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自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~卸売業編⑤~

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画像素材:Graphs / PIXTA

 

卸売業界が置かれる現況と特徴を俯瞰することで、今後の卸売企業に求められる戦略とは何かについて考察します。
今回は以下の2点について説明し、その上で中長期的な戦略構築のヒントを得たいと思います。

1.物流現場の人手がBtoCに流出

2.集中化率が低い日本の流通構造

 

*** 1.物流現場の人手がBtoCに流出 ***

 

食品を扱っている卸売業では、冷蔵・冷凍倉庫の作業が労働者に大きな負担となっています。
低温での物流作業は過酷で人が集まりにくく、定着しにくいのが実状です。
筆者も顧客の現場でマイナス30度の冷凍倉庫に入ったことがありますが、普通のスーツで入ったので5分しないうちに限界がきました。
実際に働いている現場の方は、会社から支給される防寒着を着込んで作業をされていましたが、それでも顔は覆えないのでまつ毛を凍らせて作業されていました。

卸売業界の物流現場でも、他業界の例に漏れず人不足は深刻化しています。
ECの物量増加を受けて、BtoC企業が働き方改革の推進などで人手の確保を強化しており、BtoBの人員がそちらに流出するケースも増えていると聞きます。

BtoC・・・Business to Consumerの略。企業が一般消費者を相手にしたビジネスのこと。
BtoB・・・Business to Businessの略。企業と企業による商取引のこと。

卸売業界も今後は労働環境の改善と賃金の上昇を推進していかなければ、人材確保は増々厳しくなると予測されます。
これからは新技術の応用と高齢化、どちらが早く進むかの競争になっていきます。
そのためにはWMS(倉庫管理システム)を導入することで、入荷や出荷にかかった時間、物量(ケース量・ピース量)などを併せて分析していくことが大切です。

分析をスピーディに行える仕組みがあることで、作業の標準化、生産性向上を図ります。

また労働環境の改善も必要です。
例えば低温エリアについては、パレット自動倉庫などを積極的に導入して作業者の負担の少ない環境に変えていくことが重要です。
しかし、パレット単位の管理では少量多品種、低回転の商品には対応しきれません。
そこでケース自動倉庫等の導入も検討してみましょう。コンテナやケース単位で入出庫を可能にするシステムも導入が進んでいます。

 

*** 2.集中化率が低い日本の流通構造 ***

 

以前、日本とアメリカでは流通構造が大きく違うということについてご紹介しました。
その証拠に欧米で成功している大手小売業はことごとく日本市場から撤退しているという点についても触れました。
日本の流通構造はガラパゴズ化しており、欧米の大手のやり方が通用しなかったのが大きな要因です。

もう一点、日本の流通構造で大きな特徴があります。それは集中化率が低いということです。
川上(メーカー)、川下(小売)の集中率が欧米に比べると圧倒的に低いのです。
日本の場合は同一カテゴリーに10社近くメーカーが存在することも珍しくありません。

ただこれまでは、川上も川下も多くのプレイヤーが存在する点が日本の流通構造の特徴だったのですが、川下については年々この集中化率が高まっている傾向にあります。
特に食品小売りやスーパーなどはこの傾向が強いです。

27年度のスーパー業界の市場規模は17兆2,020億円が、このうちトップのイオンが5兆7千億円、2位のセブン&アイ・HDが2兆円です。
トップ2社で44%の市場占有率を誇っています。

また書籍の流通もこれに似ており、全国の書店は急速に集中化が進んでいます。
1990年代の終わりには2万3000店あった書店は、現在では1万2000店にまで減少しています。
この20年で2分の1に集約されたことになります。

ただそれでも、欧米諸国に比べると日本の場合は集中化率は非常に低い為、川上・川下も巻き込んだ作業の平準化が重要な戦略になります。

 

*** 労働力を最大化する自動化・平準化に挑戦 ***

 

先に説明した通り、日本と欧米では流通構造が異なり、日本は川上・川下ともに集中率が低いのが特徴です。
この我が国の流通構造の特徴は卸売業にとって重要な2点の示唆を与えてくれます。

1.国内のサプライチェーンは卸売業を介した方が効率化される

2.川上と川下を巻き込んだ作業の平準化&自動化が重要

そして、川下側(小売)が急速に集中化してきている今が、川上と川下を巻き込んだ作業の平準化を進める最大のチャンスなのです。
この絶好のタイミングを逃さず、卸売企業が主体性を持って、既存の労働力を最大化する自動化、平準化に取り組まれることをお勧めします。

 

*** 情報のデジタル化を推進する ***

 

作業の平準化を考えた場合、情報の流れ以外にも、キャッシュ・商取引・物流を併せた合理化策が欠かせません。
これら全体の流れを最新の情報技術を駆使し、適正なマネジメントを実現することが基本になります。

しかし、これは情報技術が一般企業で活用され始めた当初からずっと言われ続けたことでもあります。
発注・受注・納品・決済など全ての商取引情報を電子化し、Webを介して交換することで流通合理化は飛躍的に向上すると言われ続けてきました。

確かに部分的にはこの通り実現したとも言えるし、全体で見ればまだまだ道半ばと言えるのが現状ではないでしょうか。
卸売企業はメーカーや小売企業と、もっともっと積極的に連携し、川上・川下を巻き込んだEDIによる情報交換に挑戦していく必要があります。

情報のデジタル化は、卸売業が今後力を入れていく「センター物流」を主軸においた共同配送サービスとも強く関連してきます。
※共同配送サービスについてはこちら⇒自社の物流を変えよう!『業界・業種別』物流改善のヒントとノウハウ ~卸売業編④~

今後は情報の主導権を握った企業が、サプライチェーンにおいても主役になれるからです。
それは世界で既にグーグルやアマゾンが証明しています。

集中化が進む小売業に向けた新たな調達物流システムの構築こそ、卸売業のロジスティクス戦略として今後最も取り組むべき課題なのです。
情報をデジタル化し、集計や分析のスピードを向上することで課題の共有を図ります。

さらに言えば、今後は小売業→消費者のBtoCロジスティクスを支える共配サービスが卸売企業の戦略の中心になっていくでしょう。
この領域はこれまで物流業者・3PL業者の得意分野でした。
しかし、小売業に対する強い配送網をリソースとして持っている卸売業が小売業者のBtoCの配送を共配サービスを通して支援していくことは必然と言えるでしょう。
ロジスティクスは企業単位ではなく、エリア単位で纏めた方が効率的であるのは、周知の事実なのですから。

 

*** 川上と川下を巻き込んだASN網を構築する ***

 

我が国の場合、長年に渡る物流コスト軽視の商習慣によって、小分けの中間流通が常態化してしまいました。
それによって日用雑貨卸、食品卸、菓子卸などの企業はすべてピース単位の出荷を行っています。
その為、商品を受け入れる側では箱を空けてピース単位での入荷検品が常態化しています。

メーカーから納品される荷物は卸売企業の担当者によって数量検品が行われており、賞味期限などの鮮度管理が必要なアイテムについては、一つ一つ手入力しています。

卸売企業側はこの検品作業に非常に多くの時間をかけており、その間ドライバーは待っていなくてはなりません。
卸売側とメーカー側で事前出荷情報(ASN)というシステムを整備することで、こうした問題の多くは解決されます。

卸売側がメーカーに発注した後、メーカーから事前に出荷数量と賞味期限などの商品情報を返してもらいます。
卸売側は納品された商品に貼付けされているSCMラベルのバーコードをスキャンすることで、入荷数量、賞味期限を一発で確定出来るため、検品作業が大幅に効率化され、結果、ドライバーの待機時間も大幅に削減出来ます。

小売企業に対してはこれとは逆の仕組みを構築することになります。
但しこちらについては、対メーカーよりも導入が進んでいます。
このように川上と川下両方とASN(事前出荷情報)によるシステムを整備するには相応の手間と費用がかかります。

しかし、卸売企業が覚悟を決めてこの領域に積極投資することで、サプライチェーン最適化が進むことは間違いありません。

 

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*** 最後に ***

 

高度な情報システムを背景に、最適な売り場支援と営業活動を展開し、最適なサプライチェーンを築き上げることが卸売企業の物流戦略の最終目標です。

卸売業の物流はこれまで小売業の強い要望に応えるため、やむを得ず小分けの中間物流を構築してきました。
そして、本来であれば小売業側で行う必要のある検品や決済などを代行してきたのです。
このようなきめの細かいサービス対応をロジスティクスの機能で見た場合、卸売業はかなりの部分で小売業側で負担すべきはずのロジスティクスを担ってきたのです。

この小売物流のロジスティクス機能をリソースとして持ち合わせている卸売業が、今後このリソースをどのように活かして、EC事業者や物流事業者と差別化をしていくかが今、まさに問われています。

 

最後まで読んで頂いた方にお知らせ

卸売企業は今後、川上・川下両方でASN網を速やかに構築していく必要があります。
ASN網を構築することで、物流担当者の負荷を軽減し、ドライバーの待機時間も短縮できます。
SCMラベルの対応・ASNによるノー検品の対応・無線ハンディターミナルによる店別・カテゴリ別の仕分け機能を実装したWMS(倉庫管理システム)は必須となります。
卸売企業にも多数導入実績のある「INTER-STOCK」はこうした機能を短期間、低コストで導入可能です。

 

「INTER-STOCK」の導入事例、パッケージ機能の詳細については下記バナーをクリックしてご確認下さい。
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参考文献
『月刊激流 2018年4月号〔続・物流危機 値上げの連鎖で競争環境激変〕』 豆ノ木書房A
臼井 秀彰著『卸売業のロジスティクス戦略』 同友館
尾田 寛仁著『仮想共配プロジェクト』 三恵社
角井 亮一著『小売・流通業が知らなきゃいけない物流の知識』商業界