ネット通販に対抗!出版業界特有の「客注品」にメスを入れた日版の戦略とは!?|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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ネット通販に対抗!出版業界特有の「客注品」にメスを入れた日版の戦略とは!?

今回ご紹介するのは日本出版販売株式会社さんです。

日本出版販売さん(通称:日販)は、1949年に創業され、現在では国内最大の書籍や雑誌の出版販売会社とし
て地位を確立されています。

出版業界は独特の商習慣があると言われているのご存知ですか?

売れ行きの悪いものは出版社に遠慮なく返品されます。
また消費者が書店に欲しい本を取り寄せてもらう「客注」といった仕組みがあります。

こういった「返品」や「客注」といった、この業界では昔から当たり前となっている商習慣が今、
悪しき習慣となり、時代遅れとなってきています。

それに加えて、ネット書店や電子書籍の台頭により、紙の出版物を取り扱う業界の売上は非常に厳しい
状況で推移してきています。

そのような時代遅れとなってしまった商習慣に消費者も敏感に反応し、従来はなかった不満が上がり始めました。

「もっと早く届けて欲しい」

「頼んだ本がいつ届くのか正確な日時を教えて欲しい」

ネット書店のサービスにすっかり慣れてしまった消費者に今までの当たり前は通用しなくなってきています。

このような状況に危機感を感じた同社は物流機能の強化に乗り出しました。

まずは作業シフトの見直しをしました。
今までは、出荷エリア別に作業を3つのシフトに分けて遠くの方面から順に処理を行っていました。

朝の8時に前日のオーダーのピッキングを開始するシフトであったため、その日のオーダー量によっては
作業が後ろにずれ、翌日の出荷に回ることがあり書店への出荷が1日遅れるといったことがよくありました。

これを解消する為、作業開始を前日の夜間に前倒しするシフトに組み替えました。

次に在庫の保管数についても見直しをしました。

従来はタイトル別に固定ロケーションで管理していた為、保管効率が悪く、
在庫数も十分に保管できない状況だったのをフリーロケーションに変更しました。

これにより保管効率が大幅にUPし、在庫数を450万冊から600万冊まで増やすことに成功しました。

また目視によるピッキング作業をシステム化しました。
デジタルピッキング台車と重量検品システムを導入し、作業品質の向上と、大幅な時間短縮を実現しました。

大きなボトルネックとなっていた客注品の流通改善にも新たなサービスを立ち上げ対応しました。

客注品の書店店着スピードアップに向けて、2013年3月に書店向けの新サービス「スーパーQuickBook」
スタートさせたのです。

同社の標準SAシステムである「NOCS9000」をベースに、簡単に注文ができる仕組みで発注時に着荷予定日を確約
することができ、
全工程における優先処理によって最速スピードで出荷し、受注から出荷までのトレーサビリティを行うことが可能となりました。

出版業界に限らず、ネット通販の台頭により従来のビジネスモデルに依存していては、
市場から見放されていまうケースが増えています。

ネット通販の最大の強みは「お手軽」ということです。
24時間いつでも頼めて、翌日には届くというこの「お手軽」感に対抗する為には、
在庫管理や物流の効率化も含めて従来のやり方を根底から革新することが大切です。