ユーザーが主役のデータドリブン物流|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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ユーザーが主役のデータドリブン物流

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 画像素材:metamorworks/PIXTA

現代のビジネス環境は、急速に変化し続けており、特に物流業界においても大きな変革が起こっています。長らく、企業はデータを特定の業務領域に限定的に使用してきましたが、今日、私たちはデータ革命に直面し、その力と潜在能力に驚かされています。この記事では、「データドリブン物流」がもたらす変革に焦点を当て、その重要性と利点について探求していきましょう

2023年9月24日 執筆:東 聖也(ひがし まさや)

2023.09.05

<目次>

1.データドリブン物流の本質

2.データの力を解き放つ

3.物流データの価値と活用

4.おわりに

 


1.データドリブン物流の本質

 

現代の物流業界において、データの役割は大幅に変革しています。これまで特定の領域でデータを利用していた企業も、今やデータ革命の波に乗り、方向性を模索しています。私が提唱する「データドリブン物流」とは、データを新たな情報源として活用し、新たな課題に対処し、革新を促進する力を指します。

多くの企業は、物流データを高価なデータベースに保管する一方で、そのデータを活用する機会を逸しています。通常、取引先や顧客からの問い合わせがあるたびに、オーダー番号を検索し、情報を取り出すことで問題を解決しているだけです。

しかし、データドリブン物流では、データは単なる問い合わせ対応のための資料にとどまりません。物流分野で収集、管理、分析されるデータ自体が、ユーザーの戦略的な資産であり、新しいイノベーションと価値創造の源となり得えます。例えば、リアルタイムの在庫情報や顧客の購買履歴を分析することで、需要予測を改善し、効率的な在庫管理を実現できます。また、顧客ニーズに合わせたカスタマイズされたサービスを提供することも可能です。


2.データの力を解き放つ

 

物流データのポテンシャルについてお話しすることを非常に興味深く感じています。デジタル時代において、ビジネスの成長にはデータの意義と重要性を再評価することが不可欠です。従来、物流データは業務プロセスの最適化と管理に主に使用されてきましたが、これはデータの潜在能力を十分に引き出していないと言えるでしょう。

物流データに私が魅了されている最も大きな理由は、データが持つ役割と可能性には限りがないように思えるからです。データ生成自体は、テクノロジーの進歩によりますます容易になっています。外部ソースから絶え間なく大量のデータが生成されていることもその一因です。

しかし、真の難しさは、そのようなデータを収集し、活用して有益な洞察を得るプロセスにあります。伝統的なスプレッドシートで行われる分析から脱却し、非構造化の情報と新たなパワフルな演算ツールが組み合わさり、ビッグデータの概念が生まれました。しかし、これが本当に価値ある資源となるには、データに対するアプローチを根本的に変える必要があります。

データはもはや単なる数字や統計ではなく、ビジネスの戦略的な鍵となり、競争優位性を築く基盤として位置づけられています。データを活用し、新たな洞察を得る能力は、企業の未来を切り拓くために不可欠な要素となっています。物流データの可能性に目を向け、データに対する新しいアプローチを探求することは、デジタル時代のビジネスにおいて非常に重要です。これからの物流業界は、データを活用する企業にとって、未知の可能性が広がる場所となるでしょう。

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3.物流データの価値と活用

 

現代のビジネスにおいて、デジタル企業であろうとなかろうと、物流データの収集は最も価値のある資産の一つであることは明らかです。そのデータを収集するためには、システムへの投資と現場での労力が必要です。その努力を考えただけでも、その規模には驚かされます。そのため、物流データは知的所有権、特許、ブランドと同様に、あらゆるビジネスにとって極めて重要な無形資産と位置づけられます。この無形資産を眠らせたままにするか、それを最大限に活用して自社をイノベーションの推進力とするかは、経営者の考え方にかかっています。

その重要性は、事業の性質によって多少影響を受けることはあるかもしれませんが、それでも軽視することは絶対に許されません。物流データは時の経過とともに企業内に蓄積され、これにより企業は独自の戦略を展開することが可能になります。データを基に新しい物流戦略や顧客サービスを設計することで、企業はビジネスを拡大する機会を見つけることができます。物流データを収集すれば収集するほど、パーソナライズされた物流サービス体験を提供することが可能になります。この場合、最も重要なのはデータを活用して適切な顧客体験を創り出すことです。

データドリブン物流の構築を始めるために、ヤマトやAmazonのような大企業である必要はありません。中小規模の企業も、データドリブン型の顧客リレーションシップ機能を有することで、どの配送方法が最も顧客に適しているかなどを簡単に分析できます。クラウド・コンピューティングやマイクロ・サービスへのシフトにより、中小規模の企業にも、かつてなかったほどパワフルなデータ管理が可能になっています。

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4.おわりに

 

弊社は、従来と異なる方法で物流データを活用することに特化した会社を目指しています。物流データを分析するデータ・サイエンティストのチームを組織し、率いていくことで「ユーザーが主役のデータドリブン物流」の実現を夢見ています。私たちがユーザーが主役のデータドリブン物流に見ているものは、物流システムに何ができるかではなく、企業が物流デジタル化を必要とする理由です。ユーザーがベンダーロックインから解放され主導権を握れば、企業はもっと生産性を上げ、もてる力を最大限発揮できると信じています。これが弊社の信念であり、いま変化が必要なことを知っています。

企業経営者であるならば、物流データを事業の資産として管理し、それに投資することの意味について理解することが不可欠です。

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