米国の輸送管理システム(TMS)の最新の市場動向に迫る!|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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米国の輸送管理システム(TMS)の最新の市場動向に迫る!

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 画像素材:HIT1912/PIXTA

新型コロナウイルスによるパンデミックは、米国の航送および運輸業界に大きな影響を与えました。ロックダウンや渡航制限により、需要と供給の急激な変化が生じ、サプライチェーンに混乱をもたらし、既存の問題点や亀裂を浮き彫りにしました。さらに、多くの生産ラインが停止し、2022年には主要な商品の不足が生じました。

さらに、輸送力が逼迫し、港や鉄道ターミナルは混雑し、運賃は上昇の一途をたどっていました。2021年にスエズ運河で座礁した大型コンテナ船「エバーギブン」を覚えているでしょうか?エバーギブンは信頼性の低い輸送計画によって風に煽られて、航路から外れてしまったのです。エバーギブンは6日間にわたって航路を塞ぎ、多くの船がその離礁を待たなければなりませんでした。航路変更を余儀なくされた船も沢山ありました。この事故によって、600億ドル相当もの貿易が滞ったといいます。

これらは現在世界中の運輸業界が直面している類似の課題ですが、企業は解決策を見つけ、最善の方法で顧客にサービスを提供することに取り組む必要があります。本章では、米国の輸送管理システム(TMS)の最新の市場動向について探りながら、日本企業がTMSを導入する際のポイントについて考察します。

執筆:東 聖也(ひがし まさや)

 

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■スエズ運河で座礁した大型コンテナ船「エバーギブン」(2021年3月27日) 

 

<目次>

1.TMSの世界市場は年14.8%の成長率と予想

2.製造業が最大のシェアを占める

3.米国企業のTMS開発期間、コスト、チーム形成

 

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1.TMSの世界市場は年14.8%の成長率と予想

 

物流会社は、配送能力とコスト削減の向上、利用可能な技術の最大限の活用を目指す必要があります。これは、効率的な輸送ルートの導入、高度な追跡システムの活用、自動化された倉庫管理の採用によって実現できます。これにより、配送時間とコストが削減され、顧客満足度が向上し、利益が増加します。米国の物流事業者では、TMSの導入が進んでいます。TMS開発に積極的に投資することで、出荷プロセスを効率化し、複数の輸送チャネルの力を結集して効率的な物流を実現しています。さらに、TMSは、出荷に関連するリスクを軽減しながら、総合的な運用コストを削減することが可能です。

Grand View Researchの最近のレポートによると、世界のTMS市場は2022年に104億5,000万ドルと評価され、2023年から2030年にかけて14.8%の年間平均成長率(CAGR)を記録すると予想されています。

※Grand View Research・・・世界最大規模の市場調査会社

以下は、米国の2020年~2023年のTMSの市場成長を表したグラフです。オンプレミス、クラウドともに成長しているのがわかります。

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(出典:Grand View Research)

オンプレミスは、2022年の収益全体の57.20%以上のシェアを占め、クラウド全盛の時代においてもまだ高いシェアを占めています。いくつかの大手製造業や流通業は、データの安全性、サーバーへの便利なアクセス、より優れた制御のため、依然としてオンプレミス型のTMSを好んでいます。またカスタマイズも相当しているようです。しかし、クラウドベースのTMSのメリットに対する認識が高まるにつれて、さまざまな業界の既存企業が予測期間中にクラウドベースのTMSを選択すると予想されます。クラウドセグメントは、予測期間中に最も速い成長率を示すと予想されます。

クラウドベースのTMSは、荷主、ベンダー、物流事業者に独自の計画プロセスと最適解を提供します。データ量が急激に増加し続ける中、企業は優れた効率的な機能を備えたクラウドベースのTMSを選択するようになっています。クラウドベースのTMSは、主にライセンスと管理コストが低いため、オンプレミスのTMSと比較して費用対効果が高くなります。もう1つの重要な点は、情報がクラウド上に保存され、地理的な場所からリアルタイムでリモートにアクセスできることです。このような利点がクラウドセグメントの成長を促進すると予想されます。


2.製造業が最大のシェアを占める

 

<世界のTMS市場において、2022年は製造部門が36.40%以上と最大のシェアを占めました。インドやメキシコなどの新興国での製造拠点数の増加により、
必要な在庫や原材料のアウトソーシングが増加しているためです。例えば、インド政府の「メイク・イン・インディア」構想は国内製造業の発展を強く強調しており、予測期間中の製造部門の成長にとって良い前兆といえるでしょう。

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(出典:Grand View Research)

小売・eコマース部門は、予測期間中に大幅な成長率を記録すると予想されます。この成長は、インドや中国などの国々における小売業界とeコマース業界の衰えることのない成長によるものと考えられます。アジア太平洋地域では中国がオンライン売上高の80%近くを占める一方、インドはeコマース業界への積極的な投資とスマートフォンの普及を活用して、世界で最も急速に成長するeコマース市場になろうとしています。アリババ、ウォルマート、Amazonなどの一部の大手eコマース企業は、TMSを導入することで配送業務を維持および強化しています。

 


3.米国企業のTMS開発期間、コスト、チーム形成

 

米国におけるTMSの開発・導入コストは 35,000ドルから150,000ドルの間です。思ったよりも安いですね。ソフトウェア開発の総コストには、ソフトウェアの種類、ソフトウェア開発会社の単価、ソフトウェアの設計およびコーディングのプロセスなど、いくつかの要因が影響します。すべての企業やビジネスにはカスタマイズ要件があるため、専門のソフトウェア開発ベンダーがプロジェクトの範囲を分析することで、TMSの構築に必要な全体の予算を算出しています。

ソフトウェア全体の複雑さは、開発予算に影響を与える主な決定要因です。たとえば、広範な機能セットを備えた非常に複雑なソフトウェアが要求される場合は、最小限の機能を備えた単純なソフトウェアよりも当然コストが高くなります。複雑さは「単純」「複雑」「非常に複雑」の大きく3つに分類され、それぞれの開発期間とコストは以下になります。

■単純・・・35,000ドルから60,000ドル、開発期間は3~6ヶ月
■複雑・・・60,000ドルから95,000ドル、開発期間は6~8ヶ月
■非常に複雑・・・100,000ドルから150,000ドル、開発期間は9か月以上

堅牢かつユーザーフレンドリーなTMSを開発するには、明確に定義されたUI/UX戦略が必要です。シームレスなソフトウェア設計によりユーザーの利便性と継続利用が強化されます。また、開発中にカスタマイズの要件に柔軟に対処するには、複数のテスト手順が必要であり、これが全体の開発予算にさらに影響を与えることを理解することが重要です。

米国企業がTMSを開発・導入する場合、一般的には以下のようなチームが構成されます。

・プロジェクトマネージャー/1~2人
・ビジネスアナリスト/1~2人
・フロントエンドエンジニア/2~3人
・バックエンドエンジニア/2~3人
・デザイナー/1~2人
・品質保証アナリスト/1~2人

このようにそれぞれの分野のスペシャリストでチームを構成するのが米国流です。日本の企業ではシステムエンジニア(SE)が設計して、プログラマー(PG)がコード書いて、テストしてというのが一般的です。どちらが良いかは本章のテーマと少し外れるので、割愛しますがどのようなチームを構成するかは、開発予算を決定する上で、非常に重要な要素です。適切なチームを形成するには、コストと品質の間のトレードオフを比較検討することが重要です。フリーランサーを採用するとコストは削減できるかもしれませんが、専門知識が不足しているため、ソフトウェアの品質が損なわれる可能性があるので注意が必要です。

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