効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第17回-|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

物流業界トピックス

効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き -第17回-

■業務改革案作成ステップ4 – 物流KPIの設定 -

今回は業務改革案作成のステップ4となる『物流KPIの設定』について説明します。

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KPIは近年多くの企業で利用されるようになってきました。
KPIとは「Key Performance Indicator」の略語であり、日本語に直訳すると「重要業績評価指標」となります。
企業経営が目的や目標に向かって順調に進んでいるかどうかを判断する為の指標と言えるでしょう。

その物流版が今回ご紹介する「物流KPI」です。
業務改善計画を作成したら、それを実行に移して実行状況や改善状況を定期的に振り返りしなければなりません。
KPIが正しく設定されていれば、この振り返りがとても簡単に行え、客観的、具体的な評価を行えるようになります。

極端な言い方をすれば、KPIと次回ご紹介する予定のPDCA実行計画が記載されていない業務改革案は作るだけ無駄になってしまう可能性大です。
物流品質向上、リードタイム短縮、生産性向上といくらスローガンを掲げても、それが具体的な数値目標で示されていなければ、その達成度合いが非常に曖昧になってしまいます。

少々前置きが長くなってしまいましたが、さっそく物流KPIの設定方法についてご説明します。

 

手順1.目的の再確認

KPI自体はあくまで目的に向けた手段・ツールでしかありません。
目的に応じてKPIで設定する項目の種類は変わってきます。
本稿の第三回にご紹介した「プロジェクトマスタ」の作成の中で設定した目的(スローガン)を改めて全員で再確認し、目的に応じて最適なKPIを設定しましょう。
本稿第三回プロジェクトマスタの作成方法についてはこちらをご参考下さい。
https://www.inter-stock.net/industrytopics/no18/

 

手順2.KPI項目の選択

物流KPIの項目は下記のように大きく3つに分類されます。
no62 図2

 

この3つの分類毎にいくつか一般的な項目をご紹介します。
下記の表は国土交通省が作成した「KPI導入の手引き」に記載されているKPIの項目例です。

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上記の中から自社の目的に適した項目をいくつか選択しましょう。自社独自の項目を作成してもよいでしょう。
但し、KPIの値を入手するには現場側の負担を増やすことにもなります。
最初から多くの項目を設定してしまうと現場側から不満が上がる可能性もありますので、あまり欲張らず、まずは最小限でスタートすることをお勧めします。

 

手順3.KPIの目標数値設定

KPI項目が決まったら、早速目標数値を設定しましょう。
目標数値を決める為には、まず現状の数値をサンプリングする必要があります。
そして各項目毎に現状の1.2倍、工数半減などとまずはざっくりと設定して運用を開始しましょう。

最初からいきなり厳密な値を設定するよりも、運用をしながら目標値の見直しを行う方が導入も楽になります。
数値を設定する際はいつまでにその数値を達成させるのかといった達成期日も必ず設定して下さい。

国土交通省が作成した「物流事業者におけるKPI導入の手引き」の資料は下記より無料でダウンロードできます。
物流KPIの作成方法を詳しく丁寧に説明してありますので是非ご参考下さい。
https://www.inter-stock.net/flow/request/

 

■まとめ

適切な物流KPIを設定することが出来れば、自社の目的(スローガン)に対しての達成度合いを数値化することが可能になります。
「品質重視」とだけ謳っても、現場からしてみると具体的に理解が出来ません。
同業他社の誤出荷率が○%、対して我社は○%。と具体的に取り組みの現状と結果を示すことで共通認識を持て、次の具体策も見えてきます。
KPIを設定する際のポイントは、自社の目的(スローガン)にとってどこが重要かを認識することです。
次回はPDCA実行計画についてご紹介します。どうぞお楽しみに!

 

※最後まで読んだ頂いた方に耳寄りなお知らせ※

これまでにサイト上にUPした本稿「効果性の高い倉庫管理システム構築の手引き」を1冊のPDF資料にまとめました。
無料でダウンロード頂けますので、是非自社のWMS構築&導入の手引きとしてお役立て下さい。
下記リンクをクリック頂き、ページ中段の1段目1列目の資料です。
https://www.inter-stock.net/flow/request/

 

著者:まさやん
製造業を中心にこれまでに300社以上の倉庫管理システムの導入を経験。
その酸っぱくて甘い経験を活かし、失敗しない効果性の高い倉庫管理システムの導入コンサルタントとしても奮闘中。