いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~3PLの活用~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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いま、経営者が知っておくべき「物流の最前線」~3PLの活用~

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 画像素材:Macrovector/PIXTA

<目次>

1.3PLの活用実態

2.3PLを活用するメリット

3.3PLを活用するデメリット

4.3PL活用を成功に導くためのポイント

 


1.3PLの活用実態

 

物流拠点運営の形態は、自社による運営と、第三者企業に委託する運営とに分かれます。そのどちらにもメリット、デメリットがあり、その選択は企業の物流戦略において決定されます。物流を第三者企業に委託する業務形態を3PL(サードパーティ・ロジスティクス)と言い、配送や保管、物流コンサルティングを行い物流全体の最適化を付加価値として荷主企業にサービス提供します。

近年の国内物流はどちらの形態が選ばれているかと言うと、どちらかというと第三者にアウトソースする傾向が強まっています。その主な理由としては、物流を自社のコア業務と切り離すことで、コア業務に集中できる点や、損益計算上、外注費として物流コストを扱えるので、コストの見える化がしやすいといった点が挙げられます。
3PLの市場規模も年々拡大しており、今後も伸び続けるでしょう。

しかし、一方で物流を全て丸投げしてしまうのではなく、物流管理や物流システムの構築は自社で行い、アセット利用や人材だけを第三者企業に依頼する傾向も強まっています。これは、3PL企業に物流の戦略立案やシステム化を期待した荷主企業が、「期待外れ」という烙印を押した結果であり、そこは自社で巻き取ろうという動きがあるためです。倉庫やトラック、物流オペレーションを担う人材は第三者に借りて、物流戦略立案や物流システムの構築は自社で行うというハイブリッド的な選択をする荷主企業が増えてきています。特に中小の3PL企業と荷主の関係にこの傾向は顕著に表れており、3PL企業にしてみれば存続危機とも言えます。

そもそも物流コンサルティングや物流システムの提供を通して、物流サービス全般を取り扱うことで売上拡大や付加価値向上を図るはずが、実際はこれまで通り保管して荷主企業に言われた通りに運んでいるだけといった企業が多いのが実態です。この場合、とてもよく聞かれるセリフが「物流企業から物流コスト削減の提案がない」というもの。物流企業からすれば、コスト削減は自社の売上減少に直結しますので、そのような提案に積極的になれるはずがありません。普通に考えればしごく当たり前の話ですが、そこを付加価値として荷物を獲得した物流事業者にも責任があります。

実際に物流企業が荷主毎の物流戦略立案や物流システム化の提案を行おうとした場合、そのような人材が社内にいなければ実現不可能です。しかしパワーポイントの資料も上手く作れない場合も多く、提案営業という文化がそもそも存在しない中小の物流企業にとっては不可能なことです。またそのような人材を中小の物流事業者が獲得することも困難なので、この問題は簡単に解決するものでもありません。

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2.3PLを活用するメリット

 

3PLは1990年頃に欧米で始まり、90年代後半から日本でもサービスが浸透しはじめました。物流拠点運営における3PLの活用は、物流最適化を図る企業にとって有効な戦術の一つです。しかし、冒頭で紹介した実態の通り丸投げにしてしまうとリスクも包含してしまうことになるので、3PLを活用する際は、自社で行う領域と3PL事業者に任せる領域をよくよく検討する必要があります。

上手に3PLを活用することで、物流業務にかかるコストを抑えつつ配送の品質を高い水準に保ち、任せることで空いた時間やリソースをコア業務に充てることが可能になります。

現代のビジネスは、インターネットの普及によってボーダレス化が進み、物流機能にもボーダレスなネットワークが必要とされてきています。こうしたネットワークを自社だけで構築することは不可能です。3PL事業者と手を組むことで、こうした問題をスピーディに解決することができるでしょう。物流のニーズも多様化、高度化が進んでいます。環境保護や温暖化防止といった社会的な要請や、得意先からの流通加工や品質管理などのリクエストも日々強まっています。こうした点に速やかに対応してもらえる3PL事業者とパートナーになれれば、事業拡大にもつながっていきます。

3PLを活用する主なメリットは以下の通りです。

1.物流全般をアウトソースすることにより、経営資源をマーケティングや開発などコア事業に充てることができる

2.安全管理や納期遵守といった高度化する顧客ニーズに迅速に対応できることで顧客満足度向上を期待できる

3.損益計算上、物流コストを外注費として扱えるので、物流コスト見える化が図れる

4.物流専門家による効率的なオペレーションや配送により、物流コスト削減を実現できる


3.3PLを活用するデメリット

 

物流業務を他社に委ねるということは、物流業務に関するノウハウは社内に蓄積されず、物流領域はブラックボックス化してしまいます。そのため、気が付くと物流改善は全て3PL事業者に委ねることになり、3PL事業者が言うことに対しては反論が出来なくなってしまいます。「これだけコストがかかるので値上げして欲しい」と言われると、それに反論する根拠を提示することも出来ません。まさに言いなりになってしまうのです。自社の物流であるにも関わらず、委託先の企業しかしらない業務が形成されてしまい、自社による管理不能に陥ります。そもそも管理する手間を省くために委託したので、それで良いと言えばそれまでですが、管理しないのと管理不能というのでは決定的な違いがあります。

3PLを活用する際のデメリットは以下の通りです。

1.物流全般において、業務がフラックボックスとなり言いなりとなってしまう

2.自社に物流ノウハウが蓄積されない

3.場合によってはコスト上昇を招くリスクがある

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4.3PL活用を成功に導くためのポイント

 

何にしてもやはり丸投げはよくありません。丸投げにしないためには委託先との良質なコミュニケーションを構築することが大切です。あれこれと細かい指示を出すという意味ではなく、定期的にお互いの情報を共有し合うのです。こちらが困っていること、委託先が困っていることなどお互いのガス抜きをするというのはとても大切です。
そうすればお互いが両社の事情を知ることになるので、細かい物流業務のことは分からなくても、管理不能な状態にはなりません。管理というのは、ベースに信頼関係があってはじめて機能するものです。信頼関係が構築されていなければ、互いの都合を押し付け合い管理以前の問題になってしまうのです。

物流を委託先に丸投げにしないためのポイントを以下にご紹介します。

1.RFPを作成する

アウトソースが上手くいくか、いかないかはRFPにかかっているといっても過言ではありません。物流を委託する上で重要なこと、自社の業務内容を正確に伝えるためにもRFPはしっかりと作成しましょう。RFPを作成した上で、数社によるコンペを実施するのも有効な手段です。実際に委託業務がスタートしてからお互い「最初の話と違う」といったことにならないためにも、面倒かもしれませんが時間をかけて作成することをお勧めします。

2.共通のKPIを作成する

KPIによって業務を数値で見える化するのは今やビジネスの基本中の基本です。先に述べたとおり、物流業務を丸投げしては自社の物流は良くなりません。正確に実態を把握し、そこから問題抽出、改善目標をつくり、その取り組みを評価することをしなければ物流を専門家にアウトソースしたとしても良くはなりません。また物流環境は常に変化します。
委託がスタートしてから数年も立てばいくつもの前提条件が契約当初と変わっているはずです。管理するアイテム数、出荷変動、車両数、流通加工等の付帯作業の有無などこのような点についても定点観測できる指標を作成し、毎月1回、難しければせめて3ヶ月に1回でも委託先と確認し合う時間を設けるようにしましょう。

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