デジタル技術が生み出すスピード経営 ~真のDNS時代の到来~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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デジタル技術が生み出すスピード経営 ~真のDNS時代の到来~

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 画像素材:マハロ /PIXTA

<目次>

1.デジタル・ナーバス・システム

2.ネットワーク・コンピューティング

3.求められる情報活用リテラシー

4.データと情報と知識、そして・・・


1.デジタル・ナーバス・システム

 

ここ数年の間に私たちが目にした情報・通信のテクノロジーの目覚ましい発展は、これからの企業経営に大きな変革をもたらすことでしょう。米国のマイクロソフト社がWindows95を発表したのが今から27年前のこと。パソコン用の基本ソフトの中心的な技術はビル・ゲイツとポール・アレンという二人の天才エンジニアによって開発されました。ポール・アレンはハードウェアとインターフェース、ビル・ゲイツはソフトウェアとお互いが得意な技術で協力し合い、世界中で利用されるオペレーションシステム(OS)を生み出したのです。彼らは企業に流れるデータが外界の変化に適応して生存する仕組みを生物の中を流れる神経網に例えて「デジタル・ナーバス・システム(DNS)」と呼びました。

生物はDNAから各細胞に指示を与えて、他の細胞との協調をはかりながら生物の生存を維持しています。生物におけるDNAと同様に、企業の生存に不可欠なものはデジタル神経網だと考えたのです。インターネットに接続されたパソコンと信頼性の高い電子メール、強力なデータベース、ビジネス・アプリケーションなどで構成されるシステムが、あらゆる組織やチームの目標達成を支援できると語っています。そしてもっとも重要な点として、こうした情報システムの基盤を構築するため、コンピュータ利用を効果的に行うための教育を最優先課題とするように呼びかけたのです。また、このような環境を現場に導入するのに障害となっている原因は、利用されているさまざまなソフトの大半に互換性が無いことを指摘しました。

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2.ネットワーク・コンピューティング

 

マイクロソフトによってWindowsが世界中にあっという間に普及し、企業の情報システムはそれまでの大型のオフコンからクライアント・サーバー型の小型パソコンにダウンサイジングしました。オフィスで一人一台パソコンが与えられ、従業員が自分で操作するのが当たり前になり、システムの利用に関して技術部門の仲介が不要になりました。これによって、エンドユーザー・コンピューティング(EUC)が一気に浸透しました。

※エンドユーザーコンピューティング・・・企業などで情報システムを利用して業務を行うエンドユーザーが、自らシステムやソフトウェアの開発や運用に携わること。

そこからさらにインターネットが登場し、企業のパソコンは高性能の通信端末として世界中のデータにアクセスできるようになり、ネットワーク・コンピューティング時代の幕があけたのです。


3.求められる情報活用リテラシー

 

企業は自社のイントラネット(社内のネットワーク)とインターネットをシームレスに接続して企業内外のあらゆる情報を扱うことが出来るようになりました。まさにビル・ゲイツが20年以上も前に説いていたデジタル・ナーバス・システムが真の意味において具現化されようとしているのです。

大量のデータに高速にアクセスできるようになったことで、ホワイトカラーの業務慣行が変わり、経営組織がフラットになり、ペーパーレス化が進展し、経営・管理の意思決定が早まることでスピード経営を実現できます。私たちはこうした技術の恩恵にあやかり、地球規模の知識と情報を共有する仕組みの中で企業の目標達成をスピードアップさせることができます。世界中のどこにいても、パソコン1台あれば世界中の人々とビジネスをして、どんなに小さな企業でもあっという間に世界的な企業になることができる時代です。

ただし、ここで重要なことは情報活用リテラシー(情報活用能力)を持たなければ経営の生産性向上は期待できないということです。いくら世界中のデータに高速にアクセスできるような道具を手に入れたとしても、その情報を経営に活かす方法を知らなければ、膨大なデータを目の前にしてただ立ちすくむことになってしまいます。情報を知識に変え、そこからさらに知恵に昇華させることではじめて、データを組織のDNAとして働かせることが出来るのです。
物流においてもデータの高度活用が今後の課題となってきますので、そうした教育体制の構築が急がれます。


4.データと情報と知識、そして・・・

 

データを高度活用するうえで、”データ”と”情報”の違いについて理解しておくことは有益です。データと情報はよく混同されて利用されがちですが、厳密にはその意味は異なります。”データ”とは「ものごとに対する客観的な事実を数値や記号として記録したもの」です。対して”情報”は「事実に基づき分析や評価を加えたもの」です。つまり、情報のもとはデータであるということですね。人間の意志を入れてデータを整理したものが情報であると言えるでしょう。

そしてこの情報が概念化(体系化)されたものが”知識”ということになります。データを経営にとって価値のある知識にして、「情報の共有・活用」から「知識の共有・活用」へと大きく変えていくことが求められます。分かりやすい例でいえば、スマフォの「乗り換え案内アプリ」です。列車の各駅の発着時刻はそれ自体はまったく意味のないデータです。地図を使い到着順の駅ごとに発着時刻が整理されて情報となり、その情報を簡単に検索できる仕組みがあって知識となります。そしてその「知識」を使って人は判断したり、創造したりすることができます。それが”知恵”です。乗り換え案内を見て、料金が安い順、時間の早い順に乗り換えを調べ、どちらが今の自分にとって得かを人は判断し、行動に移します。例えば、次の打ち合わせの時間にギリギリ間に合いそうなタイミングであれば、料金は高くても到着時間の早い方を選択します。データを活用して、判断し、行動するこのスピードをアジリティ(俊敏性)と言います。

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供給が需要を上回る現代においては、顧客ニーズが毎日のように変化する時代となり、売り手である企業と買い手の顧客がマンツーマンでやり取りを行うダイレクトマーケティングの重要性が高まりました。このような時代にはデータを上手に活用し、社員一人一人の知識と知恵を集結させることに成功した企業が競争力を持ちます。物流領域はデータの宝庫です。実に沢山のモノの動きの情報がリアルタイムで取得可能です。そのデータを整理して情報にし、誰もが簡単に検索して利用できるよう知識に変えることでアジリティを獲得することが、経営をスピードアップさせる成功要因であることは間違いありません。

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