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ロジスティクス4.0時代に物流の「標準化」と「省力化」について考える

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画像素材: metamorworks / PIXTA

 

<目次>
1.「DX」物流デジタル化の流れ
2.「ロジスティクス4.0」の本質とは
3.「標準化」と「省人化」により実現された高度なロジスティクス
4.最後に

 

●1.「DX」物流デジタル化の流れ

 

物流は目覚ましい進化を遂げています。
今日注文した商品が早ければ当日中に手元に届くまでに進化しました。
時間帯の指定や再配達などの高度なサービスも、もはや当たり前の時代です。
しかし、いつの時代も顧客はサービスに慣れてくると、その更に上のサービスを求めるようになります。
顧客や荷主の物流に対する期待値は上がる一方です。BtoCでアマゾンなどが繰り広げた物流サービス競争の余波が、今BtoBの世界にも伝染しつつあります。
当然と言えば、当然です。BtoCの顧客も、会社に出勤すればBtoBの顧客となります。

筆者は最近、メルマガ読者の方やクライアントから物流のデジタル化に関する相談を良く頂くようになりました。
「どのようなところから取り掛かれば良いか」「どのような技術を取り入れれば良いか」といった質問に大別されるのですが、「まずは業務全体の流れを整理してみてください」とお答えするようにしています。

最近、デジタルトランスフォーメーション(Digital transformation:DX)というキーワードを良く目にします。
DXと略されますが、企業がビジネス環境の変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革する概念です。
業務そのものや、組織、プロセス、企業文化や風土を変革し、競争上の優位性を確立を目指すものです。

ITの浸透によって、企業活動をあらゆる面でより良い方向に変化させるデジタルシフトは、事業の業績や対象範囲を根底から変化させる可能性を秘めている反面、その定義や解釈が曖昧で多義的であるために、具体性に乏しいのも事実です。
だからこそ、冒頭の回答になります。

まずは自社の業務全体の流れを整理することで、見えてくる属人性、課題、不効率性を洗い出す作業を省いて、デジタル技術の活用は見えてこないからです。

自社の業態や課題にマッチしない高度なITシステムをいきなり導入した結果、宝の持ち腐れとなってしまったケースは後を絶ちません。
「競合が高度なシステムを導入したから」と焦る気持ちは分かりますが、ITの導入の効果性を高めるには、まずは自社をしっかりと知ることです。
これこそが物流デジタル化の第一歩です。

 

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●2.「ロジスティクス4.0」の本質とは

 

最近の物流業界では、ロジスティクスの「効率性」よりも、「持続可能性」というキーワードがよく聞かれるようになりました。
企業のロジスティクス戦略が脚光を浴びている一方で、物流業界が危機的な状況に陥ったことで、安定供給に支障をきたしているからです。
顧客・荷主・物流企業が一体となって安定供給ができる環境を整えていく時代になったということです。

その期待を一身に背負っているのがビッグデータ・IoT・AIなどを駆使して物流を劇的に変えるイノベーション「ロジスティクス4.0」です。

「省人化」と「標準化」による人的リソースに依存しない「脱労働集約」が「ロジスティクス4.0」の本質です。
費用対効果による判断ではなく、未来への投資として判断し、この領域にお金をかけなくてならないのです。

「省人化」は人の仕事をロボットやITで自動化するイノベーションであり、「標準化」は必要となるオペレーションやデータの規格等をよりよい選択をし、その選択結果を標準とすることで、統一、単純化を図ります。

つまり、「標準化」が「省人化」を実現する上でのベースとなり、この2つはセットで検討する必要があります。

 

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●3.「標準化」と「省人化」により実現された高度なロジスティクス

 

国内の物流にも過去にこの「標準化」と「省人化」でイノベーションを起こした事例があります。
それはコンビニエンス配送と宅配物流です。いずれもこれまでの物流の常識の概念を覆すことで、飛躍的に市場を伸ばしました。

コンビニエンス配送と宅配物流が実現する高度で確実な商品配送は世界トップレベルです。
コンビニの店舗にやってくる配送車は1日当たり約9台で、商品の品質を維持するための温度帯は常温・定温・チルド・冷凍の4つに分かれて確実に配送されています。

当初は1日約70台の配送車が店舗に来ていた時代もありました。
しかし、現在では共同配送センターによって店舗毎に仕分けをしてこの回数を大幅に減らすことを可能にしたのです。
これも「標準化」と「省人化」によるイノベーションの好例と言えるでしょう。

 

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宅配便も小さな荷物をドアツードアで輸送する画期的なサービスです。
宅配便を本格的に事業として始めたのは、昭和51年のヤマト運輸です。
その後も時間帯別配送や再配達などサービスが向上し、痒いところに手が届く細やかなサービスによって物量は急増し、2018年度の宅配便取扱個数は43億個に達しました。
国民一人当たり年間約30回は宅配便を利用している計算になります。
これだけの物量を正確に届ける為には「標準化」と「省人化」によるイノベーション
が欠かせません。

実はもう一つ意外なところで、私たちの日常生活を支える「標準化」と「省人化」によるロジスティクスの好例があります。
それは自動販売機のロジスティクスです。
国内の自動販売機の台数は約256万台(タバコ等も含めると約380万台)で、年間の売上は約2.2兆円にものぼり、日本は世界一の自動販売機大国といわれています。

いつでもどこにでもあるのが当たり前の自動販売機ですが、実はそれは日本だけの常識でした。
日本に来た外国の方は皆一様にその便利さに驚嘆するといいます。
好きなときに、好きな温度で、好きな商品を手に入れることが出来る便利さは、日本だけだったのですね。
また1台の同じ機械で温かいドリンクと冷たいドリンクを提供しているのも日本ならではだそうです。

こうして私たちが日頃便利に利用させてもらっている自動販売機を支えているのも高度なロジスティクスです。
自動販売機普及の陰には商品の大きさの標準化があります。
缶やペットボトルのサイズはメーカーや商品が異なっても全て同じサイズで統一されています。
缶のサイズが同じなら、梱包するダンボールのサイズも同じにでき、輸送効率を向上できます。
また自動販売機も同じサイズで製造が出来るようになります。
自動販売機はまさに物流標準化のお手本なのです。

 

●4.最後に

 

ロジスティクス4.0時代には、自社のロジスティクス領域にAI(人口知能)やロボティクスといったテクノロジーをいかに導入していくかといった視点での戦略が求められます。
これから10年、20年先の成長を担うモデル構築にテクノロジーは欠かせません。

何故ならこれからの物流は日々進化する最先端テクノロジーによって、あらゆる垣根が取り払われていくからです。
物流は物流会社だけの領域ではなくなっていきます。
私たちがこれまで経験したことのないようなイノベーションが目の前で起きようとしています。
「AIやロボティクスは時期尚早」と言っていると10年後には沙汰される可能性だってあるのです。

 

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業種別物流改善20のヒント

 

<参考文献>
苦瀬 博仁著「ロジスティクス概論」白桃書房
小野塚 征志著「ロジスティクス4.0 物流の創造的革新」日本経済新聞出版社