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世界の物流先進国と日本企業の物流戦略の差 ~世界水準の物流戦略に迫る!~

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画像素材:maroke / PIXTA(ピクスタ)

 

*** 縮まらない世界との差 ***

 

「何が足りないんでしょうね・・・」

西野監督が試合後の記者会見で絞り出すようにして発したこの一言が、近いようで遠い、どうしようもない世界との差を象徴しているようでした。

2018FIFAロシアW杯決勝トーナメント1回戦でベルギーと対戦した日本は2-3で敗北し、ベスト16で大会から去ることになってしまいました。

ベルギー代表はFIFAランキング3位の優勝候補筆頭。
主力選手の多くが欧州のビッククラブで活躍するスター軍団相手に2-3の結果は大健闘ですが、1対1でのフィジカルや試合の運び方は強豪国と比べると結果以上の大きな差があるなと痛感した試合でした。

いよいよベスト4が出揃いました。
ワールドカップ・トロフィーを掲げるのはどこの国でしょうか。今から楽しみです。

 

*** 日本企業の物流戦略を世界と比較 ***

 

『なぜアマゾンは「今日中」にモノが届くのか』の著者である林氏は、「アマゾンと他の日本企業の物流システムの現状は、大学生と小学生ほども差がある」と語っています。
著者の林氏は、アマゾンジャパンでサプライチェーン部門とテクニカルサポート部門の責任者を歴任し、現在は株式会社鶴の代表を務められています。

 

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「大学生と小学生ほどの差」というのは、日本企業にしてみれば少しショックな表現ですが、アマゾンジャパンで実際に主要部門の責任者を務めた経験を持つ著者が、肌で実感した世界との差ではないでしょうか。

多くの企業にとって物流自体は利益や付加価値を生まない裏方部門に過ぎない為、どうしても目先のコストカットにばかり意識が向きがちです。

しかし、国内でも“競争力の高い企業ほど物流に拘っている”という認識が定説になりつつあります。
物流戦略に対する考え方は明らかに変わってきています。
物流で需給をコントロールし、付加価値を生み出せることを多くの企業がアマゾンなど海外で急成長する企業を見て刺激を受けたからです。
物流を生産や販売と同じレベルで戦略化して全体最適していくことが、企業経営にとっては非常に重要だと多くの企業が気付き始めているのです。

 

*** 国内企業の物流戦略事情 ***

 

それでは国内企業の物流戦略についての取り組み状況は実際のところどういったレベルでしょうか。
まずは荷主企業側から見ていきましょう。

荷主企業の物流に関しては、やはりまだまだコスト削減がもっぱらの感心事となっています。
サプライチェーンの全体最適や組織再編によるドラスティックな改善の話しは殆ど聞こえてきません。
東日本大震災を契機に、企業もロジスティクスの重要性を再認識するようになったはずですが、メーカーや製造業を中心に物流はコスト対象という意識がまだまだ根強く残っているのが現状です。

続いて物流企業側を見てみましょう。
高度成長期に自動車産業や電気産業が主要産業になると、海外との国内の生産ラインを結ぶロジスティクスの時代になりました。
そして、本格的な国際化時代に突入すると、荷主企業はより効率的なロジスティクスを追求するようになりました。

物流企業は、荷主企業の物流業務を一括して請け負うサードパーティー・ロジスティクス(3PL)へと進化しながら、より高度な物流機能を提供するようになりました。
「3PL」といった新たなアプローチが見られるとはいえ、力関係からすれば明らかに荷主企業のほうが上であるせいか、国内の物流企業は提案型の営業が非常に少ないのが実状です。

本来であれば、物流企業がメーカーや製造業の荷主企業の物流を世界水準に押し上げていく役割を期待しますが、物流企業と荷主企業の立場関係がそれを阻害しています。
日本では荷主企業が物流企業より立場が強い為、なかなか下から上に向けての提案が難しい状況なのです。
お互いの立場がフラットにならなければ国内企業の物流水準は上がっていかないでしょう。

 

*** 「何が足りないのか?」世界と国内企業との差 ***

 

世界と国内企業の物流戦略の差はどこから生まれるのでしょうか?
以下に筆者が考える世界と国内企業の物流戦略の差を3つほどご紹介します。

 

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1.物流業界のドラスティックな再編

ドイツポスト(日本の日本郵政グループに相当)が国際宅配便会社のDHLを傘下に収めたように、海外では物流業界のドラスティックな再編が活発ですが、日本国内ではこうした動きはほとんどありません。
国レベルでの物流構造の再編が進まない限り、今後の物流危機の根本解決は厳しくなるでしょう。

DHL・・・全世界の国際航空貨物取扱量の12%を占める、航空輸送におけるリーディングカンパニー。

 

2.優秀な人材を物流領域に投入

米国では、物流部門を統括するCLO(チーフ・ロジスティック・オフィサー=物流担当取締役)という役職が存在します。
また、MBA取得者が経営視点で物流をマネジメントするやり方も一般化しています。
常に優秀な人材を物流領域に投入し続けています。

 

3.物流領域の情報テクノロジーの投資

海外では、積極的な物流領域へのテクノロジー投資により、組織形態を作り変え、また組織間のつながりを本質的に作り変えています。
国内でもこれまで情報技術は効果的なロジスティクス管理の中心でしたが、情報テクノロジーへの投資によって、競争的ロジスティクス戦略の原動力としている企業は多くありません。

海外の企業がサプライチェーンに投じる技術資金は毎年増え続けています。
BtoBのEC市場最大手のアリババは、今後数年の間に約160億ドルを物流領域に投資する方針を掲げており、物流改革に対する同社の本気度が伺えます。

 

*** 最後に ***

 

我が国の宅配便は世界でもトップ水準です。
日本の宅配便から生まれた「低温物流」のサービスなどが中国や東南アジアにも拡大しつつあります。
東南アジアには熱帯地域も多いので、温度管理は非常に難しくなります。
しかし、きめ細かい日本型の物流がそのサービスを可能にしています。
トラック走行の緻密な管理、レベルの高いドライバーの育成など、日本型物流の代名詞でもある宅配便は世界からも高い評価を得ています。

こうした点を見てみても、日本が得意とする組織力や緻密な作業は非常に物流に向いていると言えます。
物流テクノロジーの可能性を最大限に引き出し、日本が得意とするマネジメントを活かすことができれば、日本の物流が世界をリードする日も近いのではないでしょうか。
いま日本企業に欠けているのは、能力やスキルではなく、物流に対する認識です。
どれだけ本気で物流に目を向けることが出来るかが問われています。

「日本企業の物流戦略には何が足りないのでしょうか?」本章が皆様のこの問いに対する解を得る一助になれば幸いです。
近い将来、多くの企業の理解と努力によって、日本企業のロジスティクスが世界水準を超えることを期待します。

 

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