【2025年最新】流通小売業の物流担当者必見!自社物流への切り替え・改善ノウハウを解説!|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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【2025年最新】流通小売業の物流担当者必見!自社物流への切り替え・改善ノウハウを解説!

【2025年最新】流通小売業の物流担当者必見!自社物流への切り替え・改善ノウハウを解説!

2025年、流通・小売業界の物流は経営戦略の要となっています。 EC拡大やオムニチャネル化、そして深刻化する人手不足などを背景に、「物流を制する者がビジネスを制する」と言っても過言ではありません。物流担当のリーダーや意思決定層に向け、本記事では自社物流への切り替えと物流業務改善のポイントを解説します。物流を内製化する意義や直面する課題、そして現場で使える改善策をまとめました。さらに、流通業向けWMS(倉庫管理システム)の導入メリットや、実際に自社物流化を成功させた企業事例もご紹介します。ぜひ今後の物流戦略立案の参考にしてください。

2025年5月30日  執筆:東 聖也(ひがし まさや)

物流DXウェビナー

自社物流化の背景と重要性 ~なぜ「物流」を自社で担うべきか~

小売・流通企業にとって、物流は単なる裏方業務ではなく競争力の源泉です。ウォルマートCEOが物流専門家であることや、Amazon創業者がウォルマート物流を手本にした話は有名です。物流を最重視する企業ほど欠品削減や在庫適正化を実現し、収益力を高めています。

では、なぜ今自社物流(インハウス物流)が注目されるのでしょうか?背景には次のような業界環境変化があります。

顧客ニーズの高度化と多様化

EC普及により、消費者は24時間注文や即日配送、店舗受取など高度なサービスを当たり前に求めます。外部委託の画一的な物流ではこうしたニーズに迅速・柔軟に対応しづらく、自社で物流オペレーションをコントロールする必要性が高まっています。実際あるEC企業では、外部委託物流がボトルネックとなり、ギフト梱包やチラシ同梱などのサービス対応に見積・稟議を経て時間がかかるなどスピード面で限界を感じたといいます。委託先ではキャンペーン用のセット商品の出荷なども柔軟に対応できず、顧客サービス向上の障害となっていました。

オムニチャネル戦略の推進実店舗とECをシームレスにつなぐオムニチャネルは業界共通の課題です。店舗在庫をEC販売に活用したり、オンライン注文品を店舗受取・返品できる仕組みづくりには、在庫の一元管理リアルタイムな在庫可視化が不可欠です。自社で物流システムを構築すれば、本部・倉庫・店舗を直結させてSKU(商品単位)在庫を一元管理でき、販売機会損失の防止につながります。特にアパレル大手のファーストリテイリング(ユニクロ)は全商品にRFIDタグを付与し、生産から店舗までどこに何があるか瞬時に把握・共有する体制を築いています。この結果、売場での欠品アラートや適正在庫維持が可能となり、値下げ販売に頼らず売上と利益率を向上させる狙いです

物流を制することが収益に直結

物流効率が上がれば、欠品減・過剰在庫減による販売機会の最大化や、人件費・配送費の削減によるコスト低減が期待できます。逆に物流軽視はこれらメリットを逃し、販売機会損失や無駄なコスト増を招きかねません。実際、近年成功している小売チェーンは物流部門の人材育成にも力を入れ、社内にノウハウを蓄積しています

経営リスクへの備え

2024年の働き方改革関連法(いわゆる「2024年問題」)でトラックドライバーの残業規制が始まり、配送網の制約や運賃高騰が避けられない状況です。今後、大手運送会社による集荷制限や値上げが進めば、物流コストは上昇しサービスレベルも低下しかねません。実際に「御社の荷物を取りに行けない」と運送会社に断られるケースも出始めており、物流を他社任せにするリスクが顕在化しています。また、人手不足で外部物流リソースの確保自体が難しくなる懸念もあります。このような環境下、自社で物流力を高めておくことはサプライチェーンを止めない保険とも言えるでしょう。

以上のように、顧客サービス強化からコスト管理、リスクヘッジまで物流内製化の意義は非常に大きいのです。では次に、2025年現在、流通小売業の物流現場で具体的にどんな課題があるのかを整理し、その改善ポイントを探ります。

自社物流化の背景と重要性

2025年の流通・小売物流が直面する主な課題

まずは、現在流通・小売業界で共通する物流課題を洗い出しましょう。社内物流への切り替えや改善施策を検討するにあたり、自社の現状課題を把握することが出発点です。以下に主な課題を挙げます。

① ECと店舗在庫の連携不足(オムニチャネル対応)

店舗とECで在庫管理やシステムが分断されている企業では、売れ筋商品の在庫が店頭になく機会損失、逆に店舗で売れない商品が過剰在庫化するといったミスマッチが起こりがちです。在庫情報がサイロ化していると、在庫融通や店舗受取サービスなどオムニチャネル施策もうまく機能しません。在庫の一元可視化リアルタイム更新が課題解決の鍵です。

② 在庫の可視化と精度向上

前項と関連しますが、サプライチェーン全体で在庫が見えないことは大きな問題です。特に商品点数(SKU)が多い業態では「どの商品が、いつ、いくつ生産済みで、どの倉庫・店舗にあるか」を正確に把握できていないケースがあります。在庫情報の不透明さは欠品や滞留在庫を招くだけでなく、需要予測や迅速な補充の妨げになります。情報システムを活用した在庫見える化が急務です。RFIDやWMS導入で「どこに何があるかを瞬時に把握できるようになった」という先進企業の例も出てきています

③ 返品対応の非効率

EC拡大に伴い返品率も高まっています。特にアパレルやシューズではサイズ違いや色違いなどで返品が日常茶飯事です。返品処理に時間がかかると在庫引当や返金対応が遅れ、顧客不満や在庫ロスにつながります。店舗返品を倉庫在庫に反映できないと二重在庫にもなりかねません。返品専用のプロセスとシステム整備、例えば返品商品を即座に検品・バーコード登録し再販可能在庫に戻すフローの構築が求められます。

④ 物流コストの上昇圧力

前述の2024年問題に伴う運賃値上げ、人件費高騰、燃料費の変動など、物流コスト増要因が多くあります。利益率が低い小売業では物流コスト増は死活問題です。自社物流でも倉庫費・人件費・配送費の効率化が欠かせません。まずは現状の物流コストを「見える化」し、どの部分に無駄があるか把握する必要があります。物流コストは社外費(外注費:運賃や保管料)と社内費(自社倉庫の人件費・設備費など)に分類でき、特に社内費は会計上見えにくいため独自の物流会計ルールを設けることが重要です物流KPIとして売上比率だけでなく1梱包あたり費用など具体的な指標を設定し、日次・月次でモニタリングすることで、改善効果を定量評価できます

⑤ 労働力不足と労務管理

倉庫作業員やドライバーの人手不足は長期的な課題です。求人難や高齢化で、今後物流現場の生産性向上は避けて通れません。加えて残業規制や働き方改革への対応で、限られた人員で効率よく回す仕組みが必要です。ピッキング・梱包の自動化機器や省人化システム導入、作業動線の改善、または業務の一部をアウトソーシングやシェアリング活用(後述)することも検討課題です。労務管理の面では、自社で物流スタッフを雇用する場合、労働時間の適正管理や安全管理体制の構築も欠かせません。

⑥ 配送ネットワークの再構築

最後に配送面の課題です。宅配大手の値上げや容量オーバーによる断りへの対応、またEC増加で配送量自体が増える中、いかにコストを抑え安定配送するかが問われます。選択肢として、共同配送や地域シェアリング物流があります。実例では食品メーカー6社が共同で物流子会社を設立し、在庫集約と共同配送でトラック台数削減や配送件数16%減を達成しました。自社トラックを持たない企業でも、同業他社や物流企業と提携して幹線輸送をシェアする動きが広がっています。また都心近接の小型倉庫拠点を構える戦略も重要です。Amazonが都市部に小規模配送拠点を多数置き、プライム会員向け即配サービスを実現しているのは有名です。自社でも、大型センター+都市マイクロFC(フルフィルメントセンター)を組み合わせて配送リードタイム短縮を図ることが考えられます。

以上の課題を踏まえ、次章では物流改善の具体策を見ていきます。自社物流への移行を成功させるポイントや、倉庫運営・在庫管理・デジタル化(DX)といった観点からの戦略を解説します。

2025年 流通・小売物流の主要課題

物流業務を改善する実践ポイント

前章で整理した6つの課題を解決するため、ここでは具体的な改善策を紹介します。物流改善は一朝一夕では成果が出ませんが、現場の小さな改善積み重ねが大きな効果を生みます。特に重要なのは、現状の数値化・見える化から始めることです。改善前後の効果を定量的に測定し、PDCAサイクルを回すことで継続的な向上が可能になります。以下、すぐに取り組める実践的なポイントを整理しました。

倉庫オペレーションの効率化と在庫管理の最適化

物流改善の基本は、現場(倉庫)の生産性向上在庫の適正在庫化です。以下の点をチェックしてみましょう。

(箇条書きはH4タグ、または箇条書きのテキストを太く大きくして執筆をお願いします。)

  • レイアウト・動線の最適化:倉庫内レイアウトを見直し、頻出商品のゴールデンゾーン配置や、ピッキング動線の短縮を図ります。棚や設備の配置変更で移動距離を減らすだけでも作業時間短縮に繋がります。また、商品特性に応じて保管エリアを区分(重い物は下段、形状別に棚割り等)し、無駄な動きや持ち替えを削減しましょう。 

※参考記事「“今すぐ実務に役立つ” 物流センター運営の教科書 ~センター内のレイアウト~

  • 標準化と5Sの徹底:作業手順の標準化マニュアルを整備し、誰が担当しても一定のスピード・品質で処理できるようにします。加えて、現場の5S(整理・整頓・清掃・清潔・しつけ)を徹底しミスやロスを防止します。特に返品処理や検品作業は抜け漏れが起こりやすいので、チェックリスト運用やバーコード検品のルール化で品質を維持します。 
  • 在庫適正化(欠品防止と過剰在庫解消):販売データを分析し適正在庫水準を設定します。ABC分析などで商品ごとの在庫ターン率を把握し、動きの遅い商品の発注ロット見直しや在庫圧縮を図ります。一方、売れ筋商品は在庫切れによる販売ロスが甚大です。需要予測精度を高めるとともに、安全在庫を厚めに設定し、欠品ゼロを目指した在庫配置を行いましょう。毎日の売上・在庫データをチェックし、異常値があればすぐ補充発注する運用も有効です。 
  • 棚卸作業の省力化:棚卸に何日もかかっていてはその間の出荷停止や人件費負担が大きくなります。バーコードやRFIDを活用した**循環棚卸(サイクルカウント)**を導入し、日常業務の中で少しずつ棚卸を行う方法がおすすめです。先述のRFID導入企業では「膨大な商品の棚卸作業も瞬時にできるようになった」と報告されています。ハンディ端末で定期的に在庫スキャンし、帳簿とのズレを早期に補正することで年次棚卸の負荷を大幅に軽減できます。 
  • 外部拠点の活用:自社倉庫が手狭で在庫があふれている場合、第三者物流(3PL)の倉庫をスポット的に活用するのも手です。例えば季節商品やセール在庫のみ期間限定で外部倉庫を借りることで、自社倉庫キャパ超過を防げます。ファーストリテイリングは生産国側に倉庫を設けダム機能(在庫調整拠点)とすることで、日本国内倉庫の逼迫を防いでいる例もあります。自社と委託を使い分け、全体最適な在庫配置を検討しましょう。 

※参考記事「“今すぐ実務に役立つ” 物流センター運営の教科書 ~荷主の評価と診断~

倉庫オペレーション効率化の実践ポイント

デジタル技術(DX)による物流革新

人的作業が中心だった物流現場にも、近年はデジタルトランスフォーメーション(DX)の波が押し寄せています。DX活用により「速く・安く・ミスなく」物流を回す取り組みは、もはや競争優位のカギです。

  • WMS(倉庫管理システム)の導入:紙と人海戦術の管理から卒業し、WMSによるデータ管理に切り替えましょう。WMSを使えば入出庫・在庫情報がリアルタイムに可視化され、先述の在庫一元管理やEDI連携もスムーズになります。例えば商品入荷時にバーコードスキャンで検品と同時に在庫計上し、即座にECサイトで在庫反映・販売開始するといったことも可能です。とあるEC企業では「新商品の入荷からサイト掲載までのスピード」が課題でしたが、自社物流化とWMS導入により入荷〜出荷処理が効率化し、販売機会ロスの低減に成功しました。またWMSは在庫トレースにも有効です。ロットやシリアル管理機能を使えば、不良品ロットの特定やリコール対応も迅速に行えます。 
  • オートメーション・ロボティクス:大型自動倉庫やソーターといったハード面の自動化もDXの一環です。物流大手だけでなく中堅企業でも、小型のオートストア(AutoStore)やAGV(自動搬送ロボット)導入が始まっています。ファーストリテイリングはダイフク社と提携し、全世界の倉庫に自動搬送・仕分けシステムを展開予定と発表しました。人時生産性を飛躍的に上げるにはマテハン機器の活用が効果的です。また、物流ロボットはピッキング支援でも注目されており、商品棚まで人を誘導するAMR(自律走行ロボット)なども実用化されています。注意点としては、自動化機器は初期投資が大きいためROI試算だけに捉われず、戦略的価値を長期的に評価する姿勢が必要です。導入後の運用フロー設計や人員再配置も含めた計画を立て、段階的に自動化を進めましょう。 

※参考記事「AGVとWMSの連携は必須?連携によるメリット・障害・改善事例を解説!

  • AI・データ活用による需要予測:販売予測の高度化は在庫最適化の肝です。近年はAIを活用した需要予測ソリューションも登場しています。先進企業ではGoogle社のAIとアクセンチュア開発のアルゴリズムを用い、世界中のトレンドデータと自社販売データを掛け合わせて精度の高い商品需要予測を行おうとしています。中小企業でも、まずは過去データ分析による需要パターンの把握から始めましょう。売上データの季節性やキャンペーン反応率を分析し、発注や在庫配分に反映させるだけでも効果があります。AI需要予測ツールは精度は高いもののブラックボックスになりがちなので、自社内で分析できる体制づくりも大切です。 
  • IoT・リアルタイムモニタリング:温度管理が必要な食品・医薬品物流では、IoTセンサーで庫内温湿度や輸送中の温度をリアルタイム監視し品質管理に活かす例もあります。またトラック動態管理にIoT車載器を用い、配送遅延を即座に検知して顧客連絡に繋げる仕組みも普及しつつあります。倉庫内でも在庫棚にセンサーを付けて残量を自動検知するスマート棚など、新技術によるリアルタイム監視が進んでいます。これらはWMSや輸配送システムと連携することで、更なる効率化と品質保証を可能にします。 
  • 情報標準化と共有:DXを語る上で、データの標準化と可視化は避けて通れません。システム間で商品コードや取引情報が統一されていないとせっかくのITも効果半減です。社内の基幹システム・販売システムとWMSのマスタを統合し、単一の真実(Single Source of Truth)として運用しましょう。そうすることでサプライチェーン全体で情報共有が進み、部門間連携がスムーズになります。また可視化したデータは積極的に社内外で共有し、需給調整や共同配送など共創の土台にすることも重要です。 

ローコードWMS

配送ネットワークの効率化と協業戦略

倉庫内改善と並行して、配送ネットワークの見直しも行いましょう。

  • 共同配送・地域連携:前述の通り、競合他社とも協調して物流効率を上げる動きが始まっています。ライバル企業同士でトラック輸送をシェアすれば積載率向上によるコスト削減とCO₂削減にも繋がります。「物流は個社最適から社会最適へ」というキーワードも生まれており、自社だけで抱えずプラットフォームを共有する発想が大切です。幸い日本企業はビジネス上のモラルが高く協調しやすい土壌があるため、海外よりもシェアリング成功の余地が大きいとも言われます 
  • 配送形態の多様化:消費者の生活スタイルに合わせ、配送オプションを増やすことも重要です。即日・翌日配送や日時指定はもはや標準サービスになりつつあります。さらに近年では、コンビニ受取・宅配ロッカー受取や、食品と日用品をまとめて1箱配送するといったサービスも拡大しています。自社で対応するには負担が大きい場合、宅配便各社のサービス(時間帯指定、ロッカー配達)を積極的に取り入れましょう。また、自社ECサイトで注文を受け付け、Amazonや楽天のフルフィルメントサービス(FBAや楽天スーパーロジスティクス)から配送するハイブリッドも一案です。自社物流と外部サービスを組み合わせ、顧客に選ばれる配送体験を提供しましょう。 
  • ラストワンマイルの工夫:ネットスーパーや生鮮品宅配では、ラストワンマイルを地域の遊休資産で賄う試みも現れています。静岡県の「やさいバス」は地域の集荷拠点(バス停)で生産者と購入者を結び、決まった時間に小型トラックが巡回して野菜を運ぶ仕組みです。地域輸送網をシェアすることで、新鮮な野菜を低コストで当日中に届けるモデルとして注目されています。自社単独では難しいラストマイルも、地域の他事業者やITスタートアップと連携することで解決策が見えてくるかもしれません。 

以上、物流改善の観点から倉庫内業務、デジタル技術、配送ネットワークまで広く見てきました。続いては、実際に自社物流化に踏み切った企業の事例を取り上げ、成功のポイントを探ります。

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《事例》自社物流への切り替え成功例に学ぶ

事例1:EC企業A社 – 柔軟なサービス提供のため物流内製化を決断

あるEC専業の小売企業A社(中古ゴルフ用品通販)は、顧客密着サービスが強みでした。しかし外部委託の物流ではきめ細かなサービス提供に限界を感じ、自社物流への切り替えを断行しました

A社では創業当初自社倉庫で物流を行っていましたが、事業拡大に伴い6年前に大手物流会社へ完全委託していました。しかし近年、ギフト梱包や販促物同梱、セット商品キャンペーンなど多様化する顧客要望に対し、外部委託オペレーションではスピーディな対応が困難になりました。例えばギフト包装一つとっても、委託先から見積取得→社内決裁→作業指示というプロセスで時間とコストがかかり、フットワーク軽く施策を打てない状況だったのです。またAmazonが当たり前に提供する365日出荷対応などを見据えると、従来のアウトソース体制では追随が難しいとの経営判断に至りました

こうして自社物流に舵を切ったA社は、広島の自社物流センターを開設。同時にWMS「INTER-STOCK」を新規導入して、物流業務の立ち上げを行いました。WMS選定にあたっては「地元ベンダーであること」と「柔軟なカスタマイズ性」が決め手となったと言います。実際導入後、「データベースが完全公開されていて自由に自社システムと連携できる点」「ユーザーに寄り添った柔軟な対応」で安心してシステム運用できていると高く評価しています。担当者は「これほど柔軟に対応してくれる会社は初めて」と述べており、標準機能自体は他社WMSと大差なくとも柔軟性の高さが大きな価値だったと振り返ります

効果:A社は自社物流再開から約1年で、委託時と同等レベルの物流サービス品質を実現しました。立ち上げ当初は未経験アルバイト中心の体制でしたが、大きなトラブルもなくスムーズに稼働しています。さらに稼働8ヶ月後には関東にも物流センターを増設し、わずか3日間の現地設定と教育で稼働開始できたとのことです。WMSによる管理標準化のおかげで、新拠点立ち上げも短期間で行えた好例でしょう。

課題と展望:担当者によれば、自前物流への移行直後はコスト増になったものの、作業者の習熟と改善施策で十分吸収可能と見ています。むしろ急な入出荷にも臨機応変に対応できるメリットは大きく、顧客サービス向上という観点では内製化の価値を強調しています。今後の課題は作業スピード向上とコスト最適化ですが、それも時間の問題と捉えているようです

同業者へのアドバイス:A社担当者は、物流を自社か委託か判断する際は「扱う商品の特性」で決めるべきと述べています。小さな商品であればAmazon FBAなど外部フルフィルメントが効率的だが、自社扱い商品が大きい場合やサイズ規格外の場合は自前物流が有利、と明言しています。さらに他社ブランド品のみ販売する小売業態(=自社製造品がない場合)も、自社物流にメリットが大きいとも語っています。その理由は、「自社で作っていない商品を仕入れ販売し、物流も委託してしまうと自分たちが商品に触れる機会がなくなる。商品を知らずして売ることはできない」というものです。まさに物流現場で商品に触れることで商品理解を深め、接客や販売に活かすというユニークな視点であり、物流内製化の隠れたメリットと言えます。

業種別20の改善のヒント集

事例2:メーカー系B社 – 越境EC物流を自社で構築し4年で年商100億円

もう一つの例は、日本メーカーの商品を中国市場で販売する越境EC支援ビジネスを行うB社です。B社は創業4年で売上100億円規模に急成長しており、その原動力の一つが自社物流網とWMS活用によるスピーディなEC物流でした。

B社は日本各地のメーカーから商品を買取り、中国のECモール(JD.comや天猫など)や現地卸業者へ販売しています。海外進出を目指す国内メーカーにとって、現地物流・決済・言語対応など多くのハードルがありますが、B社はそれらをワンストップのソリューションとして提供しました。特に物流面では、日本国内に埼玉と大阪の自社物流センターを構え、商品の集約・検品・中国向けラベル貼付・出荷まで一貫管理しています。この物流基盤を短期間で立ち上げるため、B社もWMS「INTER-STOCK」を導入し、埼玉センター約1ヶ月・大阪センター約半月というスピード導入を実現しました

WMS導入にあたっては、中国語対応の入荷ラベル発行機能や、同社の買取システムとのデータ連携といったカスタマイズを行い、自社業務にフィットさせています。ソースコードが開示され柔軟にカスタマイズできるセミスクラッチ型WMSだからこそ、短期間で独自要件を組み込めたと言えるでしょう。

このような物流システムと自社倉庫の構築により、B社は国内メーカーからの買取→中国向け出荷という一連の越境EC物流を効率化しました。結果、人口減による国内需要減少というリスクを乗り越え、海外需要を取り込んで急成長を遂げています。越境ECは現地物流の難しさから二の足を踏む企業も多い分野ですが、B社のように物流力を内製化し強みに変えることで、新市場開拓のチャンスを掴んだ好例と言えます。

ローコード対応WMS

インターストックのセミスクラッチWMSで実現する柔軟な物流改革

上述の事例にも登場した「INTER-STOCK(インターストック)」は、流通・小売業の自社物流化を力強く支援するWMSです。特徴は“セミスクラッチ型”と称される柔軟性の高さにあります。ここでは、物流DXの切り札となるインターストックWMSのメリットを整理します。

  • パッケージの手軽さ+スクラッチの柔軟さ:従来、WMSは既成パッケージ型とフルスクラッチ開発型に二分され、前者は安定稼働する反面カスタマイズが困難、後者は自由度高い反面コストと期間が膨大という課題がありました。インターストックは「セミスクラッチ型」とも呼ばれ、パッケージベースで短期間導入しつつ、ソースコードとデータベースを完全開示してユーザー側で自由に拡張・連携できるユニークなモデルです。このため、自社エンジニアやSIerによる機能追加・他システム連携が容易で、将来の業務変化にも柔軟に対応できます。実際、事例A社ではオープンなDBを自社基幹から直接参照する形でシステム連携し、「自由に利用させてもらい大変助かっている」と評価しています
  • 多拠点・多チャネル在庫の一元管理:インターストックWMSはマルチ拠点管理を標準サポートしています。複数の物流センターや店舗在庫を一つのシステムで管理でき、在庫情報を集中可視化します。ケーススタディのA社でも広島と関東の2拠点を同一WMSで運用し、短期間での新拠点立ち上げが可能となりました。これにより在庫融通や横持ちもスムーズになり、オムニチャネル展開に必要なリアルタイム在庫共有が実現できます。
  • 豊富な業務機能と使いやすいUI:入出庫・在庫管理といった基本機能はもちろん、ロケーション管理、ロット・賞味期限管理、バーコード検品、ハンディターミナル対応など、現場のニーズを取り入れた充実の機能群を備えています。またUI/操作性にも配慮しており、直感的で分かりやすい画面設計のため新人でも習熟が早く、生産性向上に寄与します。A社でも未経験アルバイトが多い中、大きな混乱なく稼働できたのはWMSの操作性の良さも一因でしょう。
  • 高速処理と高可用性:インターストックは「100倍の超高速処理」を掲げ、重量級のデータでもストレスなくリアルタイム処理します。またクラウド対応も可能で、堅牢なインフラ上で99.8%以上という高い稼働率を実現しています(※導入実績ベース)。物流は止まってはいけない業務なので、この信頼性は大きな安心材料です。
  • 追加開発費用0円(独自のライセンス形態):パッケージのソースを開示するだけでなく、要望に応じたカスタマイズ開発を追加費用なしで提供するユニークな方針を採っています。ユーザーの成長に合わせてシステムも共に成長するという思想で、標準機能にない特殊要件も遠慮なく相談できるのは大きな強みです。これにより、IT予算が限られる中堅企業でも導入後の機能強化が行いやすく、長く使えるWMSとなっています。

以上のように、インターストックWMSは「自社物流を強くしたい」という企業にとって心強いソリューションです。物流現場の実情を知り尽くした設計思想とユーザー本位の柔軟対応で、単なるシステム提供に留まらずパートナーとして物流改革を支えてくれるでしょう。

おわりに:2025年、物流改革で競争優位を掴もう

流通・小売業における物流の役割は、この数十年で大きく変化しました。大量仕入れ・安売り競争の時代を経て、今や顧客ニーズに合わせた迅速・柔軟な供給体制を築けるかどうかが、生き残りの鍵となっています。「第三次流通革命」とも言われる現在、DXを駆使して個々の消費者ニーズに応える物流のあり方が求められているのです

その実現には、単に外部業者任せではなく自社の物流力を鍛えることが不可欠です。自社物流への切り替えは決して容易ではありませんが、社内にノウハウが蓄積され、顧客価値を高める武器となります。まずは現状の課題を見える化し、できるところから改善をスタートしましょう。幸い本記事でご紹介したような先行事例も増えてきていますので、参考にしつつ自社に合った戦略を描いてみてください。

物流改善は一朝一夕には成し遂がりませんが、一度軌道に乗れば強力な競争優位をもたらします。 2025年の最新ノウハウを参考に、自社物流改革への第一歩を踏み出してみませんか?必要であれば専門パートナーの力も借りながら、自社史上最高の物流体制を築き上げてください。物流を制する者が市場を制する――その言葉を体現するのは、次はあなたの会社かもしれません。

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