在庫管理システムの担当者が知らなきゃいけない業務知識 ~受注に対する在庫の引当②~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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在庫管理システムの担当者が知らなきゃいけない業務知識 ~受注に対する在庫の引当②~

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画像素材:Graphs / PIXTA

 

*** 効果性の高いチーム作り ***

 

世の中のほとんどの会社のトップは、「もっと一生懸命頑張れ、売上を伸ばせ!」と良く言います。
事実、筆者も過去に勤めた会社では社長にそれしか言われませんでした。
「何故売れないんだ?」「頑張りが足りないのではないか。」と毎日のように言われたことを今でもよく覚えています。
しかし、肝心なことは「こういった会社になろう」「こういった方向を目指してやろう」という会社のビジョンを示すことだと思います。
自分達の仕事の先にある理念や使命をきちんと示してあげることで、社員が自分の役割を考えて、主体的に行動するようになるのではないかと思います。

これは企業の中の部門リーダーとその下で働く部下との関係でも同様です。
物流部門のトップが、「もっと効率化しろ」「もっと生産性を上げるんだ」「在庫をもっと減らせ」といくら言っても、現場は言われたことをするだけで、そこからやり甲斐を見出すことは難しいと思います。
経営者や部門のトップが理念や使命をことあるごとに口にすることで、現場は勇気づけられ、目的を一つにする仲間だと意識するのではないでしょうか。

売上を上げろとか、もっと効率化しろとかばかりだと社員一人一人の想像力や個性を限定的なものにしてしまいます。
人は皆、学歴や頭の良し悪し関係なく、豊かな想像力と個性を兼ね備えています。
また、日本人は昔から仲間意識、帰属意識、協調性が高いと世界からも評価されています。
現場の社員が自分達で考え、経営者や部門トップは現場の声に真剣に耳を傾けることで、最高のパフォーマンスを発揮することができるのではないかと思います。

 

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*** 在庫引当処理5つのポイント ***

 

さて、本題に移ります。
前回は在庫引当処理の基本的な考え方について解説をいたしました。
今回は、在庫管理システムの導入で失敗しない為に、必ずおさえておきたい下記5つのポイントについて順に解説したいと思います。

 

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この5つのポイントについて、自社のシステムの設計が運用に合っているかを関係部門と協議し、また在庫管理システムのパッケージを導入する際は、パッケージの基本設計がどうなっているかをベンダー側に必ず質問するようにしましょう。

 

*** 1.引当処理をどこで行うか ***

 

新たに倉庫管理システムや在庫管理システムを導入する際に、在庫引当処理をどこで行うかがよく議論になります。
これまで通り基幹システム(販売管理システム)側で行うのか、それとも倉庫管理システム、在庫管理システム側に任せるのか。
この点については、世の中にこうしなさいという方法論や正解が無い為、多くの方が悩まれます。
まずは、それぞれのメリットとデメリットを簡単に整理してみましょう。

 

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筆者の見解としては、最近ではAPIによるシステム間のリアルタイム連携が主流になっていますので、基幹システム側と在庫管理
システム側でAPI連携による在庫同期が可能であれば、在庫管理システム側で引当処理を実行するのがベストだと考えます。

※API・・・アプリケーションプログラミングインタフェース(Application Programming Interface)の略。
      ソフトウェア同士がデータをやり取りする際に使用するインターフェースのこと。

基幹システムにはロット別在庫や、ロケーション別在庫といった考え方が基本設計されていない場合が多いので、引当処理を実施しても結局在庫数だけの引当になってしまいます。
これだと結局、在庫管理システム側でロットやロケーションを考慮した引当処理を再度実行する必要になる為、引当処理が重複してしまいます。

基幹システム側で在庫管理システムと在庫同期する改修コストが余程高額でない限りは、倉庫管理システムや在庫管理システム側で引当処理を行う事を推奨いたします。

 

*** 2.引当の対象について ***

 

顧客から商品の購入の意思表示があった際に受注処理が確定されます。
受注処理が確定されると基幹システム(販売管理システム)で受注伝票データの登録が行われます。
この際に、倉庫に保管されている在庫数が受注数よりも多ければ、倉庫にある在庫が引当されて処理完了です。
しかし、倉庫に保管されている在庫数が受注数より少ないケースはどうなるでしょうか。

1.欠品扱いにして、受注を取り消す。

2.未来在庫に対して引当を行い、顧客に最短納期を返答する。

一つ目の欠品扱いにする方は、受注データをキャンセル登録すれば済む話ですので簡単ですね。
しかし、二つ目の未来在庫に対して引当を行うというのは、在庫管理システム担当者やエンジニアからすると少々やっかいな話になりそうです。

未来在庫というのは、業態によって考え方が異なります。
商品を仕入れて販売する形態の場合は発注した商品が未来在庫となり、製品を製造して販売する形態の場合は、生産指示した製品が未来在庫となります。
そして未来在庫の場合は、いつその商品が実在庫になるのかがとても重要です。
その為、仕入先や製造部門からの納期回答と、リードタイムの緻密なマスタ管理が肝になります。

 

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在庫管理担当者やエンジニアは、どこまでを在庫引当対象にするかを販売部門や製造部門とよく確認する必要があります。
仕入商品にしても、製造品にしても確約できない信頼性の低い引当になってしまうようであれば、引当対象から外さなければなりません。

未来在庫に対して引当を確定するということは、仕入先や製造部門からの納期回答を顧客にコミットすることになります。
もし未来在庫の引当が信頼性の低いまま在庫管理システムが未来在庫を引当対象にしてしまうと、在庫管理システムの信頼性は低くなってしまうことでしょう。

仕入先から商品を仕入れる場合は、仕入先毎にリードタイムの設定が重要になります。
信頼性のおける仕入先であれば実際のリードタイムをそのままマスタ値として利用すればOKですが、納期遵守率の低い仕入先や、海外輸入などの場合は実際のリードタイムにリスクを加味したバッファを足してマスタ値を設定しましょう。

製品を製造して販売する場合は、どこまでの計画を在庫引当対象にするかを決定する必要があります。
3ヶ月先の未確定の生産計画を引当対象にするのか、1週間の確定の生産計画を対象にするのか、生産着手された生産計画に対してのみ対象にするのか等を生産部門と協議して下さい。
引当対象が明確にされていることで、販売部門では顧客に対する納期交渉がスムーズになりますので間接的ではありますが自社の売上に貢献することもできるのです。

次回はFIFOやロケ別の引当等、いくつかある引当の種類について詳しく解説をしますのでご期待ください。

 

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