経営者のための物流DX実践ガイド⑬ ~価値設計編~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

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経営者のための物流DX実践ガイド⑬ ~価値設計編~

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 画像素材:Graphs /PIXTA

<目次>

1.アフターコロナの物流DX

2.DXによってビジネスモデルを変革(Netflixの事例)

3.先回りして価値設計を変化させる

 


1.アフターコロナの物流DX

 

アフターコロナの物流DXは、リアルでやっていたことのオンライン化ではなく、「オンラインを前提とした価値設計」が求められます。
これまでリアルでやっていたことにオンラインを付け足すのではなく、オンラインを前提としたゼロベースのビジネルモデルを設計
するのです。今後全てがオンラインになり、オフラインがなくなる時代に向けて、自社が提供する価値を見直ししなければならない
のです。この場合、リアルは手段の一つになります。

イメージが湧かないという方もいらっしゃると思いますので、分かり易い例を挙げます。例えば、ハンコ業務を考えてみましょう。
これまでリアルで行っていたハンコ業務がオンライン化されると、電子ハンコ承認になります。最近の電子ハンコ承認のシステムは、
「お辞儀押し」にも対応しているそうです。凝ったものになると、お辞儀の角度も調節できるとか。余談でした。

では、このハンコ業務を「オンラインを前提とした価値設計」で考えるとどんなアイディアが浮かぶでしょうか。皆さんも考えてみて
下さい。私が考えたのは、「オフィスのない会社で全員がリモートワークをしており、無駄な承認業務や稟議等は一切排除して、
本当にハンコが必要なものは、リアルに捺印する」というものです。これだと、リアルなハンコが重要な書類を明示する手段の一つ
になります。

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物流業務で例えると、送り状が分かり易いかもしれません。これまで手書きで書いていた送り状をオンライン化して、自動で発行でき
るようにするのは、「リアルでやっていたことをオンライン化」するアプローチです。一方、送り状は一切発行せずに、QRコードで全ての集荷や仕分けを行う方法が「オンラインを前提とした」アプローチです。実際に欧米の企業では既にこうしたアプローチで開発が進
んでいます。

送り状もヤマト、佐川、ゆうパックなど運送会社によって全てレイアウトやルールが違って、それを間違えずに貼り付ける作業は本当
に大変ですよね。こうしたルールは無くなる、無くす前提で価値設計をしていくことが大切です。「送り状は絶対になくならないだろう」と考えいていると、「送り状を無くしてやろう」と本気で考えている人には勝てません。服でも、靴でも、20年前には誰もがネットで買わないと言っていました。Googleマップでも、あんな無謀な計画を本気でやろうとした人がいたから今があります。わずか数年で世界中の地図が写真で見れると一体どれだけの人が今を想像出来たでしょうか?


2.DXによってビジネスモデルを変革(Netflixの事例)

 

Netflixを知らない人はいるでしょうか。「ハウス・オブ・カード」や「全裸監督」などの人気コンテンツであっという間に日本で誰もが
知る動画配信サービスとして急成長しました。最近はGAFAMのかわりにFAANG※などと言われ始めましたね。

※FAANGとは、Facebook、Amazon、Apple、Netflix、Googleの5社の総称でファングと呼ぶ。

Netflixは、来店型店舗モデルのDVDレンタル事業を無店舗郵送型にディスラプト(破壊)することで、1997年に事業をスタートしました。
ユーザーは店舗に行かずにWEB画面からDVDをセレクトし、それを郵送で受け取るというサービスです。店舗モデルの大前提である
「来店」というユーザーの負担をゼロにし、24時間いつでも自宅からDVDをセレクトできるようにしたのです。

そこから急成長し、2009年までに10万の映画と1000万人のユーザーを獲得しました。ここまで成長すればこれまでのビジネスモデル
を続けていればよいと多くの人が思いますが、創業者であるヘイスティングCEOはそれを選択しませんでした。成功したDVD郵送型
のビジネスモデルをさっさと放棄して、ビデオ配信サービスという新しいビジネスモデルに変化させたのです。同社が常に世界中から
ディスラプター(破壊者)として注目されるのはこうした大胆な戦略からでしょう。

自社の強みを活かしつつ、新しいビジネスモデルをオンラインで創り出したまさにDXのお手本と言えるのではないでしょうか。
過去の成功にしがみつくことなく、常に新しいものを世に生み出していくという企業姿勢は、日本の多くの経営者にとっても学ぶべき
ところ多いと思います。

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3.先回りして価値設計を変化させる

 

これまで、企業の価値設計は基本的に変わらないものであると考えられてきました。時代や顧客のニーズに合わせて製品やサービ
スの内容に変化は加えられますが、企業が顧客に提供する基本的な価値は不変であり、業界によって縦割りに定義されてきました。
一方、デジタル時代では、不変的な一つの価値に依存し続けることは、新規の競合他社によって、破壊されてしまうことを待つことを
意味します。

Netflixが創業された1990年代は、Blockbuster※がビデオレンタル実店舗の最大手でした。彼らはNetflixのような通信販売のサブス
クリプション会社に自分たちの市場を破壊される可能性は微塵も考えていませんでした。その証拠に、Blockbusterは2000年にNetflix
を買収するチャンスがあったにも関わらず、まともな検討すらしなかったのです。

※Blockbuster・・・米国のレンタルビデオの最大手。2004年のピーク時は6万人以上の従業員で、9,000店舗以上展開していたが、
           2013年に倒産。

新しい技術によって変革が起きる時期や変革の質は業界によって異なるので、「私たちの業界はまだ大丈夫」なとど考えてしまい
がちです。しかし、そんなことを言っていると、あっという間に他の企業に付け込まれてしまいます。小さな企業であれば、明日から
でもビジネスモデルを変更できますが、Blockbusterのように大企業になってしまうとそうもいきません。新たなディスラプター(破壊者)に気付いたときは、時すでに遅しなのです。Blockbusterも最盛期からわずか9年で事業を失うことになろうとは誰も予想できなかったのですから。

物流業界はどうでしょうか?物流はこれまで差別化が難しいと考えられてきました。各社の価値の提案にほとんど違いはなく、その
ため厳しい競争の中で「完全競争」が繰り広げられてきたのです。また物流を取り巻く環境は長い間、比較的変化の少ない業界でも
ありました。法令等の規制による変化はありましたが、物流サービスの大きな破壊が行われることはありませんでした。しかし、時代
は変わりました。全く異なる業界からデジタル武装したディスラプター(破壊者)が次々に現れてきました。このような時代に、これまでと同じ価値の提案を漫然と提供し続ける選択をすることはもはや十分ではありません。

例えば、不動産業を考えてみましょう。不動産業界も長い間変化の少ない業界でした。不動産業の本質的な仕事は家の売り手と
買い手をつないで仲介することでした。しかし、デジタル時代になると、市場に出回る販売物件に直接アクセスできるようになり、
売り手と買い手はお互いをネット上で簡単に見つけれるようになりました。このままではいずれ、仲介業者の価値は消滅していく
ことでしょう。

企業がデジタル化時代に自社の価値提案をどう変化させていくのか。以下に先回りをして仕掛けていくのか。必要に迫られた時は、
すでに手遅れなのかもしれません。

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