いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~IoTアプリケーション~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~IoTアプリケーション~

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 画像素材:metamorworks/PIXTA

<目次>

1.Iotテクノロジーを物流と統合すること

2.IoTを活用したアプリケーションの事例

3.IoT×物流によるフィジカルインターネットの実現を夢見て

 


1.IoTテクノロジーを物流と統合すること

 

IoTによる自動化は物流において、あらゆる面でより良い仕事をする力を与えてくれます。IoTは、センサーと指定されたゲートウェイを介して必要なリソース(トラックやリフトや荷物等)を相互接続し、それによって高度な自動化を提供する機能であり、物流業界を促進するテクノロジーの1つです。これまでのところ、物流業界では、IoT、AI、ブロックチェーン、機械学習などの最先端テクノロジーを活用する権限を与えられてきましたが、それを上手く統合して、ビジネスに活かしている企業はごく少数です。しかし、他業界やグローバル企業に目を向けてみると、こうしたテクノロジーの統合に成功した企業が、ビジネスでも成功していることが証明されています。経営者は、テクノロジーを簡単に利用して、より良い戦略を構築し、十分な情報に基づいた意思決定を行うことができ、ビジネスを飛躍的に成長させることができます。

自動化機能、データを抽出するセンサー機能、分析情報の提供、ユーザーフレンドリーなダッシュボードなど、IoTテクノロジーを物流と統合することには実に多くのメリットがあります。

今回は、IoTテクノロジーを搭載したアプリケーションについて詳しく学んでいきましょう。


2.IoTを活用したアプリケーションの事例

 

1.トラック追跡アプリケーション

IoTを活用したトラック監視ソリューションは、遠隔地からでもトラックを高度に管理することが可能です。GPSは物流業界において、最もよく知られたIoTソリューションの一つであり、急速に導入が進んでいます。現在では、多くの車両にGPS追跡システムが搭載されており、ドライバーが必要なときに必要な方向・ルートを提供します。ルートや納品先に変更が発生した場合も、車両に搭載されたデバイスがIoTプラットフォームを介して接続されているため、すぐにドライバーはその情報を知ることができます。

数あるIoTテクノロジーの中でも、GPSによる追跡システムは物流業界にとって、最も導入しやすく、費用対効果も出しやすいアプリケーションであると考えられています。

■トラック追跡アプリケーションの監視画面

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(出典:verizon connect)

2.運転データ分析

GPS機能を利用したトラック監視ソリューションは、国内外の多くのパッケージ製品が存在しています。最近では、運転データをAIなどを利用して高度に分析し、ドライバーの行動を指導したり、燃料費を管理したり、車両のメンテナンスに役立つデータとともに、配達ルートの最適化に必要な可視性を提供する機能を備えています。以下は、米国のGPSトラック監視ソリューション最大手のverizon connectの機能の一例です。

・ドライバーをより効率的に派遣するルート最適化機能
・AIでドライブレコーダーの動画を分析・評価し、安全な運転を指導
・アイドリング時間や急加速などの運転に関するデータを分析し、燃費を向上させる
・メンテナンスアラートで計画外の故障やダウンタイムを削減

■アイドリング時間や急加速などの運転に関するデータを分析

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(出典:verizon connect)

■AIでドライブレコーダーの動画を分析・評価

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(出典:verizon connect)

3.ジオフェンシング機能

ジオフェンス機能は、倉庫、配達場所、産業施設などのさまざまな地理的場所に仮想の境界を作成する技術で、物流業界でも注目を浴びつつある機能です。任意に設定された仮想の境界をトラックが超えたら、即座にドライバーと管理者に通知されます。また指定されたエリアの状態を即座に情報提供したり、地理的な境界をユーザーの要件に応じてカスタマイズしたりすることが可能です。管理者がプッシュ通知したり、タイムリーにメッセージを指定の境界に位置するドライバーに一斉送信したりする機能は、昨今急増している災害時などに迅速な意思決定を即座に対象エリアのドライバーに通知することができます。また、ジオフェンスエリアから出て行く車両の詳細情報を関係当局に警告することにより、車両の盗難を防ぐのにも役立ちます。

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(出典:Biz4Intellia(米国))

4.スマート・コントラクト機能

スマート・コントラクトとは、1994年にニック・スザボが提唱した「契約の自動化」を意味するプロトコルであり、契約・ 取引について、そのプロセスをデジタル化・自動化させることで取引コスト削減を可能にします。ブロックチェーン上に記録された実効性のある取引・契約について、その発効などの条件をプログラムとして記述し、履行管理を自動化させることで、様々な業務をシームレスに行えるようになります。物流業界でのサプライチェーンの管理は、スマート・コントラクトなどのIoTベースのソリューションの導入により、より簡単かつ効率的になります。スマート・コントラクトアプリケーションは、IoTとブロックチェーン技術を利用しており、サプライチェーン間の契約違反を排除します。センサーデバイスを荷物を入れるコンテナに装着し、スマート・コントラクトに保存されている情報と照合を行います。コンテナに取り付けられたセンサーは、スマートエージェントとして機能し、スマート・コントラクトに準拠して、リアルタイムの温度、RH、場所、およびその他の多くの基準を監視します。契約違反が発生した場合は、関係者全員に直ちに通知されます。


3.IoT×物流によるフィジカルインターネットの実現を夢見て

 

欧米の先進企業が、IoT(モノのインターネット)インフラを歓迎し、急速に移行することで共有型(シェア型)経済を発展させているのに対して、日本は過去の商習慣との決別を恐れ、確固たる未来像を描けず、岐路に立たされています。これまで日本のGDPを世界トップクラスに押し上げてきた大工業化時代は最終段階を迎え、中央集中型の電気通信、原子力・化石燃料を特徴とする第二次産業革命がすでに成熟し、生産能力を出し尽くしました。これから待ち受ける少子高齢化による瀕死の経済状態の中でもがき苦しむしかないのでしょうか。既存のインターネットにGPSなどのIoTを搭載したロジスティクス・インターネットが融合して、フィジカルインターネットができ上り、日本経済のバリューチェーンに沿って、物流活動を管理し、動かすようになります。そのようなことができるのかどうかという問題ではなく、どのようにしてやるかの問題です。

IoTと呼ばれる新しいプラットフォームに支えられながら、フィジカルインターネットが核となり、バリューチェーンにおけるすべての段階で総効率が劇的に増し、それによって大幅に生産性を上げ、スマートな第三次産業革命の中で、日本は世界一生産的な経済システムを構築することを夢見ています。

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