ニューヨーク市が地元の小売業者と共同で配送効率を向上するデリバリーハブを設置へ|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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ニューヨーク市が地元の小売業者と共同で配送効率を向上するデリバリーハブを設置へ

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 画像素材:momo/PIXTA

<目次>

1.概要

2.ニューヨーク市のデリバリーハブ計画

3.デリバリーハブの機能と利点

4.プロジェクトのスケジュールと予算

5.他の都市での同様の取り組み

6.まとめ

 


1.概要

 

ニューヨーク市は、地元の小売業者と協力して、デリバリーハブを設置することで、地元のデリバリーの効率を向上させる計画を発表しました。
同プロジェクトは、都市部の交通渋滞を減らし、環境にも配慮するため、地元の小売業者が所有する倉庫や店舗を利用したデリバリーハブを設置することを目的としています。このニューヨーク市のデリバリーハブ計画は、世界中で注目されています。本稿ではその計画の概要について簡単に解説します。

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2.ニューヨーク市のデリバリーハブ計画

 

ニューヨーク市は、世界有数の大都市の一つであり、交通渋滞の問題が深刻化しています。市内の道路や高速道路は常に混雑し、車両の移動に時間がかかるため、経済活動に影響を与えています。特に、配送トラックの交通量が多いため、物流業界においては、効率的な配送システムの導入が求められています。また、自動車の排出ガスによる環境問題も大きな課題となっており、交通渋滞の緩和に取り組むことは、環境保全にもつながります。ニューヨーク市は、これまでにも公共交通機関の充実や自転車レーンの整備など、交通渋滞対策に取り組んできましたが、新しいアイデアや取り組みが求められていました。

ニューヨーク市交通局は、都市部での輸送効率を改善することを目的として、地元の小売業者が所有する倉庫や店舗を利用した地元のデリバリーハブを設置するプロジェクトを発表しました。同プロジェクトは、市内での配送業務に携わる小売業者に対して、サポートを提供することを目指しています。

 


3.デリバリーハブの機能と利点

 

デリバリーハブは、配送業務の最終段階である「ラストワンマイル」を効率的に行うための施設であり、配送効率の向上や環境への配慮にも貢献します。デリバリーハブには、配送業者が貨物を集荷し、同じエリアに届けることができるようにするための仕分け施設や、貨物の受け取りや返却ができる場所などが用意されています。

※ラストワンマイルについて
ラストワンマイルとは、製品やサービスが顧客の手元に届くまでの最終的な距離を指します。配送業者が商品を倉庫からトラックで運び、地域のデポや集配所に持ち込み、最終的に配達員が商品を顧客の住所に届けるまでの距離です。このプロセスは、物流や配送の最も重要な部分であり、最も費用対効果が高いプロセスであると考えられています。配達における最も困難な課題の1つであり、時間、費用、交通渋滞、環境問題、再配達など、多くの問題があります。ラストワンマイルの課題を解決するために、最近では新しい技術やビジネスモデルが導入されており、自動運転車やドローン、ロボット、配達ロッカーなどが活用されるようになってきています。

 


4.プロジェクトのスケジュールと予算

 

同プロジェクトは、2021年から2022年にかけて実施され、その後も地元の小売業者とニューヨーク市との連携によって、地元の小売業者はデリバリーハブの設置や運営のための資金や設備を提供することが期待されています。また、市政府は同プロジェクトに1000万ドルを投資する予定であり、計画の成功に向けた取り組みを積極的に支援すると発表しました。計画は、以下のような手順で進められました。

1.デリバリーハブの設置場所の選定
市内の複数の地域において、小売店や倉庫、配送業者と協力してデリバリーハブを設置します。

2.集荷・配送体制の整備
デリバリーハブに集荷拠点を設置し、小売店から商品を集荷します。そして、デリバリーハブで商品を仕分けし、配送業者が取りに来るまで保管します。

3.配送の効率化
デリバリーハブを活用することで、配送ルートを最適化し、配送時間の短縮や渋滞の緩和、燃料消費量の削減など、効率的な配送が実現されます

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5.他の都市での同様の取り組み

 

ニューヨーク市のデリバリーハブ計画は、世界中で注目されており、同様の取り組みは、シアトルやロサンゼルス、シカゴ、ロンドンなど、他の都市でも行われています。これらのプロジェクトによって、都市部の交通渋滞や環境問題に対処することが期待されています。

日本でも「ラストワンマイル」の配送に関する課題が存在しており、都市部では交通渋滞や配送時間の遅延、配送コストの高騰などが問題となっています。
そこで、地元の小売業者や物流企業と協力して、地元のデリバリーハブを設置する取り組みが行われています。例えば、都内で複数のスーパーマーケットを展開しているオーケー・スーパーマーケットは、自社の店舗をデリバリーハブとして活用し、配送を行っています。また、ヤマト運輸は、都内のコンビニエンスストアをデリバリーハブとして活用する「コンビニエンスストアデリバリー」を以前から展開しています。

※株式会社オーケー・・・一都三県を中心に、130店舗のディスカウント・スーパーマーケットを展開。

 


6.まとめ

 

このような取り組みは、地元経済の活性化や環境負荷の軽減など、多くのメリットがあるため、今後、日本でも様々な地域や企業で広がることを期待します。
筆者の視点で、このようなプロジェクトを成功に導くポイントを3つに整理してみました。

ポイント1:地元コミュニティとの協力関係の構築

地元の小売店や配送業者と協力し、地域社会における商品配送の問題を解決することが重要です。地元コミュニティとの協力関係を構築し、彼らのニーズや要望を理解し、そのニーズに合わせたサービスを提供することが成功の鍵です。

ポイント2:技術的なサポートの提供

デリバリーハブ計画では、ITシステムの導入やデータ分析、効率的な配送ルートの設計など、技術的なサポートが不可欠です。また、従業員に対してトレーニングや教育プログラムを提供することで、業務の効率化や品質向上につながります。

ポイント3:持続可能性の視点の導入

プロジェクトに取り組む際には、環境にやさしい方法での配送や廃棄物の削減、再利用など、持続可能性の視点を導入することが必要です。これにより、企業の社会的責任を果たすことができ、市民からの信頼を獲得し、ビジネスの長期的な成長を促進することができます。

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以上、ニューヨーク市のデリバリーハブプロジェクトについてご紹介いたしました。このプロジェクトは都市部の交通渋滞の緩和や環境保全に貢献することが期待されており、今後の取り組みが注目されます。

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