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自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~卸売業編③~

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画像素材:Rawpixel / PIXTA

 

*** 卸売業が持つ経営資源に注目しよう ***

 

卸売業が、産業の中でも低収益であることについては前回お伝えしました。
今回は低収益が常態化してしまっている卸売業が、今後高収益を確保していく為の、新たな経営戦略について考察します。

古くから国内のメーカーと小売の双方の間に入って取引を行ってきた卸売業には、実は他産業には無い豊富な経営資源が沢山蓄積されているのです。
豊富に品揃えされた在庫・物流センター・メーカーや小売との強いパイプと信頼関係・情報網や物流網・・・などであり、国内の産業を円滑に運営する上で必要な潤滑油となる貴重な資源を持ち合わせているのが卸売業なのです。

業界が古いこともあり、卸売業には2代目・3代目の経営者の方が多いのですが、「御社の強みは?」と聞くと「差別化が難しい業界だから・・」とポツリ…。
自社の最大の経営資源に気付いていない経営者が多いのです。

先代から長年築き上げられた卸売業にしかない四大経営資源(ヒト・モノ・カネ・情報)をまずは整理してその資源を有効活用する視点が重要です。
これは古くから伝わる経営の基本原則ですね。
中小企業は使えるリソースも限られていますので、いかにいま手元にある資源を活かして新たな戦略を打ち出すかが成長の鍵を握るのです。

 

*** 卸売業が共同配送サービスを主導する ***

 

卸売業が持っている貴重な経営資源を活かせる新たな戦略として、共同配送サービスを提案します。
なぜなら、卸売業の経営資源を統合・組織し、メーカーと小売りのサプライチェーンを効率化する重要な役割を卸売業が果たせると確信しているからです。

最近ではTCを利用した総量納品型の運用が多く用いられています。
小売側で物流センターを設け、そこで各メーカーや卸売業者の仕入れ商品を一括で受入します。
この物流センター内で店舗、商品のカテゴリ毎に商品を仕分けして、一括して各店舗に配送を行います。
店舗への納品精度を向上すると共に、店舗側で単品検品の廃止(ノー検品)、品出し作業の効率化が可能です。
センター納品、一括納品とも言われるこの調達物流方式は、店舗内物流の作業が大幅に削減できることから、現在では主流となっています。(下図参照)

TC・・・Transfer Centerの略。商品を在庫せず、納入された商品を仕分けて配送を行う通過型物流センターのこと。

 

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実はこの総量検品型(センター納品)が一般化することで、卸売業は中間流通領域において3PLに対しての競争優位性を失ってしまい、輸送料金のたたき合いに巻き込まれてしまったのです。

3PL・・・サード・パーティー・ロジスティクスのこと。荷主にロジスティクスの企画・設計・運営を行う物流専用事業者のこと

 

下の図をご覧下さい。サプライチェーンにおける中間流通(赤枠)に対して機能が2つに分断されてしまっています。
このTC(通過型センター)の運営や配送を3PL業者が担うケースが増えてきています。
この場合、TCの運営コストを仮に3%だとするとこの費用をどこかが負担しなければならなくなります。

ではどこが負担するべきなのでしょうか?
実はこの問題は「センターフィー問題」として、以前から業界では根強く残っています。
総量検品型を選択している小売業としては、食品スーパー・ドラッグストア・100円ショップ等が大半ですが、これらの企業がセンターフィーを負担することは稀で、多くのケースでは納入側である卸売業やメーカーが負担しているのです。

 

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卸売業にしてみれば、自社がTC(通過型センター)に納品する物流費も負担して、その上TC(通過型センター)の運営コストまで負担を強いられるわけですから、低収益になるのは必然と言えます。

このような低収益構造から脱する為に、卸売業が今後目指すべき新たな事業戦略の目的として下記の2点を提案します。

 

事業プラン1:今後の売上拡大を図る為、新規顧客の獲得戦略手段として「共同配送サービス」を事業化する。

事業プラン2:小売業が運営するTC(通過型センター)に代わり、卸売業側の在庫で店舗への出荷を可能とする。

 

卸売業者の取り扱いアイテムが限定されている場合、”事業プラン2″の卸売業側の在庫で店舗への出荷を可能とするのは現実的ではありません。
何故なら、小売り側にメリットを提供出来ないからです。小売側の最重要なニーズは仕入コスト削減と店内作業の効率化です。

“事業プラン2″のみだと、センターフィー分を仕入コストから引いてあげることで小売側に還元できたとしても、店内作業の効率化においては、逆に不効率になってしまう為小売側から敬遠されてしまいます。

“事業プラン2″を実現する為には、”事業プラン1″が不可欠となります。
卸売企業が主導となって共同配送サービスを事業化することができれば、上の図の【今後の卸売業のポジション】の通り物流費5%のみで小売側に調達物流を提供することが可能となります。

卸売業が小売側に今後提供していくべきメリットをここで改めて整理してみましょう。

 

1.店舗内物流のオペレーションの後方支援をする物流体制構築

2.共配を主導することで、センターフィーの概念を撤廃しつつ店舗への納品回数を集約する

3.共配による輸送効率化で仕入コストの削減

 

*** まとめ ***

 

本来、卸売業者と小売業者は互いに平等な利を求め合うビジネスパートナーとして関係を構築しなければなりません。
商品を売る側(卸売側)が弱くて、商品を買う側(小売側)が強いという日本の悪しき商習慣がこのセンターフィー問題を常態化させてしまっているのです。

顧客を開拓し、商品を売る場所を設け、販促を行うのが小売業の役割だとすれば、商品を的確に手配・輸送するのが卸売業者の役割です。
互いに日本の産業を支える上で平等の立場であり、それぞれなくてはならない存在です。
であれば、メーカーから店舗までの物流の輸送コストはお互いで平等に分担されるべきです。

例えばメーカーの工場からTC(通過型センター)までの輸送費用は卸売業側で、TC(通過型センター)から店舗までの輸送費用は小売側で負担すれば、現状より公正な取引となるのではないでしょうか。

今回ご紹介した卸売業主導型の「共同配送サービス」は新中間流通産業への脱皮だと考えています。
この新戦略こそ、卸売企業が取り組むべき21世紀のロジスティクス戦略であると確信します。
メーカーと小売業の間に位置し、そのサプライチェーンを効率化するためのロジスティクスシステムを構築することで高収益化を図りつつ、労働力不足や運賃高騰に苦しむ流通業界に貢献できる卸売企業が1社でも増えることを期待します。

 

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参考文献
臼井 秀彰著『卸売業のロジスティクス戦略』 同友館
尾田 寛仁著『仮想共配プロジェクト』 三恵社
原田 啓二著『物流経営戦略の新常識』 流通研究社

 

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