成長を目指す製造業のための物流デジタル戦略 ~より大きな善の追求~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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成長を目指す製造業のための物流デジタル戦略 ~より大きな善の追求~

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2024年10月1日、石破新内閣の発足とともに、日本は新たな転換点を迎えました。内外の情報を見聞きすると、今年は本当に重大な真剣な変革の動きが至るところにうかがわれます。したがってそれに対して私たちはできるだけ正しい見識と勇気とを以て善処しなければなりません。今こそ、古いやり方の殻を破って創造を伸ばすときです。いかに外界の抵抗力が強くとも、それに屈せずに、弾力的に、とにかく在来の因習的生活にけりをつけて、雄々しくやってゆく必要があります。

経営者の皆さんに求められることは、ありきたりの、意気地のない、ごまかしのやり方に見切りをつけて、勇敢にいかなる抵抗にも屈せず、思い切って革新(DX)に向けて歩を進めてゆくことです。- 為すは為さざるより勝る -です。決して今からでも遅くはありません。

DXに必要な経営者の姿勢は、俊敏さと実験への許容力です。リスクを積極的に取りにいける組織でなければ、DXへの挑戦は出来ません。真のDXを推進するには、失敗を
進んで受け入れなければなりませんが、たいていの人は失敗を嫌がるものです。
 

2024年10月06日  執筆:東 聖也(ひがし まさや)

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<目次>

1.わが国のものづくり活動とその変遷

2.今後のものづくり活動に求められる変革

3.拝啓 製造業の経営者の皆さまへ

1.わが国のものづくり活動とその変遷

日本の製造業は、高度経済成長期に品質と効率を追求する「カイゼン」や「ジャストインタイム」などの革新的な生産方式を確立し、世界的な競争力を獲得しました。しかし、1985年のプラザ合意以降の急激な円高により、多くの製造業が生産拠点を海外に移転せざるを得なくなりました。この動きは、グローバルなサプライチェーンの構築をもたらす一方で、国内産業の空洞化という課題も生み出しました。

バブル経済崩壊後の「失われた20年」を経て、2008年のリーマンショックは、グローバルサプライチェーンの脆弱性を露呈させました。さらに、2020年以降の新型コロナウイルス感染症の世界的流行は、サプライチェーンの寸断リスクを改めて浮き彫りにしました。特に、特定の地域や企業への依存度が高い部品や原材料の調達において、深刻な影響が見られました。このような経験を踏まえ、今後の日本のものづくりは様々な変革を求められています。

2.今後のものづくり活動に求められる変革

まず、サプライチェーンの強靭化は最重要課題でしょう。具体的には、調達先の多様化(マルチソーシング)と、重要部材の国内生産能力の維持・強化が必要です。ただし、すべての生産を国内回帰させることは現実的ではなく、戦略的に重要な製品・部材を選定し、それらについて国内生産体制を整備することが求められます。

次に、デジタル技術の積極的活用によるサプライチェーンの可視化と最適化が重要です。これはまだDXに向けた第一段階ですが、IoTセンサーやAI、ブロックチェーンなどのデジタル技術を活用することで、サプライチェーン全体でのリアルタイムな状況把握と、問題発生時の迅速な対応が必要不可欠となります。

さらに、環境負荷低減への取り組みも不可欠です。カーボンニュートラルへの世界的な要請に応えるため、製造プロセスの脱炭素化やサプライチェーン全体でのCO2排出量の可視化と削減が求められます。これは新たなコストとなる一方で、環境配慮型の製品・サービスという新たな価値創造の機会ともなります。

リスク対策としては、サプライチェーンの各段階でのリスク評価と対応策の策定、特に重要なサプライヤーについては、定期的な経営状況の確認や、代替調達先の確保が必要です。また、災害や感染症などの緊急事態に備えた事業継続計画(BCP)の整備と定期的な見直しも欠かせません。

加えて、地政学的リスクへの対応も重要性を増しています。米中対立の深刻化や各国の保護主義的な政策により、従来の効率性重視のグローバルサプライチェーンの見直しが必要となっています。特定国への過度な依存を避け、政治的リスクを考慮した調達・生産体制の構築が求められます。

人材育成の観点も忘れてはいけません。デジタル技術の活用やグローバルなサプライチェーン管理には、従来の製造技術に加えて、デジタルスキルやグローバルなビジネス感覚を持った人材が必要となります。産学連携による人材育成や、継続的な社員教育の充実が求められます。


3.拝啓 製造業の経営者の皆さまへ

18世紀後半に始まった産業革命は、人類に豊かさをもたらす一方で、環境破壊や気候変動という負の遺産も残しました。私たちは今、この歴史的教訓を踏まえ、新たな産業変革の岐路に立っています。2015年に国連が採択したSDGsは、まさに企業に対して、純粋な経済価値の追求を超えた、より広範な社会的責任を求めています。

明治維新期、西郷隆盛、勝海舟、坂本龍馬といった変革者たちは、単なる個人的な成功や利益を超えて、日本という国の未来を見据えた大きな構想を持っていました。彼らは「国を開き、産業を興し、人々の暮らしを豊かにする」という高邁な理想を掲げ、その実現に向けて身を投じました。現代の私たちもまた、DXを推進するにあたり、このような高い志を持つべきではないでしょうか。DXの目的は、単なる業務効率化やコスト削減にとどまるものではありません。原材料の持続可能な調達方法の確立、廃棄物の削減、CO2排出量の抑制など、現代社会が直面する重要課題の解決にも目を向ける必要があります。

ものづくりのDXの推進を難しくしている一つの要因として、ゴールが明確でないことがあげられます。「デジタル技術で何を実現したいのか?」という本質的な部分です。デジタル技術を導入することが目的になってしまっているケースが少なくありません。またターゲットとなる範囲を明確にすることも重要です。どの業務領域に重点を置いて、どのレベルを目指すのかをしっかりと見据えることです。例えば、- 調達物流の領域において、Amazonレベルの自律的な物流システムを構築する -といった具合です。

私たちは現在、ものづくり物流のデジタル化支援に焦点を当てて活動しています。経済価値と社会価値の両立を実現する、ものづくり物流システムの構築こそが目指すべき製造業の物流DXだと確信しています。

IoTやAIを活用したスマートファクトリーの構築は、生産性向上だけでなく、エネルギー使用の最適化によるCO2削減にも貢献します。サプライチェーンの可視化は、無駄な在庫の削減や物流の効率化を通じて、環境負荷の低減にもつながります。また、デジタル技術を活用した製品設計は、資源の有効利用や製品ライフサイクル全体での環境影響の最小化を可能にします。

つまり、真のDXとは、経済価値と社会価値を高い次元で両立させる取り組みであると言えます。それは、明治の志士たちが目指した「国を開く」という志に匹敵する、現代における「未来を開く」壮大なプロジェクトとも言えるでしょう。私たち製造業に携わる者には、単なる利益追求を超えて、持続可能な社会の実現に向けた「より大きな善の追求」が求められています。
デジタル技術は、その実現のための強力なツールとなります。しかし、それを正しく活用するためには、明確な理念と高い志が必要です。

今こそ、私たちは経営者として、技術革新がもたらす可能性を、社会全体の利益のために最大限に活用する決意を新たにすべきときではないでしょうか。それこそが、日本のものづくりの新たな地平を切り開く道ではないでしょうか。

 

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