WMS・WES・WCSとは?違い・特徴や連携方法、マルチベンダー方式を分かりやすく解説!|「INTER-STOCK」オープンソースのクラウド型WMS(倉庫管理システム)

物流・倉庫改革の夜明け

倉庫

WMS・WES・WCSとは?違い・特徴や連携方法、マルチベンダー方式を分かりやすく解説!

  • WMS・WES・WCSの違いが分からず、どれを導入すべきか悩んでいる
  • 倉庫を自動化したいが、WMSだけで十分かWESやWCSも導入すべきか決めかねている
  • 新しいシステム導入で失敗せず、現場の効率化を確実に実現したい

 

倉庫を取り巻くシステムには「WMS」「WES」「WCS」など様々な種類があり、自社にどれが必要か判断は容易ではありません。適切でないシステムを選べば、コストや時間を無駄にするリスクがあります。

 

そこで本記事では、WMS・WES・WCSそれぞれの特徴や機能の違いを徹底解説します。さらに、各システム導入による効果と現場に応じたシステムの選び方も解説します。この記事を読めば、WMS・WES・WCSの役割の違いが明確になり、自社倉庫に必要なシステムを正しく選択できます。無駄な投資を防ぎ、倉庫業務の生産性を高められるでしょう。

 

記事の最後では、商談時に頂くWMS・WES・WCSに関するよくある疑問を支援実績800社以上を誇るWMSベンダー代表の東が回答します。

 

システム導入でお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

 

WMSとは?在庫・入出庫を一元管理する倉庫管理システム

倉庫管理システム(Warehouse Management System:WMS)とは、商品の入荷から保管、出荷までの倉庫業務全体を効率化、可視化し、在庫精度の向上、作業時間の短縮、ヒューマンエラーの削減などを包括的に実現するソフトウェアです。

 

導入することで、倉庫内の入出庫状況や在庫をリアルタイムに一元管理できます。ハンディ端末で商品バーコードを読み取れば、在庫データが即座に更新されるため、人手による帳簿管理のようなタイムラグが生じません。

 

商品情報を常に最新の状態で把握できるため、エクセルなどによるアナログ管理と比べて格段に正確かつ効率的に業務を進められます。さらにWMSには帳票作成やラベル発行機能も備わっており、事務処理の負担も軽減することができます。

 

WMSの6つの主要機能

WMSには様々な機能がありますが、主な機能は次の6つです。

 

【入荷管理】

入庫スケジュールを管理し、受入データを取り込みます。
入荷ミスや滞留の抑制に役立ちます。

 

【出荷管理】

出庫指示を登録し、ピッキングリストを自動作成します。
出荷リードタイムの短縮に寄与します。

 

【ロケーション管理】

在庫の保管場所を体系的に管理します。
「どこに何があるか」を即時に特定し、ピッキングを効率化します。

 

【棚卸管理】

棚卸指示書を作成し、在庫差異を管理します。
循環棚卸にも対応し、棚卸の負担を平準化します。

 

【返品管理】

返品処理の履歴やリストを一元管理します。
再入庫や廃棄の判断を迅速化します。

 

【帳票・ラベル発行】

各種帳票を作成し、ラベルを出力します。
現場運用と事務処理の整合性を高めます。

 

WMS導入による主な効果

これらの機能により、WMSを導入することで得られる効果は多岐にわたります。

 

  • 業務手順の標準化による作業ムラの解消
  • 入出庫や棚卸時の人的ミスの削減
  • 在庫状況をリアルタイムで正確に把握できる透明性
  • ロケーション管理による「商品探し」の手間削減(ピッキング効率アップ)
  • 在庫適正化・ミス削減による全体コストの削減

 

例えば、従来は担当者ごとにばらつきがあった作業手順もWMSによって標準化できます。また、在庫情報をシステム共有することで人的ミスが減り、適切なロケーション管理で「どこに何があるかわからない」と探し回る時間もなくなります。このようにWMSは倉庫業務の効率化と精度向上に欠かせない基盤システムと言えます。

 

WCSとは?倉庫内のマテハン機器を制御する倉庫制御システム

倉庫制御システム(Warehouse Control System:WCS)とは、倉庫に導入されている自動倉庫・コンベヤ・ソーターなどのマテリアルハンドリング機器(マテハン機器)やIoT機器をリアルタイムに遠隔制御するシステムです。

 

WCSが各機器を集中コントロールすることで、効率の良い最適な作業工程を実現できます。

 

WCSはマテハン機器の制御に特化したシステム

WCSはマテハン機器の制御に特化したシステムです。

WMSのように作業スタッフの動きをサポートする機能はありません。

制御対象となる代表的な設備には、先述した自動倉庫や搬送コンベヤ、仕分け用のソーターシステムなどがあります。

 

これらに加え、AGV(自動搬送ロボット)自動仕分けロボットパレタイザー(自動積み下ろし機)など様々な機器とも連携可能です。

 

WCSは各機器の稼働状況を監視する機能も備えており、どの装置にどんな指示が出ているか、どのロボットがどこで何をしているか、といった状況も一目で把握できます。

 

WCS導入による主な効果

WCSを導入することで、まず倉庫内の自動化による省力化・省人化が促進され、人手不足の解消につながります。

 

また、人間に代わって正確に機械制御を行うためヒューマンエラーの削減にも大きな効果があります。

 

加えて、WCSが適切に複数の機器へ指示を振り分けることで無駄な待機時間が減り、作業全体のスピードと効率も向上します。

 

例えば、搬送ロボットが何台もある現場でも、WCSが最適なロボットに最適なタイミングで指示を出すことで、“遠くのロボットが呼ばれて来るまで待つ”といったロスを防ぐことができます。

 

つまりWCSは、倉庫内の機械設備という「モノ」を統括し、自動化運用の中枢として省人化と作業効率化を担うシステムといえます。

 

WESとは?WMSとWCSを連携し倉庫全体を最適化する倉庫運用管理システム

倉庫運用管理システム(Warehouse Execution System:WES)とは、倉庫内のオペレーション全体をリアルタイムで管理・最適化するシステムです。

 

例えば、倉庫内で稼働中のフォークリフトや搬送ロボットなどマテハン機器の稼働状況、そして現場スタッフ一人ひとりの作業進捗まで可視化・管理できます。

 

WESを使って人と機械の動きをデータで捉えることで、「人員をかけ過ぎてムダが発生している工程」や「作業が滞っているボトルネック」などをリアルタイムに発見し、改善につなげることが可能です。

 

WESはWMSとWCSを橋渡しするインターフェースのような存在です。上位のWMSから受け取った指示をもとに、各WCSへより具体的な命令を出して自動設備を動かし、その結果をWMSへフィードバックします。さらに、複数の設備の稼働状況を一元監視・ログ収集して蓄積データを分析し、効率的な作業手順をシミュレーションするといった高度な機能も持ちます。

 

WESの主な機能

WESの主な機能は大きく2つあり、「作業状況と設備稼働の見える化」と「データ分析による業務最適化シミュレーション」です。

 

現場の人・モノの動きをデータで把握して可視化し、蓄積したビッグデータを分析してボトルネックを解消する施策を立案・シミュレーションできます。

 

例えばWES上で過去データを分析すれば、過剰在庫の発生要因を洗い出して適正在庫数を割り出したり、作業動線を最適化するレイアウト変更を検討したりすることも可能です。

 

WES導入による主な効果

WESを導入した効果として期待できるのは、ヒトも機器も含めた倉庫内リソース配分の最適化です。

 

リアルタイム監視により異常や遅延を即検知して迅速に対処できる体制が構築できるため、ムダや停滞のないスムーズな運営につながります。

 

また、マテハン機器の稼働を管理・調整することで設備稼働率が向上し、生産性アップにも寄与します。例えば、人手が不足しがちなピッキング工程でも、WESが作業負荷を見ながら適切に人員やロボットを割り当てることで、常に最小の人員で最大効率を発揮できるようになります。

 

WMSとWCSを直接連携させることはできる?

WMSとWCSを直接連携させることも技術的には可能ですが、WESを間に挟むことでシステム開発やカスタマイズのコストを大幅に削減できる場合があります。

 

WMSは多機能な大規模システムであるため、新たな機器と直接連携させるにはWMS側の改修に時間と費用を要しがちです。一方WESは比較的小規模で柔軟なシステムのため、新しい設備を追加する際も短期間・低コストで対応できます。

 

実際、多種多様な設備との連携実績を持つWES製品であれば標準機能が充実しているため、個別開発を最小限にとどめられるメリットがあります。

 

WMS・WES・WCSの違いと選び方

最後に、3つのシステムの役割を簡潔に整理します。

 

  • WMS:倉庫内の在庫や入出庫を管理し、現場スタッフへの作業指示を行うシステム
  • WES:WMSとWCSをつなぐインターフェースとして機能し、複数の自動設備を統合管理するシステム
  • WCS:倉庫内の自動機器を制御・監視し、各機器に対してい稼働指示を出すシステム

 

では、自社にはどのシステムが必要になるのでしょうか。

 

基本的にWMSは規模の大小を問わず倉庫運営に必須のシステムです。

 

在庫管理や入出荷管理を効率化・高度化するために、まずWMSの導入を検討しましょう

 

一方、マテハン機器を導入して倉庫内の自動化を進める場合は、状況に応じてWCSやWESも必要になります。例えば、自動倉庫や搬送ロボットなど複数の設備を活用する場合はWMS+WES+WCSの複合モデルが一つ選択肢になります。

 

WESを挟むことでWMSと各機器の連携がスムーズになり、後から設備を追加する際もシステム改修コストを抑えられます。

 

逆に、規模が小さく自動化機器も限られる現場であればWMSと一部の機器を直接連携させるだけでも効果は得られるでしょう。

 

最終的には、自社倉庫の規模・課題・将来的な拡張計画に合わせて最適なシステムを選定することが重要です。現在直面している課題が在庫管理の精度向上であればWMSから、人的リソース不足の解消や複雑な自動化設備の統合運用が課題であればWESやWCSを含めた検討が必要になります。

 

現状にもっとも適したシステムを導入し、将来の成長に合わせて柔軟に拡張できる体制を整えておきましょう。

 

WMS・WES・WCS導入に関するよくある質問

それでは、無料相談や商談の際に頻繁に頂く質問に回答していきます。

 

1.自社のような中規模倉庫に、WMS・WES・WCSのすべてを導入する必要がありますか?

A.それは企業の現状と戦略によります。成長戦略を描く企業は全て一度に、成熟プロセスを持つ企業は段階的に導入が基本です。

2.既存の在庫管理システムや基幹システムとの連携はどのように行いますか?

A.テキストファイル連携、DB直接連携、API連携になります。

3.倉庫規模や出荷件数に応じて、どの程度の初期投資が想定されますか?

A.倉庫規模よりも出荷件数が判断材料になります。1日の出荷量が100~1000件だと300万~1000万、1000件~1万件だと1000万~3000万くらいが目安です。

4.クラウド型とオンプレミス型では、運用コストや拡張性にどんな違いがありますか?

A.5年以上使う場合はオンプレミス型の方がコストが安くなる傾向にあります。拡張性は断然オンプレミス型の方が高いです。

5.WMS単体導入と、WES・WCSを含めた三層構成導入のどちらが現実的でしょうか?

A.全体最適を目指すのであれば三層構成導入、まずは部分最適からであればWMS単体導入をお勧めします。改善規模や予算、スケジュールによって判断します。

6.WESは必ず導入したほうがいいですか?

A.そうとも限りません。まずは自社に合ったシステムと導入ステップを探りましょう。

7.ロケーション管理やピッキング精度の向上は、どの機能で担保されていますか?

A.WMSの在庫管理機能、ハンディターミナルによるピッキング機能で担保されます。

8.現場スタッフが扱う端末やUIはどの程度カスタマイズ可能ですか?

A.ローコード対応ですので、自由にカスタマイズ可能です。

9.棚卸や返品処理など、手作業を伴う業務との併用運用は可能ですか?

A.アナログ業務とデジタルの併用運用は可能ですし、一般的かつ現実的なな運用方法です。

10.マルチベンダー環境(異なるメーカーの設備混在)でも、スムーズに連携できますか?

A.相手のベンダーにもよりますが基本的に私たちはマルチベンダー方式の経験が豊富なため、スムーズに進めることが可能です。

11.API連携やデータ出力の形式は標準化されていますか?

A.はい。標準化されています。

12.新しい自動倉庫や搬送機器を追加する際、どの程度のシステム改修が必要になりますか?

A.自動倉庫連携1本追加で50万円~150万円程度です。ただし、カスタマイズ内容にもより変動します。

13.稼働状況や生産性のデータを可視化・分析する機能はありますか?

A.入出荷や棚卸など作業の進捗状況をリアルタイムに確認する機能が標準搭載されています。

14.将来的にWESだけ、あるいはWCSだけを段階的に追加することはできますか?

A.はい。可能です。お客様の成長や導入計画に合わせた柔軟な導入支援を心がけています。

15.WMSを導入する際の流れはどのようになりますか?期間はどのくらいですか?

A.カスタマイズが発生する場合は、要件定義⇒設計⇒製造⇒テスト⇒シミュレーション⇒本稼働といった流れで、6ヵ月から8ヵ月の期間で導入します。

16.インターストックのWMSはどのような強みがありますか?他ベンダーとのWES・WCS・マテハン機器との連携は可能ですか?

A.ソース完全公開、ローコード対応、製造業に強いなどの特徴があります。WES、WCS、マテハン機器との連携実績も豊富です。

 

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