WMS(倉庫管理システム)で棚卸し業務の効率・精度はどう変わるのか?|「INTER-STOCK」オープンソースのクラウド型WMS(倉庫管理システム)

物流・倉庫改革の夜明け

倉庫

WMS(倉庫管理システム)で棚卸し業務の効率・精度はどう変わるのか?

在庫数量や差異を確認する『棚卸し』は、倉庫現場にとって欠かせない重要な業務です。しかし、従来の紙やExcelを使った手作業ではどうしても時間と労力がかかり、生産性の低下やミスの発生につながりやすいという課題があります。

特に、記録の転記や数え間違いといったヒューマンエラーは避けづらく、在庫管理全体の精度やスピードにも悪影響を及ぼしてしまいます。

こうした背景から、近年ではWMS(Warehouse Management System:倉庫管理システム)を活用し、棚卸し業務そのものをデジタル化・効率化する動きが広がっています。

本記事では、WMSを導入すると棚卸し業務がどのように改善されるのか、その仕組みと具体的なメリットをわかりやすく解説します。棚卸しの負担を軽減し、在庫管理の精度を高めたい物流主管・倉庫管理者の方はぜひご覧ください。

 

現場改善ラボ(https://tebiki.jp/genba/)の「物流倉庫が抱える課題と改善策!解消した企業事例も紹介」(https://tebiki.jp/genba/useful/logi-warehouse-issues/)にて、弊社サービス「インターストック」をご紹介いただきました。

 

倉庫現場の棚卸し業務においてよくある課題

まずは従来型の棚卸し業務で多くの企業が直面している典型的な課題を整理します。

これらの課題を把握することで、後述するWMSによる改善効果がより明確になります。

1.時間と人手がかかりすぎる(“棚卸し=総動員イベント”)

棚卸しは、準備から当日の作業まで膨大な工数が必要です。特に年次棚卸しでは数十人規模が動員され、しかも休業日や夜間に実施されることが多く、人件費・負担ともに大きくなります。

まさに 「一大イベント化してしまう」 のが従来の棚卸しです。

2.紙・Excel管理でミスが避けられない

手書きメモ → Excel転記 → システム入力という流れでは、

  • 数え間違い

  • 転記ミス

  • 桁違い

  • 二重カウント

が頻発します。構造的にヒューマンエラーが発生しやすく、正確な棚卸しを実現するのがそもそも困難です。

3.差異が多く“棚卸し=差異調整”になってしまう

誤差が日々蓄積するため、棚卸しのたびに帳簿と実物のズレが大量に発生します。結果、棚卸し本来の目的よりも「どうズレを埋めるか」に時間が奪われ、悪循環が続きます。

例えば「商品Aは帳簿では100個になっているが実際は95個だったので在庫を-5個修正」「商品Bは逆に帳簿50個に対し実物60個あったので+10個修正」といった具合に、棚卸し後に在庫システム側を修正する作業ばかり発生するのです。

これでは棚卸し本来の意義である在庫実態の正確把握よりも、ズレの辻褄合わせに追われている状態です。差異原因を深掘りせず、その場しのぎで棚卸しごとに調整していると、いつまで経っても差異は減りません。

4.倉庫作業を止める必要があり、生産性が落ちる

棚卸し中は入出庫作業を止めなければならず、

  • 出荷遅延

  • 補充遅れ

  • 機会損失

につながります。多くの現場で 「棚卸しの日は倉庫が止まる」 ことが大きな負担です。特に一斉棚卸し(全商品を一度にカウントする方法)の場合、スケジュール調整も難しく、休業日等にまとめて行う必要があり、その間倉庫作業は完全停止となり、生産性はゼロになります。

一方、業務停止を避けるため循環棚卸し(エリアや商品ごとに順番に部分棚卸しする方法)を取り入れても、並行稼働中の在庫変動を考慮しなければならず、人的な注意と調整が必要になります。

5.差異原因がわからず改善につながらない

大量の差異が出ても、紙やExcel運用では

  • いつ

  • どこで

  • 誰が

  • 何をミスしたのか

を追跡できません。結果、原因が特定できず、毎回“帳尻合わせ”だけが繰り返される構造になっています。

 

棚卸しの本質的な負担は「棚卸し時」ではなく「日々の在庫誤差」にある

棚卸しと聞くと、多くの方は「年に一度の一斉棚卸し」や「月末の在庫数え」を思い浮かべます。しかし、棚卸しが負担になる本当の原因は、作業当日そのものではなく、日々の入出庫で発生する小さな在庫誤差の積み重ねです。

紙やExcelによる手作業の管理では、入庫・出庫の際に「記録漏れ」「数量の誤記入」「更新忘れ」が起きやすく、帳簿上の在庫と実際の在庫に微妙なズレが生じます。

このわずかなズレが毎日蓄積することで、棚卸し日には大きな在庫差異となって表面化し、作業の大半が差異を埋める調整作業に追われてしまうのです。結果として「棚卸し=数値の辻褄合わせ」という構造的な問題が生まれています。

こうした負担を根本から解消する鍵は、棚卸し当日に頑張ることではなく、平常時の在庫精度を高い状態で維持する運用に切り替えることです。ここで大きな力を発揮するのがWMS(倉庫管理システム)なのです。

WMSでは入出庫のたびに在庫数がリアルタイムで更新されるため、帳簿上の在庫と実在庫のズレがほとんど生じません。結果として棚卸し時に差異調整で時間を奪われることがなくなり、純粋なカウント作業に集中できます。

実際弊社のWMSでも、導入によって「毎月発生していた差異がほぼゼロになった」「棚卸し集計に3日要していたのが1日になった」などの事例があります。

つまり、棚卸しの負担を減らし、現場を重労働から解放する本質的な解決策は、“棚卸し日を頑張る”のではなく“日々の在庫誤差を無くす仕組み”を整えることにあります。WMSを導入することで、棚卸し当日に慌てて帳尻合わせをする従来のスタイルから脱却し、そもそも差異が出ない運用へと業務全体を変革することが可能になります。

WMSの導入が棚卸し作業効率化の最適解とされる7つの理由

WMSが「棚卸し効率化の近道」と言われるのには、以下のような理由があると筆者は考えています。

  • ミスを構造的に防ぐため

  • 誤差ゼロの運用を可能にするため

  • 棚卸し作業を半自動化するため

  • ロケーション管理で倉庫を止めずに棚卸しできる

  • 差異だけを抽出し、必要な部分だけ再カウントできるため

  • 差異原因を分析・改善できるため

  • 他システムと連携し全社在庫を統一するため

1つずつ解説していきます。

「ミスが起きない仕組み」に変わる(ヒューマンエラーを構造的に排除)

WMSはバーコード管理やハンディ端末入力を使うことで、手書き・転記作業そのものを無くす仕組みに変わります。紙やExcelで起こりがちな「数え間違い」「書き漏れ」「転記ミス」を、仕組みで防ぐイメージです。

例えば、棚卸し中に商品をスキャンすれば数量が自動集計され、再カウントや差異調査の手間も激減します。結果として、現場負荷は大幅に軽くなります。

「入力を減らせば、ミスも減る。WMSは“ミスが起きない棚卸し”を作る。」

誤差が“溜まらない倉庫”をつくる(リアルタイム管理で差異を根絶)

WMSの強みは「リアルタイム更新」です。入出庫が発生した瞬間に在庫数が更新されるため、帳簿と実物のズレがほとんど発生しません。

先程もご説明した通り、棚卸しの大変さの本質は“当日”ではなく、日々積み重なる誤差です。WMSはこの誤差を日常業務の中で消していくため、年次・月次の棚卸し時に大きな修正を必要としなくなります。

さらに過剰在庫や欠品も減り、在庫回転や生産性向上にも直結します。

「毎日こまめに片付く部屋は、大掃除がラク」

 

棚卸し作業が「半自動化」される(作業時間を圧縮)

WMSには棚卸し専用の機能があり、

  • 棚卸しリストの自動生成

  • ハンディ端末でのスキャン集計

  • スキャン結果の自動反映

などにより、作業自体を“機械が手伝う棚卸し”に変えます。

操作もガイド付きで迷いにくく、属人化も解消できます。(最初は覚えるのが大変という懸念もありますが、ベンダー側がしっかりサポートします。)

「人力棚卸しから、スマート棚卸しへ。」

ロケーション管理で倉庫を止めずに棚卸しできる

WMSは棚番・段・ビンといったロケーション単位で在庫を管理します。

そのため、倉庫全体を止めて一斉棚卸しする必要がなく、必要なエリアだけ部分棚卸し が簡単に行えます。

たとえば、

  • 毎週A棚だけ棚卸し

  • 差異が出やすい棚だけ再チェック

  • 3か月で倉庫全体を一巡

といった“循環棚卸し”が実施しやすくなり、倉庫の稼働を維持したまま棚卸し精度を高められます。

「生産性を落とさず、部分的に棚卸しが可能に。」

差異だけを抽出し、必要な部分だけ再カウントできる

一斉棚卸し後、WMSは自動で 「差異があった商品だけ」 をリスト化します。

そのため、従来のように全商品を数え直す必要はなく、ズレた部分だけピンポイントで再カウント すれば棚卸しが完結します。

  • 500SKU → 差異12SKUのみ再確認

  • 作業時間の大幅削減

  • 精度の担保も容易

棚卸し後の修正作業が劇的に効率化されます。

「ズレたところだけ直せばいい棚卸しへ。」

差異の原因を“見える化”して改善が進む(データ分析の基盤になる)

WMSは棚卸し履歴や差異ログを自動で残すため、

  • いつ

  • 誰が

  • どの商品を

  • どの場所でカウントしたか

がすべて可視化されます。

これにより、「同じ棚で毎月差異が出る」「特定スタッフの入力ミスが多い」などの傾向まで把握できます。

「PDCAを回せるため、棚卸しをするたびに精度が向上する状態に。」

他システムとつながり“全社的な在庫精度”が上がる

WMSはERPや販売管理システムとも連携でき、在庫情報がリアルタイムで共有されます。

その結果、現場の在庫と帳簿の在庫が常に一致し、財務処理・生産計画も正確になります。

「倉庫・本社・経営陣が、同じ在庫状況を把握できる状態に。」

(参考)WMSとERPの違いは?使い分け方・連携方法までわかりやすく解説!

 

棚卸し効率化を実現するWMSの必須機能

棚卸しを劇的に効率化するWMSには、次のような“現場で本当に役立つ機能”が欠かせません。

1.棚卸し専用ワークフロー

棚卸しの 開始 → カウント → 差異確認 → 確定 を一連の流れでガイドする機能です。

棚卸しモード中は通常業務の処理と切り離されるため、棚卸し中に在庫が動いてデータが狂うトラブルを防止できます。

誰でも同じ手順で作業でき、属人化も解消されます。

 

2.棚・段・ビンまでの細かなロケーション管理

WMSは「倉庫→棚→段→ビン」といった詳細なロケーションで在庫を管理でき、これが棚卸しの柔軟性を大きく高めます。

例えば、
「今日はA棚の2段目だけ棚卸し」
といった部分棚卸しが可能です。

倉庫全体を止める必要がなくなり、ピッキング作業と並行しながら棚卸しが行えます。

3.在庫のリアルタイム更新

入庫・出庫・移動などの操作をした瞬間にWMS側の在庫が更新されます。

たとえば、

  • 入庫担当が商品をスキャンした瞬間 → 在庫+1

  • ピッキング担当が出荷登録 → 在庫−1

これが遅滞なく反映されるため、棚卸し当日の在庫が常に“ほぼ正しい”状態で迎えられます。

結果として、
棚卸し=ズレ探しの作業
ではなくなります。

4.差異ログの自動記録と分析

棚卸しでズレが発生した場合、WMSはその差異を自動で記録します。

たとえば、

  • 「A棚・3段目のB商品で−5個」

  • 「担当:田中」「日付:10/12」

といった履歴が残るため、“どこで何が起きたか”が後から追えるようになります。

「毎回同じ棚でズレる」
「特定日だけ差異が多い」

といった傾向も可視化でき、改善と再発防止が進みます。

5.ERP・基幹系とのデータ連携

WMSでカウントした棚卸し結果は、ERP(生産管理・販売管理・会計)と連動できます。

例えば、
棚卸し後にERPの在庫金額が自動反映されれば、
決算調整や原価計算がスムーズになります。

CSV連携・API連携など柔軟な方式に対応していることが、“現場と本社を同じ数字で動かす”ための重要な条件です。

 

棚卸し精度向上が経営にもたらすメリット

棚卸し精度が上がると、現場だけでなく経営全体に大きなプラスが生まれます。

特に次の5つは、どの企業でも効果が実感しやすいポイントです。

1.過剰在庫が減り、キャッシュが戻る

在庫数を正確に把握できると、「在庫あるのに誤って発注」「安全在庫を過大に設定」というムダが消えます。

その結果、

  • 倉庫に寝ていた在庫が減る

  • 保管コスト(倉庫・人件費・廃棄)が減る

  • 手元資金が増える

つまり、キャッシュフローが大幅に改善します。

2.欠品・売り逃しが減り、売上が増える

在庫精度が低いと、帳簿は“在庫あり”でも実物はゼロ…という「販売機会ロス」が多発します。

精度が高まれば、

  • 欠品を早期に察知

  • リアルタイムで自動アラート

  • 正確な在庫引当

が可能になり、売れるタイミングを逃さない体制ができます。

3.在庫回転率が上がり、倉庫の生産性が向上

在庫精度が高いほど、「余剰を持たない運用」ができ、在庫回転率が自然と向上します。

100個抱えていた在庫を50個で回せれば、空いたスペースを別商品に活用でき、同じ倉庫でより多くの商品を扱える=生産性が上がるということです。

滞留在庫が減るため、庫内動線も改善し、作業効率も高まります。

4.誤出荷・返品が減り、顧客満足度が上がる

在庫が正確になると、ピッキング・出荷ミスをシステムが防ぎやすくなり、誤出荷が劇的に減ります。

誤出荷が減ると、

  • 返品コスト削減

  • 再発送の手間軽減

  • 顧客からの信頼向上

と、経営にも大きなプラスが広がります。

5.決算棚卸しが短縮され、会計リスクも低減

日頃から精度が高ければ、決算棚卸しで慌てる必要がありません。

実際に、2日 → 半日や3日 → 1日に短縮した例もあります。

さらに、

  • 在庫差異が大きいことで生じる会計リスク

  • 監査対応の負荷

が大幅に減り、決算の信頼性が向上します。

 

Inter-Stock(WMS)が棚卸しに強い理由

Inter-Stockは“棚卸しに強いWMS”として現場から高い評価を受けています。

実際の導入事例では、

  • 月次棚卸しが 8時間→3時間

  • 決算棚卸しが 2日→1日

  • 作業人員が 10名→2〜3名

といった顕著な工数削減が報告されています。

共通しているのは、
日々の在庫精度が上がることで、棚卸し当日の負荷がほぼ消える
という点です。

その理由は、他社WMSにはない以下の5つの独自性にあります。

1.大量SKUでも“待たない”高速処理

Inter-Stockは独自エンジンにより、数十万SKUでも高速レスポンス
例:在庫50万件 × 1万行の引当を約15秒で処理。

棚卸し時の

  • 大量スキャン

  • 差異リスト抽出

  • 在庫確定処理

がサクサク動き、作業が止まらないストレスフリーな現場を実現します。

2.棚卸し専用アプリ(ハンディ)が標準搭載

追加開発不要で、すぐに棚卸しデジタル化が可能

  • 棚卸しリストの受信

  • バーコードスキャン

  • 数量入力

  • 不整合チェック

  • オフライン作業対応

すべてハンディ1台で完結し、紙の棚卸しから完全卒業できます。

3.“倉庫を止めない”循環棚卸しが標準運用できる

エリア・棚・ビン単位で棚卸しができ、
「今日はA棚だけ」
「毎週一部の棚だけ」
といった部分棚卸し(サイクルカウント)を簡単に仕組み化できます。

倉庫全停止の一斉棚卸しに頼らず、普段の業務を続けながら棚卸し精度を維持できます。

4.差異理由を逆追跡できる「差異理由管理」

差異が出た際に理由コードを登録し、

  • どの棚で

  • どの担当者が

  • どんな理由で差異を出したか
    を後から分析できます。

これにより、
差異の原因究明 → 再発防止 → 精度向上
のサイクルをデータで確実に回せます。

5.古い基幹システム(AS/400)から最新ERPまで柔軟に連携

Inter-Stockは、

  • 商蔵奉行

  • PCA商魂

  • SAP

  • AS/400

など、幅広いシステムとの接続実績があります。

CSV、API、バッチ処理など連携手段も豊富で、既存環境を変えずに棚卸しだけ改善することが可能です。

まとめ

棚卸し効率化の本質は、棚卸し当日の作業を工夫することではありません。
日々の入出庫管理を正確にし、在庫差異が生まれない状態をつくることこそ核心です。
棚卸しはあくまで在庫管理の一部分であり、日常の在庫精度が高ければ、棚卸し当日は“確認するだけ”で済むようになります。

この「日常在庫の精度」を高めるために、WMSは非常に有効です。
バーコードスキャンによるミス防止、リアルタイム更新、ロケーション単位での管理、差異データの蓄積と分析など、棚卸し効率化に必要な仕組みがすべてシステム化されているからです。

手作業では限界のある在庫管理を、WMSが標準化し自動化することで、
棚卸し負担の劇的な削減、在庫差異の縮小、欠品・過剰在庫の防止、そしてキャッシュ改善や顧客満足度向上といった経営面のメリットまで実現できます。

結論として、棚卸し効率化とは「棚卸し作業の改善」ではなく
“日常業務そのものを変える取り組み”であり、その最適解がWMS導入であるという点が重要です。

資料ダウンロード 資料ダウンロード
お問い合わせ お問い合わせ