「超人手不足」の物流業界はどう変わる?2030年近未来物流の展望(2)|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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「超人手不足」の物流業界はどう変わる?2030年近未来物流の展望(2)

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画像素材:PIXTA

 

*** サッカーにもIoT(モノのインターネット)の気配 ***

 

サッカーロシアW杯の開幕戦となるロシア対サウジアラビアが日本時間の6月14日24時よりキックオフされます。

約1ヶ月間に及ぶこの祭典は、サッカー世界最高峰と位置付けられており、全世界のテレビ視聴者数は10億人を超え、その経済効果はオリンピックを凌ぐと言われるほどです。

サッカーでは4年に一度のW杯でボールが大きく進化します。
これまでも左右に揺れやすいボールや、よく弾んでスピードが出やすいボール、コントロールしやすいボールになったりと変化してきました。

前回のブラジルW杯では、「ブラズーカ」と呼ばれる公式球が世界を驚かせました。
サッカーボールは複数のパネルを繋ぎ合わせて1つの球体を構成しています。
このブラズーカでは、そのパネルを史上最少の6枚にすることに成功しました。こうすることで選手がより扱い易いボールを、改良することに成功したのです。

 

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※2014年ブラジル大会公式球「ブラズーカ」 アディダス社公式サイトより

 

そして、今大会の新ボール「テルスター18」は更に世界を驚かせることになりました。
なんとボールにICタグが内蔵されたというのです。

 

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※2018年ロシア大会公式球「テルスター18」 アディダス社公式サイトより

 

白黒のパネルデザインは昔ながらのサッカーボールデザインに戻ったような印象ですが、モザイクがかかったようなエフェクトが近未来を感じさせます。
余談ですが、昔のサッカーボールが白と黒でデザインされていたのは、モノクロのテレビ放送でもポールがはっきりと見えるように工夫されたためです。

テルスター18に内蔵されるICタグは13.56MHzの周波数帯を使用した近距離無線通信規格「NFC」に対応したもので、スマフォとリアルタイムでデータ通信が可能だというのです。

※NFC(Near Field Communication)・・・10cm程度の近距離で「かざす」だけで簡単にデータの読み書きや通信が可能

 

現段階では、スマフォをボールにかざすと商品情報が表示されるだけということですが、今後はボールの空気圧などの状態やキック時のスピード、転がった距離などを記録できるようになるかもしれません。

世界中が注目する大会だけに、こうした最新技術が積極的に応用されることで、世界のIoT(モノのインターネット)の普及に貢献するのではないでしょうか。

 

*** IoTを活用した「スマート物流構想」 ***

 

変革期では、これまでの常識にとらわれることなく改革を進めることで、価値創造のレベルと範囲を拡大するチャンスです。
本稿では、”クライシス”と呼ばれる物流の現状を俯瞰し、第4次産業革命という大きな変化において、物流の未来をポジティブで建設的に考察していきます。

政府は物流生産性革命を提唱し、効率的で高付加価値なスマート物流の実現に向けてIoTやAI(人工知能)の活用を進めています。
またそのための基盤として、物流と商流のデータを収集・解析する為のプラットフォーム構築を目標に掲げています。

近年の我が国の物流は、トラック積載率が41%に低下するなど様々な非効率が発生しています。
積載率については、ECの普及により、少量多品種の配送が今後も増えることで更に悪化するのではとの見方が強まっています。

物流に関わる全ての企業が、これまでの常識にとらわれることなく、生産性を飛躍的に向上させ、将来の労働力不足を克服し、経済成長に貢献していくことが必要です。

その為にはIoT等の最新技術を活用し、データ共有を通じて、生産・運送・販売のサプライチェーンを最適化し、産業全体の生産性を向上させることが重要です。

物流は量が集まればコストダウンが図れます。この鉄則は近未来の物流においても不変です。
量を集める為には、これまでのようにアナログで企業同士が繋がって仕組化する方法では限界がありスピード不足です。
IoTを活用してデータの共有を推進してリソースをシェアリングしていく為のシステム構築が急務でしょう。

荷主が保有するオーダー情報をいかにして共有するかが最大の難関です。
この点については、各企業の意識の改革も必要になってきます。
どうしても自社のオーダーデータは企業秘密という考えが優先される為、そのデータを競合他社と共有するというのはかなりハードルが高いのです。
データの扱い方のポリシーやルールを決めて、その為の環境を整えることが今後の最重要課題ではないでしょうか。

そこを無視して各企業がそれぞれでIoTに投資したとしても、各企業の生産性向上には繋がるかもしれませんが、社会問題にまで発展している物流のクライシスへの対策としては不十分です。

各企業のデータを共有することで、トラックの積載効率を現状よりも20%は向上できるはずです。
ドライバー不足の解消にもつながりますし、在庫情報を共有することで食品ロスなどの問題解決にもなるのです。

プラットフォーム構築に向けて、ブロックチェーン技術やセンシング技術などの技術ばかりに目が向きがちですが、最大のハードルを無視しては改善は進まないでしょう。

 

*** RFIDの普及が本格的に進む ***

 

電子タグの単価が随分と安くなってきました。
現在単価1円以下の電子タグなどの研究も進んでいます。単価1円以下を実現できれば、食品などにも普及が進むため、バーコードに変わる日も近いでしょう。

経済産業省では、コンビニ各社・ベンダー・有識者等の協力の下で実務者会議を開催し、RFID利活用拡大に向けたロードマップを策定しています。

その活動の中で、セブンイレブン・ファミリーマート・ローソン・ミニストップ・ニューデイズと共同で「コンビニ電子タグ1000億枚宣言」を掲げました。
2018年2月14日から2月23日までの期間、「ローソン丸の内パークビル店」(東京都千代田区)にて、電子タグから取得した情報をサプライチェーンで共有する実験を行っています。
実験では、商品1つ1つに貼付された電子タグを活用することで、サプライチェーンにおける在庫情報等を可視化し、サプライチェーン各層の連携の強化を目指します。

 

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※ローソン公式HP ニュースリリースより抜粋

 

*** 最後に ***

 

「スマート物流」は2030年に向けた近未来物流の象徴となるのでしょうか。
その為の技術開発は政府主導でも進んでおり、我が国の成長戦略の一環として取り組まれています。
その中でもっとも実現性が高く、威力を発揮する技術の一つがRFID(電子タグ)であることに疑いの余地はないでしょう。

RFIDの普及によってデータの共有がされることで物量が集まり、産業全体の効率化が可能となり、リソースの共有につながります。
筆者が考えるスマート物流の実現に向けたポイントは以下の3点です。

 

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オーダー情報や購買情報をリアルタイムで製造業・物流業・同業他社で共有することで、業界を超えた協調領域でのデータ活用が実現できます。
在庫は最適化され、積載効率は向上し、運行ルートは最適化され、リソースのシェアリングが実現されます。
国内の生産性は最低でも20%は向上し、この最先端の取り組みが世界のモデルとなることでしょう。

 

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