FedExやAmazonの自立型の歩道配送用ロボットの現在地を探る!|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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FedExやAmazonの自立型の歩道配送用ロボットの現在地を探る!

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 画像素材:tawtaw/PIXTA

<目次>

1.FedExやAmazonの自立型の歩道配送用ロボットの行方は?

2.アフターコロナで、歩道用配送ロボットが、勢いを増す!?

3.配送ロボット企業が抱える複雑なジレンマ

 


1.FedExやAmazonの自立型の歩道配送用ロボットの行方は?

 

ラストワンマイルの配送において、自立型の歩道配送用ロボットの活用が期待されています。米国では、FedExやAmazonが以前から実用化に向けた取り組みを行っていますが、果たして実用化には成功したのでしょうか?結論から先に申し上げると、FedExやAmazonは、歩道配送用ロボットについてまだ多くの課題を抱えており、実用化には至っていません。

自律型配送ロボットの大量採用は実現するのでしょうか? 配送大手の自律型配送ロボットのテストは挫折しましたが、多くの業界関係者は、この技術が今後普及する可能性は高いと考えています。

2019年、米国NBCの深夜トーク番組『ザ・トゥナイト・ショー・スターリング・ジミー・ファロン』で、FedExが開発した歩道配送用ロボットの試作機が紹介されました。番組内では、自律型の歩道配送用ロボット(後にRoxoと名付けられた)がピザを司会者のもとまで運ぶ様子が放送されました。「これが未来だよ」と番組の司会者ジミー・ファロンは興奮気味に語りました。

しかし、全米中で商品を配達するために歩道を走るロボットが普及するための道のりは、簡単ではありませんでした。FedExは、この放送からわずか3年後の2021年10月に、Roxoの開発中止を発表しました。またAmazonは、自社の配達ロボットが顧客のニーズを満たせなかったため、フィールドテストを終了しました。

大手物流企業が歩道配達用ロボット事業の開発に苦労しています。はたして長期的かつ持続可能なビジネスモデルを実現できるのでしょうか。
米国のサプライチェーン専門家や多数の規制当局へのインタビューによると、労働力不足やインフレの課題が配送ロボットの実用化を早める可能性が高いという意見が多いようです。しかし、真に成功するためには、資金調達やセグメントの多様化など、まだ超えなければならない大きなハードルがあることも事実です。


2.アフターコロナで、歩道用配送ロボットが、勢いを増す!?

 

FedExやAmazonが撤退した一方で、配達ロボット分野には経験豊富で成長を続けている企業がまだ存在しています。これらのテック企業のリーダーたちは、人間の配達員が車を使用する代わりにロボットを利用して消費者に商品を届けることが、これまで以上に必要になると訴えています。

最も重要なのは、配送プロセスの中で最もコストのかかるラストワンマイルのコストを削減することができる点をあげています。自律型、または遠隔操作が可能な配送ロボットは、配達員の賃金の上昇とは無縁です。さらに、昨年多くの配送キャリアに影響を与えたガソリン価格の上昇にも左右されないため、コストの上昇リスクが低いとされています。

配達ロボットの開発・運営企業であるServe Roboticsの共同創設者兼CEOであるAli Kashani氏は、「COVID後、労働力に関する問題がありました。
それからインフレと労働コストの上昇があり、さらにガソリン価格が上昇しました。これらのすべての問題が、私たちにとって追い風となっています」と語っています。

米国の配送ドライバーの賃金は上昇傾向にあります。2020年から2021年にかけて、配送業界はCOVID-19パンデミックの影響で大きな成長を遂げました。この成長に伴い、配送業界に従事する従業員の需要が高まり、彼らの賃金も上昇しました。最近の調査によると、配送員の平均時給は、前年比で10%以上も上昇しています。

■16歳以上のドライバー/セールス従事者および配送トラックドライバーの週給

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歩道を走る配送ロボットは、ガソリンエンジン車の航続距離や配送容量には及びませんが、近距離かつ、小型の迅速な配送には適しています。

そのため、多くの配送ロボット企業が食品やコンビニエンス商品の配達に注力することで事業を拡大しています。Serve RoboticsのロボットはUber Eatsのプラットフォームでロサンゼルスの顧客に食品を届けています。米国セブンイレブンは最近、Serve Roboticsとのテストを行うためにパートナーシップを結びました。気になる点は、これらのビジネスが自己持続型の事業に成長するのに十分な市場規模を持っているかどうかです。

ロサンゼルスでレストランの配達を行うCocoの共同創設者兼CEOであるザック・ラッシュは、食品の配送は配送用ロボットに向いていると述べています。高頻度の注文があり、強い地元需要があり、迅速に配送する必要があるからです。ただし、彼は長期的には、配送用ロボットの活用を最大化するために他のカテゴリーにも展開していく必要があると指摘しています。「大きな規模と密度が必要です」とラッシュ氏は述べ、「利益を維持しながら、そこに向かうまでの成長には、食品が向いています」と述べました。

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(出典:coco)

配送ロボットは別の領域でも活用が始まっています。たとえば、Starship Technologiesは、スペアパーツ、テスト用品、サンプルをドイツの産業キャンパスに配送するロボットを運用しています。あらゆる領域での活用が期待される配送ロボットですが、従来の車による配送がなくなるわけではありません。同社のCEOであるアラステア・ウェストガース氏は、「我々は配送に新しいモダリティを追加しているだけで、配送のすべてを引き継ぐわけではない」と述べています。

 


3.配送ロボット企業が抱える複雑なジレンマ

 

CartkenのCEOであるChristian Berschは、配送ロボットによる配送の量は今でも「ごくわずかでしかない」と認めています。従来の運輸手段からシェアを奪うためには、サービス範囲を拡大し、既存の技術を改善し、競合他社よりも低コストで提供する必要があります。しかし、経済的な不確実性により、ベンチャーキャピタルやプライベート・エクイティ・ファンドは投資に消極的な姿勢を見せ始めています。ロボティクス分野の主要プレイヤーであるStarshipは、昨年資金調達に苦しみ、スタッフとサービスエリアを削減せざるを得ませんでした。

大手企業には、自社のロボットを拡大するための財力があるかもしれませんが、この分野で成功するためには、採用、インフラ、規制に関する障壁が大きな問題となり、時間と忍耐が必要です。そのため、配送ロボットを開発する企業は、投資家の期待に沿う速度で成長する必要があります。配送ロボット企業の経営者は、地域社会からの十分な支持なしに急速に拡大することについては慎重であり、数年前に電動スクーターで起きたような反発を恐れているのです。資金が必要なため、投資家たちと良い関係を構築するには急成長が必要です。急成長するにはロボットの台数を増やす必要がありますが、地元地域からの反発が怖いのも事実です。
こうしたジレンマと格闘しながらも、配送ロボット企業は未来の物流に向けて努力を続けているのです。

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