21世紀最大の産業と言われる観光業で急伸する新たな物流ニーズに迫る!!|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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21世紀最大の産業と言われる観光業で急伸する新たな物流ニーズに迫る!!

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画像素材:cba / PIXTA(ピクスタ)

 
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*** 関東、関西方面で急増する出張難民 ***

 

先月、東京に出張の為、いつも良く利用させて頂いている某ホテルをネットから予約しようとしました。
すると、いつもは1万円前後で予約できるはずの「禁煙シングル素泊まりプラン」が、その日は何故か1万8千円で価格設定されていました。平日木曜日であるにも関わらずです。
いつも1万円前後で泊まっている全く同じ施設に2倍近くの料金を支払う気持ちには到底なれなかったので、仕方なくいつもとは違うホテルを予約することにしました。

最近は出張先で宿泊先を予算内で確保できず、途方に暮れる出張族が全国的に増えているようです。
多くの企業では出張時の宿泊予算は5千円~1万円ではないでしょうか。
1万5千円を超える予算を許してくれる企業は少ないでしょう。

筆者は仕事柄、全国の物流現場に訪問するので、ビジネスホテルを利用することが多いのですが、最近は関東、関西方面はなかなかお気に入りのホテルが予約できません。
仕方なくホテルのランクを落とすか、予算オーバーでもお気に入りのホテルを予約するかの選択を余儀なくされてしまいます。

 

*** 右肩上がりの観光市場 ***

 

東京オリンピックが決まった2013年頃から日本に訪れる外国人旅行者数は激増しています。
観光庁によると、2012年に約836万人であった訪日外客数は、2015年には1974万人まで増加し、2016年には2400万人を突破しました。4年連続で過去最高を更新しています。

 

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(内閣府作成資料より抜粋)

 

最近では、街で外国人観光客に会わない日はないといっても過言ではないくらいです。
先日も京都のホテルに泊まったのですが、ロビーで聞こえてくる周りの声は中国語や韓国語ばかりでした。

一方国内に目を転じると、いまや人口の4人に1人が高齢者で、その多くは「アクティブシニア」と呼ばれる行動派が中心に構成されています。
「アクティブシニア」は有り余るお金や時間を国内旅行に積極的に費やしています。
海外旅行客、国内旅行客のダブル需要の増加により、観光シーズン以外の時期でもホテルは満室に近い状態が続いているのです。

こうした需要を逃さぬよう、ビジネスホテル大手3社(ルートイン・東横イン・アパホテル)を筆頭にホテルの建設ラッシュが続いていますが、それでも追い付かない状況になっています。

更には、政府が2020年までに訪日旅行者4000万人を目指して推進活動に力を入れているので、今後益々観光客が増えることは間違
いないでしょう。

これ以上ホテルの予約が難しくなると、月の半分近くが出張の筆者にしてみると死活問題です。

 

*** 観光市場は21世紀最大の市場に成長する ***

 

アメリカの未来学者であるハーマン・カーンは「観光業は21世紀に世界最大の産業になる」と予測しており、事実、観光産業は世界のGDPの15%近くまで成長しています。

※ハーマン・カーン・・・アメリカの未来学者、軍事戦略研究科。1922年2月ニュージャージー生まれ、1983年7月没。

外国人旅行者が増えれば、当然ながら、観光関連業に従事する人もより多く必要になるので、雇用も増えます。
観光産業の足元には、想像以上に巨大な潜在需要が広がっており、多くの業界がその恩恵を授かることが出来るチャンスなのです。
物流業界もその例に漏れません。

例えば旅行客が購入したおみやげの物流を考えてみましょう。
中国人観光客の爆買いが一時話題となりましたが、こうしたおみやげを自宅に送りたい物流ニーズが急増しています。

東京都に本社を構えるレッドホースコーポレーション株式会社では、「おみやげ宅急便」というサービスを実施しています。
自宅に居ながら世界中のおみやげをショッピング出来るこのサービスは、 旅行前に事前に予約していたおみやげを帰国日に合わせて宅配便で届けてくれるサービスです。

同社で実施しているもう一つのサービスが「ギフトランド」です。
海外・国内のおみやげを旅行出発前に本サービスで予約しておくと、希望日に自宅に配送してくれるサービスです。
最短で翌日配送も可能で、おみやげ選びの時間短縮、荷物軽減といった「空間」と「時間」の価値を消費者に提供しています。

 

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■ギフトランドのサービスサイト
https://www.gift-land.com/

 

もう一つ別の事例をご紹介しましょう。
外国人による訪日旅行は個人によるものが多数であり、その多くは自分で大きな荷物を持って移動します。
外国人旅行者が自分の体くらい大きなキャリーバックをゴロゴロ引っ張りながら観光しているのを良く見かけますね。
こうした荷物を自由なタイミングで預かってくれて、指定の場所に指定の日時に運んで欲しいというニーズが急増しています。

自ら荷物を運ぶ必要がなければ、訪日外国人旅行者の利便性が向上し、リピーターとなる観光客も増えるかもしれません。
国土交通省では、2020年東京オリンピックを見据え、外国人旅行者が宅配サービスを利用し手ぶらで観光出来る環境を定着させるための検討を進めています。

東京都千代田区に本社を構える株式会社Airporterは、宿泊施設と空港間の手荷物当日配送サービスを展開しています。
利用者はスマフォで荷物と場所を指定して注文します。
すぐにAirporterの輸送車が現地に到着し、荷物を宿泊先のホテル、もしくはターミナル駅まで届けてくれてそこで預かってくれます。
利用客は心置きなく手ぶら観光が楽しめるという有り難いサービスです。

 

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■Airporterのサービスサイト
https://airporter.delivery/jpnl/

 

こうした観光によって生まれる物流を「観光物流」と言います。
まだあまり一般的な言葉ではないので多くの人が初めて聞いたのではないでしょうか。
観光市場は外国のお金が日本に沢山やってくるので、観光物流が活性化することで、外国人観光客のリピーターが増え、日本経済
の活性化にも繋がるでしょう。

またこの分野には今後多くのプレーヤーが市場に登場するでしょう。
サービス提供はベンシャー企業がネットを利用した非対面型で構築する方法が基本で、足回りは既存の物流業者等にコンタクトされるでしょう。
いつこうしたプレーヤーからコンタクトがあっても慌てることのないように、既存の物流事業者は観光物流市場を見据えた事業プランを今から練ってみるのも面白いかもしれませんね。

 

*** 物流事業者も発想の転換で自社の価値向上を ***

 

2030年代を見据えたとき、消費者はいったい何にお金を使っているのでしょうか。
消費者が支払う代金はどういった商品やサービスとの交換に変化しているのでしょうか。
これまでの常識が全く通用しなくなる時代でビジネスを行うには、こうした疑問を常に問いかけて行く必要があります。
そうでなければ、これからの時代どんな企業も生き残れなくなってしまうのです。

これまでのように商品の値段を、「販売価格 = 原価 + 企業利益」と考えてビジネスを設計している限り、これからの消費者行動を読み解くことは永遠に出来ないでしょう。
「物流を依頼する消費者は、物流企業の輸送費や人件費に対して対価を支払う」という考え方から脱しない限り、物流革命は起こせないのです。

これからのユーザーは「時間価値」に最もお金を払うようになってくると予想されます。
「時間価値」を高める為に、「すきま時間」と「空間」を効率的に利用出来るサービスが今後求められてきます。
その為、第三者と対面する必要のないセルフサービスによる今回ご紹介したようなサービスが今後益々増えていくことでしょう。

当面は最終的な足回りは既存リソースの活用が主流になりますが、サービス提供するフロントやお金を生み出す仕組みは、様々な発想の転換で新たなビジネスモデルが創出されます。

サービス提供側と消費者側が同じ空間や時間を共有することなく、そこに生じる「非効率」を解消し、セルフサービス化していくことで、自社のリソースを最大限に生かしながら、消費者の「時間価値」を向上させることが出来るのです。
そこに新たなイノベーションが生まれることは間違いありません。

 

*** 最後まで読んで頂いた方に耳寄りなお知らせ! ***

 

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