製造業がロジスティクス管理をレベルUPさせる在庫最適化実践法④|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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製造業がロジスティクス管理をレベルUPさせる在庫最適化実践法④

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 画像素材:IYO /PIXTA

<目次>

1.デジタル化の目的とは?

2.在庫の適正化とは?

3.適正な在庫基準の設定方法


1.デジタル化の目的とは?

 

「デジタル化の目的とは何か?」と問われた時、経営者の皆さんは何と答えるでしょうか?経済産業省が作成したDXレポート
を見ると、“企業がデジタル化を進めることで競争力強化になるとその必要性を説いています。

では、何故企業がデジタル化を進めることが、競争力強化につながるのでしょうか?その具体的な答えについては、
残念ながらレポートには書かれていませんでした。

経営幹部教育で世界的名声を誇るスイスのビジネススクールIMDの教授であり、DBTセンター所長を務めるマイケル・ウェイド
教授によると、デジタル化の目的は「アジリティを獲得することだ」と言っています。またそのアジリティについて
「1.Hyper Awareness」「2.Informed Decision Making」「3.Fast Execution」の3つの要素で説明しています。

1.Hyper Awareness・・・ビジネス環境の変動要素を察知、監視

2.Informed Decision Making・・・集めた情報で最善の判断

3.Fast Execution・・・人を手配して即実行

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必要なデータを集め、モニタリングすることでビジネス環境の変動要素をリアルタイムに察知し、集めた情報により
最善の計画を立て、次の適切なアクションへと導くことが大切だということです。デジタル化によってこの3つの要素を高め
ることにより、企業が競争力を確保することができるようになるのです。皆さんの会社では、今やっていることをそのまま
システム化しようとされていないでしょうか?

今回は製造業が在庫を最適化するための具体的なアプローチについて解説します。


2.在庫の適正化とは?

 

ここでまた一つ経営者の皆さんに質問です。現場の社員に「社長、在庫の適正化とは何でしょうか?」と問われた時、何と答え
るでしょうか?また「在庫適正化のために必要な取り組みは何でしょうか?」と問われたら、自信を持って答えることが出来る
でしょうか。

在庫管理の定義は「市場の需要に合わせて資材や製品を過不足なく供給すること」です。在庫の適正化とは、それを実現
するために、「適正な在庫基準を設定し、そのレベルを維持すること」です。そして、在庫適正化のために必要な取り組
みは、適正な在庫基準を設定するためのルールやプロセスを定め、基準在庫を維持するための管理プロセスを構築するこ
とです。

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3.適正な在庫基準の設定方法

 

多くの企業ではある程度、これまでの経験と勘で自社に必要な在庫量というものを経験的に知っています。その為、在庫に
よる目立ったトラブルというのは発生することが少ないです。つまり、ある程度適正だと思われる状態で管理出来ている
場合が多いのです。

“在庫が適正な状態”というのは、非常に表現が曖昧です。もしあなたが「在庫を適正に維持するように」と指示をされても、
実際困りますよね。また見る人によって尺度が異なれば、適正なのか不適正なのか判断が付きません。それは、何が適正か
という基準が明確になっていないからです。

在庫というのは、持つメリットと持たないメリットの両方があります。これらは常にトレードオフの関係にあります。
例えば、在庫を沢山持てば、欠品が無くなり納品サービスレベルは向上します。しかし、保管費用は高くなり、キャッシュ
フローも悪化します。沢山まとめて生産して在庫を多く持てば、生産効率や配送効率が向上し、様々なリスクの回避にも
役立ちます。反面、廃棄のリスクは高まってしまいます。

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このように在庫というのは、常に持つメリットと持たないメリットが存在しますので、適正な在庫基準を設定する上で、
注意が必要になります。在庫の基準を図るための指標(KPI)として、以下の図に在庫管理で利用される一般的なものを整理
しました。

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それぞれのKPIの値を設定する際に重要になるのが、トレードオフの関係にあるKPIの組み合わせを意識してターゲット
を設定するということです。

例えば、上の図にある「在庫日数」と「在庫欠品率」はトレードオフの関係にあります。在庫日数を少なくすれば、在庫
欠品率が上がります。トレードオフの関係にあるこの2つのKPIのターゲットを設定するイメージは以下の通りです。

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在庫日数を縦の軸、欠品率を横の軸としてその相関をグラフで表しています。在庫日数を小さくすればするほど、ポイント
は上に移動し、欠品率を低くすればするほどポイントは左から右へスライドしていきます。在庫日数をいくらにすれば、
欠品率がいくらになるかというパラメータについては、企業によって異なると思いますが、ここについては過去のデータから
分析して設定すれば良いでしょう。

自社の事業戦略などの会社全体としての目標に基づいて論理的な根拠を持ち、トレードオフ関係にあるKPIの組み合わせを
見ながら、ターゲットポイントを設定しましょう。

次回はセグメント化による在庫基準の設定方法について詳しく解説する予定です。

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