在庫を最適化する簡単なデータ分析について学ぶ|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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在庫を最適化する簡単なデータ分析について学ぶ

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 画像素材:VectorUp/PIXTA

<目次>

1.物流のデータ分析が競争力の分かれ目

2.データ分析の目的は意思決定支援

3.在庫差異を分析する

4.在庫Zチャート分析

 


1.物流のデータ分析が競争力の分かれ目

 

物流で取り扱われるデータは、モノの流れと連動しているため、企業にとってはPOSデータと同じ位に利用価値の
高いデータです。

しかし、POSデータのように物流データは活用されていないのが実状です。POSデータは顧客の消費動向に直結し
ているので、企業の販売活動に活かしやすいですが、物流データはどのように活用すれば、企業の売上や利益に
貢献させることができるのか分かりにくいというのが原因の一つです。

ということはつまり、物流データを上手に活用している企業はまだまだ少ないことから、今のうちに上手に活用
できるようになっておけば、それだけ有利になるということですね。これは、さっそく取りかからなければ・・・
ということで、今回は物流データの活用の基本について詳しく解説したいと思います。物流データの活用は高度な
ものもありますが、ここでは誰でも簡単に始めることができる基本的な手法についてご紹介します。

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2.データ分析の目的は意思決定支援

 

データ分析は、次に起こすべきアクションを決める際に、指標となるものを求めるために行われます。つまり意思
決定支援のために行うのです。逆に言えば、意思決定に関係しないデータ分析はいくら行っても時間の無駄という
ことが言えます。ある会議でパワーポイントで映し出される見栄えのよいグラフを見ながら、何も決定されないと
いう経験は誰にでもあるのではないでしょうか。作って満足で終わったパワーポイントのグラフを搔き集めると東京
ドーム〇個分・・・。役に立たない分析はこの辺で止めておきましょう。

データ分析の結果によって企業や部門、個人の次のアクションが決まり実行することで、データ分析が業績に貢献で
きるのです。

 


3.在庫差異を分析する

 

在庫差異分析というと、一般的にはシステムや帳簿上の理論在庫数値と、実際に保管されている在庫の実数値とを
比較して行うものと認識されています。しかし、今回ご紹介する在庫差異分析とは、予実の差異分析になります。

計画上の在庫数値と実際の在庫数値の比較を行うというものです。「計画上の在庫数値???」読者の皆さんの頭
の上にクエッションマークが出ているのが見そうです。

そもそも在庫に計画数値ってあるのでしょうか?おそらくほとんどの企業がそのような数値は取り扱っていないと
思います。上場企業であっても、売上や利益の計画はあっても在庫の計画を作成して、予実を管理しているケース
は稀でしょう。しかし、在庫を最適化するための適切な改善策を見出す上で、在庫計画を作成するのは非常に有効
なのです。

在庫計画を作成することで、予実の差をフィードバックとして得ることができます。なぜこのような差が生まれた
のか検討することで、これまで見えてこなかった自社の在庫管理上の問題が浮き彫りになるのです。

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在庫計画を作るのはそれほど難しいものではありません。小売業であれば、需要予測値と安全在庫値を基に計画を
1ヶ月~3ヶ月先の在庫計画を作成します。製造業であれば、生産計画と販売計画と調達計画を基に1ヶ月から半
年先の在庫計画を作成します。計画値と実績値を比較し、その差異を算出することによって、当該期間にどのよう
なイレギュラーが起こったのか、どのようは変化があったのか、その原因を分析し、経営上、業務上の課題を見つ
けることができるようになります。

経験とカン頼みの在庫管理ではなく、仕組みの中で上手にデータを活用して、在庫を多方面から評価することで、
適切な意思決定を行うことができるようになるのです。


4.在庫Zチャート分析

 

在庫Zチャート分析は在庫推移などの傾向を比較的長い期間で見て、その傾向を視覚的に探るのに便利な手法です。
このZチャートを利用することで、在庫の持ち方や発注数を適切に意思決定できるようになります。

縦軸に在庫数、横軸に年月をとり、月別の在庫数と在庫の累計数と12ヶ月の移動年計の3つのデータ系列を用います。

<在庫Zチャート分析に必要な3つのデータ>
第一系列:分析したい各月の在庫実績データ
第二系列:分析したい各月の在庫実績データの累計
第三系列:過去からの移動合計データのグラフ

この3本のデータを折れ線グラフで表現すると、Z字になることからZチャートと言われます。在庫分析だけではなく、
売上分析などにも利用されています。このZが上を向いているのか、下を向いているのかによって、在庫水準が上がっ
ているのか、下がっているのか、現状維持なのかが一目で分かります。

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第一系列の在庫実績データは該当月の月末在庫数で、第二系列はその月末在庫数を足していった値になります。

Zチャートの第三系列の移動合計のデータには、過去1年間の在庫実績データが必要になります。つまり、最低2年分の
実績データがないとZチャート分析は作成できないということですね。移動合計は、Zチャートを作成したい期間の前期同
時期の合計値になり、前期の1年分のデータを使って計算します。

例えば2023年4月の移動合計は、2022年5月~2023年4月の在庫数の合計で表します。最低2年分の在庫データが必要になる
ことから、新商品や期間限定商品の分析には向きません。定番品の分析には向いていると言えるでしょう。

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