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2019年05月21日配信分
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経営を支える-経営者が学ぶITを活用した物流へのアプローチ -第三回-

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画像素材: Rawpixel / PIXTA

 

皆さんは、Logistics Tracking Problem(ロジスティクス・トラッキング・プロブレム)という単語を聞かれたことがあるでしょうか?
荷物が追跡出来ないことにより生じている、様々な課題のことを言います。
これを追跡できるシステムを構築しようと、多くの企業が様々な取り組みを行っていますが、なかなか思うようにはいかないようです。

B2Bの受発注におけるデジタルサプライチェーンの取組みが進む中で、徐々にではありますが、サプライチェーンはエコシステムへと進化しています。
静的で直列なバリューチェーンから、動的で柔軟なWEB型のエコシステムへの変貌です。(下図参照)
※ここで言うWEBとはネットの方ではなく、クモの巣をイメージ下さい。

 

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サプライチェーンは、企業経営者にとって全く新しいイノベーション創造のチャンスであり、戦略的な武器になっていきます。

「これまでもそうではないか」と言われてしまいそうですが、これまでとは全く違う次元(レベル)での競争戦略に突入していると言えるでしょう。

従来は、自社優先型の取り組みが中心でした。
しかし、エコシステム化していくサプライチェーンの中では、自社優先型ではいずれ取り残されてしまうことになるかもしれません。
個社単位ではなく、サプライチェーン全体の最適化が優先され、様々な外部インターフェースにより、情報の共有と活用が進みます。
企業が取り扱う情報の中で、外部(顧客や取引先)から入ってくるデータは40%を占めると言われています。
つまり、それだけ外部インターフェースが重要になってくるということです。

ちなみに、国内のB2B取引におけるFAXでの情報のやり取りは、毎月数億枚(正確な数字は分かっていません)とも言われています。

その中でも物流はFAXを非常に多く利用する領域です。(発信より受信が圧倒的に多い)
入荷予定や出荷依頼をFAXで受信して、それを倉庫管理システム(WMS)に手入力して、出荷指示データを生成する流れが一般的です。

これまでの企業間でのデータ活用は1:1のデータ交換が主流でした。
しかし、今後は企業のERPの外でデータを共有し、サプライチェーン全体でそのデータを活用し、意思決定することで、これまで解決不可能だった多くの課題を解決していこうという流れが起きています。

「弊社のデータは貴重な財産だ。他社には公開出来ない」、「公開しても良いがその仕組みがない」等と、いつまでも言っているようでは、いずれサプライチェーンの中で優位なポジションを失うことになりかねません。

これから先の10年は、コネクティビティとロケーションベースの情報処理の新しい時代に突入するでしょう。
追跡技術と位置情報サービスは今後更に高度なサービスが提供されます。
こうしたテクノロジーがますます多くの企業によって活用されるのです。

5Gによって、これまでになかった高速でより正確なネットワークのおかげで、モノや人物の追跡はより正確になります。
こうしたネットワークにコネクトすることで、多くのプレイヤーが自律的生産、自律的物流を可能にし、エコシステム化へと統合されていくのです。

トレーサビリティやトラッキングのデータを適切に管理、分析することが可能となり、サプライチェーンで発生するリスクを予測可能なものにします。
サプライチェーンのためのブロックチェーンの活用も進んでいきます。
経済産業省が報告した情報によると、ブロックチェーン技術が日本経済に与える影響は67兆円、その約半分の32兆円はサプライチェーンマネジメント(SCM)領域での活用だと言われています。
※ブロックチェーン・・・インターネット上の複数のコンピューターに、公開鍵暗号などの暗号技術を組み合わせ、取引情報などの
データを同期することで信頼性を維持するための技術。

今まさに、新たなコネクティビティ時代に企業がどのように適応するかが問われているのです。

 

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*** トレーサビリティはレベルに合わせて導入 ***

 

企業が自社の製品を責任をもって顧客に届けるために必須となるのが、トレーサビリティシステムです。
その製品がいつ、どこから出荷され、またその製品がどの工場でどの部品や材料から作られたかを一気通貫で辿ることを可能とするシステムです。
トレーサビリティのシステムがなければ、顧客からのクレームや製品不良が発生した場合に、原因追及や影響範囲について迅速に確認、対応することが難しくなります。

トレーサビリティにはいくつかのレベルがあります。
単純に製品の入荷情報、最終出荷情報を記録する方式と、製品の生産情報から串刺しに遡って追跡する方式です。
取り扱う商品や製品、または業態によって求められるレベルが異なりますので、これからシステム化を検討される企業は、自社に必要なレベルに合わせて導入すると良いでしょう。

食品や医薬等、問題が発生すると人体に影響を及ぼすような商品を取り扱う場合は、高いレベルのトレーサビリティが求められますし、人体に影響を及ぼさないような商品を取り扱う場合、または卸売業や小売業のように生産しない業態の場合は生産情報との紐付けは今のところ求められていません。

またトレーサビリティにはトレースバックトレースフォワードという2つの機能があります。
トレースバックは、顧客に届いた製品情報から遡って生産情報を調査する方式です。
反対にトレースフォワードは問題の原因を追究したのちに、その影響範囲を受ける製品ロットを特定する方式です。

顧客から製品不具合の連絡を受けるとまず、トレースバックにより原因を調査します。
顧客から得られる情報から最終出荷先、製品のロット情報、シリアル情報等を探ります。
該当のロット、シリアル情報が判明すれば、そこからさらにその製品が生産された工場、利用された原料等を探ります。

ここまでがトレースバックの一般的な流れになります。
利用された原料とその原料ロットが判明すれば、次はそこからトレースフォワードにより発生した問題がどの範囲に影響するかを調査します。
同様の原料ロットがどの製品ロットに利用され、またその製品ロットがどこの拠点に在庫されているか、もしくは最終出荷先はどこかを特定することで、影響範囲に該当する製品を全て回収、または顧客へ事前告知することが可能になります。

 

*** トレーサビリティの基本はロット管理 ***

 

トレーサビリティを実現する上で、必ず必要になるのがロットナンバーの記録と采番です。
生産に利用する原料のロットナンバーの記録、生産された製品のロットナンバーの采番の仕組みがトレーサビリティをシステム化する上で最重要な工程となります。

ここが正しく記録、采番されていないとトレーサビリティシステムは正しく機能しません。
サプライヤーから原料が入荷された際にハンディターミナル等を利用してロットナンバーを記録し、在庫情報に付加します。
続いて製造工程では、利用した原料のロットバンバーを記録し、最終製品が倉庫に入庫される前工程でも製品のロットナンバーを采番します。
しかし、日本の製造業では製品にロットナンバーを付加する機能が無いケースも少なくありません。

そのような場合は、倉庫管理システム(WMS)側で製品入庫時に自動的にロットナンバーを采番する方法が簡単です。
入庫時の日付情報と日単位の連番により固有のロットナンバーを采番し入庫情報、在庫情報と関連付けする方法です。

 

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*** ニーズが高まる物流トラッキング ***

 

物流トラッキングとは荷物の追跡を行うことを言います。
移送中の荷物が今どこにあるのか、どの車両、どの船で運ばれているのか等を追跡します。
ヤマトや佐川の宅配サービスでは、この物流トラッキングシステムをサービスとして顧客に提供しています。
送り状に記載されている荷物NOをWEBサイト上で入力すると、今どこにあるのかを教えてくれます。

またAmazonなどのECサイト大手も同様のサービスを提供しています。(下図参照)

 

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BtoCのECの世界では当たり前になった物流トラッキングですが、BtoBでの利用はまだまだこれからといったところです。
BtoBの場合、複雑なサプライチェーンの中で多くの企業が情報を共有する仕組みが必要になるため、自社の都合だけで構築が難しいのが実情です。

しかし、物流トラッキングは関係するすべてのプレイヤーがそのメリットを享受できます。下記に主なメリットをご紹介します。

1.移送中の在庫が把握できるため、より精度の高い在庫管理を実現できる
2.遅延が発生した際、すぐに関係する企業で次のアクションがとれる
3.顧客に対して正確な納期回答ができる
4.荷物の受け入れ側で事前に受け入れ態勢を整えることができる

今後はこれまでとは違った次元でのデータ活用が行われていきます。
ブロックチェーン技術を利用したサプライチェーンマネジメントがまさにその代表例です。
次回はその辺りについてもう少し詳しく解説したいと思います。ご期待下さい。

 

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