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EC業界のロジスティクス事情 ~適正在庫の勘違いから生まれる売り上げの伸び悩み~

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画像素材:PIXTA

 

*** インターネット時代の象徴 ***

 

アマゾン・ドット・コムの歴史はインターネット時代の象徴と言っても過言ではないでしょう。

オンライン書店として小さなスタートを切ったアマゾンは、1990年代後半の第一次ドット・コムバブルの波に乗り、創業者のジェフ・ベゾス氏が当初から口癖のように繰り返す、「インターネット企業がメーカーと消費者をつなぎ、世界に向けてあらゆる商品を販売する」というエブリシング・ストアのビジョンを実現し、音楽、家電、映画なども販売するようになりました。

インターネットを利用して商品を販売するというECの先駆者として、瞬く間に世界的な企業に上り詰めたアマゾンですが、ともすれば「アマゾンは運が良かった」、「たまたまネットのブームに乗っただけ」、「毎年赤字を出して安売りをして顧客を増やしている」
と揶揄されることも少なくありません。

ドット・コムブームと最新のテクノロジーで成功した”デジタル”なイメージが強いアマゾンですが、実はその成功の裏には、ある一貫した経営哲学にもとづく物理的で”アナログ”な経営戦略があったことは意外と知られていません。

 

*** 強迫的なまでの顧客第一主義 ***

 

ベゾス氏は創業当初、「インターネットはすさまじい勢いで変化している。リアルの1週間はネットの1年間に相当する」と語っていました。
この言葉が象徴するように、EC業界は不確実性の中で競争に打ち勝つための経営戦略を見出さなければ生き残って行けません。

ベゾス氏が社員や株主に対して語る言葉はいつも観念的で、いつも同じような言葉を繰り返す為、ジェフィズムと呼ばれたりします。

創業当初から20年以上繰り返されている言葉があります。

「アマゾンは正真正銘、顧客第一です」

そう豪語するアマゾンの行動は常に強烈です。
顧客を喜ばせることに強迫的で、配送料無料や売上税ゼロといったサービスを周囲の心配を他所にあっさりと提供してしまいます。

また価格競争に勝利して市場シェアを拡大するために手段は選ばず、取引先に無理難題を押し付けたり、ライバル企業に果敢に戦闘を挑んだりします。(※日本では佐川急便との運賃交渉が有名ですね)

当然のようにアマゾンを良く思わない企業や関係者が増えていくことになるのですが、「全ては顧客のため」という錦の御旗を掲げる同社は涼しい顔をして気にする様子もありません。
超長期的な視点で顧客だけに集中し、市場支配力を強めようとする強烈なまでに一貫した戦略と実践は驚嘆に値します。

1998年頃、急成長するアマゾンの経理部門は青ざめていました。
数字とにらめっこし、なんとか楽観的な予測を立てようとしますが、どう計算しても莫大な損失が待ち受けていることを覆せないでいました。

巨大な物流センターを7つも立ち上げたことが大きな原因であることは、誰の目から見ても明らかでした。

そもそも、インターネットのテクノロジー企業が物流という物理的でアナログな分野に手を出すべきではなかったのだという意見が大半でした。
こうした社内外の批判に対してもべゾス氏の回答は明瞭でした。

「神聖なる顧客の体験にかかわるものすべては極めなければならない。」と利益予想自体を完全否定して周囲を唖然とさせたのです。

 

*** たっぷり仕入れて沢山在庫しろ ***

 

ベゾス氏が信念を貫き通して周囲を混乱させたエピソードは沢山ありますが、在庫に対する考え方も非常識でスケールの大きなものでした。

書籍や音楽の販売で勢いに乗ったアマゾンは1999年に玩具と家電を取り扱う方針を打ち出します。
玩具部門の立ち上げに抜擢されたスタンフォード大学出身のミラー氏は8ヶ月でこの事業を立ち上げなければなりませんでした。

ミラー氏とベゾス氏は玩具の仕入額を巡って意見が真っ向から食い違い、当初から衝突しました。
ミラー氏の考えでは先行きどうなるか分からない新規事業の為、仕入額は最小限に抑えつつ状況を見ながら在庫を増やしていく方針を提案しました。

しかし、ベゾス氏は「1億2千万ドルを投入し、あらゆる種類の玩具を揃えるべきだ」と主張します。
アマゾンで商品を検索してくれた親や子供をがっかりさせてはならないと言って主張を曲げようとはしませんでした。

周りがいくら無謀だと反対しても、「黙れ!1億2千万ドルだ!たっぷり仕入れろ。」と興奮して叫ぶベゾスに周りはただ従うしかなかったといいます。

結局最初のホリデーシーズンの売上目標は達成することができましたが、5000万ドル分の不良在庫を抱えてしまったのです。
(※ホリデーシーズン・・・米国やカナダで多くの人が休暇を取るクリスマスから年末年始にかけての期間)

“適正在庫”という考え方は非常に曖昧で捉え方によっては全く逆の戦略を企業に与えます。

ミラー氏の在庫の考え方はアマゾンから見て適正在庫であり、ベゾス氏の方は顧客から見て適正在庫であったということです。
現在のアマゾンの成功を見れば、ミラー氏の戦略は短期的であり、ベゾス氏の戦略は長期的であったと言えるでしょう。

EC業界でも、商品のライフサイクルを見極めて在庫の適正化を図る戦略を打ち出す企業は沢山あります。
売上が伸びて規模が拡大した時、大きく2つの方向に決断を迫られます。
在庫を増やして市場拡大を狙うか、在庫を削減して利益確保を狙うかです。
どちらも間違いではありませんが、適正在庫という意味をもう一度しっかりと社内で議論して、自社が目指すべき方向に対して在庫戦略を見直すことが重要になるでしょう。

以前本メルマガでオムニチャネル化を図ると在庫が増えるという記事を書きましたが、下手に在庫削減を焦ると伸びていた売上にブレーキをかけることになりかねません。
参考記事:https://www.inter-stock.net/column/no128/

 

*** 在庫適正化の勘違い ***

 

在庫適正化でよくある勘違いを一つ紹介しましょう。
例えば下記のように月に2回転する売れ筋のボールペンと月に0.5回転しかしない死筋になりつつあるホッチキスがあった場合で考えてみましょう。

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不良在庫になる前に死筋のホッチキスを販売することに注力したとします。
月に0.5回転だったホッチキスをキャンペーンを打つことで倍の1回転に上げました。

するとどうでしょう・・・

キャンペーン前はボールペンは在庫金額1万円が2回転で2万円の売上、ホッチキスは在庫金額20万円が0.5回転で10万円の売上で合計12万円の売上でした。

死筋のホッチキスの回転を倍にしたことで、売上が22万円になり、180%の売上向上です。

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今度は死筋商品には目もくれず、売筋商品の在庫を一気に増やした場合を見てみましょう。
売れ筋商品であるボールペンの在庫を100万円にしました。

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なんということでしょう!在庫高は増えてしまいましたが、売上は210万円となり、1月12万円だった売上が一気に210万円になってしまいました!

実際にはこんなに単純にいかない場合が多いですが、話を分かり易くする為に少し大袈裟な例でご紹介しました。

しかし、アマゾンがどちらの戦略で売上を伸ばし、市場を拡大していったのかは、皆さんももうお分かりですよね。
在庫適正化の視点を変えるだけでEC事業の売上は飛躍的に伸びる大きな可能性を秘めているのです。

 

※※最後まで読んで頂いた方に耳寄りなお知らせ※※

ベゾス氏が指摘するように、インターネットはすさまじい勢いで変化している為、EC業界で生き残る為には、不確実性の中で生き残る為の戦略を打ち出さなければなりません。
アマゾンの事例から学べることは、在庫の管理方針はEC事業の命運を左右する重要な戦略要素であるということです。

適正在庫についても、誰から見て適正なのかということも自社の方針と照らして検討しなければなりません。
在庫の管理方針を定めたら、しっかりと方針に沿った在庫管理を運用していく必要があります。
その為にも在庫管理の基本をしっかりと押さえておきましょう。

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