは、想像に難くありません。
江戸の恵まれた物資輸送路と水を手にした家康は、江戸を次なる大都市として建設する野望に燃えたことでしょう。

世界の大都市は海や川などの水辺に面しています。多くの人がそこに生活を置くには、そこに住む人々の食料や
水、衣料品などの生活物資が必要になります。

現代では物資を運ぶ経路は空や陸がありますが、当時は船で海や川を渡って運ぶしか手段がありませんでした。
陸で運ぶといっても、道は整備されておらず、ましてや馬や荷車に乗せて運ぶ量はたかが知れています。

余談ですが、江戸時代の頃は、冬は時化(しけ)が多い為、帆に風を受けて動く当時の船では危険で運ぶことが出来
ませんでした。春が近づき暖かくなると大量の物資を積んだ廻船が港に入ってくるのですが、町全体がお祭り騒ぎだ
ったそうです。

このように大量物資を運ぶ手段が船しかない為、必然的に水辺に大都市が建設されることになります。
つまり、物資輸送に有利な水辺に面している都市だけが、大都市に成長することができたのです。

 

*** これまではバーチャルデータが主戦場 ***

 

本シリーズでは2017年5月30日に経済産業省が発表した「新産業構造ビジョン」の内容を簡潔に要約しながら、来る
第4次産業革命で何が起こるのか、そしてそのチャンスをロジスティクス領域でどのように活かすことが出来るのか
を考察していきます。

今回は第4次産業革命を迎えるに当り、日本が世界をリードしていくための基本戦略について説明します。

これまで第4次産業革命の第1幕はバーチャルデータが主戦場でした。

インターネットというバーチャルデータの巨大プラットフォームの世界では、日本は海外企業と大きな差が開いてしま
っています。検索ポータル、SNS、eコマースいずれの分野においても、圧倒的な差が開いてしまいました。
具体的な数字については、前号にて少し紹介しているのでこちらを参考下さい。
https://www.inter-stock.net/column/no159/

ここまで差が開いてしまうと、今から同じ土俵で勝負するのは、さすがに無謀です。「強みを最大限に活かす」というの
が競争の基本原則であるとするならば、我が国の強みをもっと活かせる新たな主戦場を見つけなければなりません。

 

*** 第4次産業革命における新たな主戦場とは? ***

 

私達日本人の最大の強みとは何でしょうか?

「あたながもっともクリエイティブだと思う国は?」という質問に対して、Adobe社がアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、
日本で各国1000人ずつの一般の方を対象にしたアンケート結果によると、なんと日本が一番だったのです。

日本が生み出した世界に誇る知的財産として「KAIZEN」があります。改善(Kaizen)、ジャストインタイム(JustInTime)、
かんばん(Kanban)、ムダ(Muda)、ポカヨケ(Poka-yoke)、見える化(Mieruka)などは英語表記され世界の工場で通用します。

私達日本人は世界一クリエイティブで創意工夫の天才なのです。

こうした日本人の強みを活かせる新たな主戦場として、「新産業構造ビジョン」では「リアルデータ」を巡る競争をあげ、
これを第二幕と定義しました。

日本人の創意工夫の力を発揮すれば、多様で活用可能性の高い「リアルデータ」の蓄積が可能になります。
現場や市場で起こっていることを丁寧に拾い上げる力と創意工夫の力を活かすことで、リアルデータから新たな価値
を生み出すことが出来るのです。

 

*** おわりに ***

 

このリアルデータの利活用で世界をリードできるのは、日本人しかいないと筆者は信じています。
そして、何度もしつこいようですが、このリアルデータの主導権を握ることが出来る一つの分野が物流なのです。
とくに流通市場においてこれは揺るぎないものとなっていくことでしょう。

日本の物流は世界でもトップクラスです。第4次産業革命の第一幕であるバーチャルデータでは、プラットフォームを
完全に海外に譲ってしまいましたが、第二幕となるリアルデータでは、日本が国と企業と教育機関が一つになり、
プラットフォームを早期に構築して世界をリード出来るはずです。

船のプラットフォームを有した都市が大都市に成長してきたように、リアルデータのプラットフォームを有した国や企業
がこの第4次産業革命で大きく発展していけるのです。

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