経営者のための物流DX実践ガイド⑭ ~競争戦略編~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

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経営者のための物流DX実践ガイド⑭ ~競争戦略編~

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 画像素材:klyaksun /PIXTA

<目次>

1.迫る2024年問題を物流DXで切り抜ける

2.物流DXの実践に必要なのは勇気!?

3.従来の「競争」から自由になるチャンス

 


1.迫る2024年問題を物流DXで切り抜ける

 

人手不足を原因とした長時間労働は長い間物流業界の根本的な課題として残っています。新型コロナウイルスの感染拡大による巣ごもり需要によって、EC市場の物量が急増し、この問題はより一層深刻さを増しています。働き方改革が叫ばれる中においても、状況がよくなるどころか、以前よりも悪化して離職率も上昇している物流現場は少なくありません。

そんな中、物流業界では「2024年問題」が注目を集めています。「2024年問題」とは、2019年より政府主導で実施されていた「働き方改革関連法」が、自動車運転業務にも適用が開始されることで発生する問題のことです。「働き方改革関連法」についてはこれまで、物流業界に関係のある「車両運転業務」について、2024年までの猶予期間が与えられていました。この猶予があと3年で切れることで、様々な対応を迫られることを危惧して「2024年問題」と呼ばれているのです。

公益社団法人全日本トラック協会では、この法案に向けて、時間外労働が年960時間を超えるトラック運転者が発生する事業者の割合を2024年までにゼロにするアクションプランを策定しました。(以下図)

■時間外労働年960時間超のトラック運転者が発生する事業者の割合

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(出典:公益社団法人全日本トラック協会 トラック運送業界の働き方改革実現に向けたアクションプラン)

物流サービスは作り置きが出来ず、ドライバーの技能向上による付加価値向上も差別化が難しいので、どうしても労働時間を増やすことで売上や利益を伸ばすよう事業構造になってしまいます。物流企業が労働生産性の向上及び労働時間の短縮を図るためには、デジタル化を目指すことはもちろんですが、様々な対策の実施に並行して、新たな付加価値サービスの創出、ビジネスモデルの変革により事業者の経営改善、経営体質の強化が不可欠です。その為、物流事業者が2024年問題を切り抜けるためにも、物流DXは必須戦略だと私は考えています。


2.物流DXの実践に必要なのは勇気!?

 

物流DXの実践について、いくつかの重要な原則があります。

第一に、過去ではなく未来を選択することです。第二に問題ではなく、機会に焦点を当てることです。第三に、業界の常識ではなく、自らの方向性を持つことです。第四に無難で容易なことではなく、変革をもたらすものに照準を合わせることです。物流DXが従来のIT化とは、違うアプローチを必要とするのだとすれば、機会を中心に何を成すかを決定し、課題や問題を「決定要因」ではなく、「制約要因」にさせるということです。

デジタル化による現状の課題や問題の解決よりも、デジタル化によって機会を成果に変えることのほうがはるかに生産的であり、DXらしいアプローチであると私は考えます。こうした観点から、デジタルを駆使して自社のビジネスについて、経営者自ら意思決定する勇気を持つことが大切です。新しいことというのは、常に危険で困難であり、かつ不確実であることに変わりはありませんが、それと同じ位、もしくはそれ以上に変革を避けることの方が危険であり不確実性を高めることになります。

それでは、物流DXの必要条件とは何でしょうか?経営者は自らこの質問をすることで、物流DXを実践する上で満たすべき必要条件を明確にする必要があります。「物流をデジタル化する目的は何か」、「物流DXによって達成すべき最低限の目標は何か」、「満足させるべき必要条件は何か」を明らかにするのです。必要条件を簡潔かつ明確にするほど、物流DXによる成果は上がり、成功する可能性が高まります。逆に、いかにすぐれたアイデアであっても、満足すべき必要条件が明らかでなかったり、理解されていない場合においては、物流DXを成功させる可能性は低くなります。この辺りを子細に検討しなければならない点が、課題や問題に対してストレートにアプローチを行えばよかった従来のIT化とは決定的に異なります。

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3.従来の「競争」から自由になるチャンス

 

IT革命によってEコマースという新たなビジネスモデルが誕生し、国境や距離は消滅しました。この世界にはもはや、一つの経済、一つの市場しかありません。しかし、物流という領域には、物理的な制約が残されたままです。距離もあれば国境も存在します。「どこでもドア」が開発されない限り、この先10年、20年この制約に大きな変化はないでしょう。IT革命によって一つになった経済、市場を相手にして、国境や距離という物理的制約から自由になれない物流がデジタル化することにどれだけ社会的なインパクトがあるのでしょうか?私はこの疑問に直面したとき、ある一つの可能性に気づきました。それは、物流においては、デジタル変革によって「競争」が変わるということです。それは競争の相手、場所が変わるということです。IT革命によって、顧客が独自のネットワークを凄まじい勢いで構築し、経済を一変させたように、物流というフィジカルをデジタルによってネットワークすることで競争を一変させることが出来るのではないでしょうか。

同業者とのゼロ・サム・ゲームから、相互に影響を与え合う企業間での手綱さばきの競争に変化します。まったく異なるビジネス・モデルの企業同士が最終的な顧客への価値を創出するために、より大きなネットワークを構築します。これまで物流企業は、同じような物流他社と競争をしていたわけですが、一方で多重構造によるパートナーという関係でもありました。ここで最も大事な視点は、デジタル技術が、競合や顧客との相互作用を促進することで大きな価値を創造し、獲得できるようにするプラットフォーム型のビジネスモデルにパワーを供給できるということです。

私が言いたいのは、単にUberやAirbnbのようなフィジカルネットワークを構築して大成功したプラットフォーマーを目指そうという話ではありません。IT革命により顧客がネットワークを構築したように、物流事業者もまた、DX革命によって、新たなネットワークを構築する機会が訪れているということです。これまでは一切相手にされなかった競合企業に、デジタルを武器に新たな共創モデルを提案するチャンスなのです。

従来の「競争」という概念から自由になり、自らネットワークを構築することで、新たなビジネスモデルが生まれ、物流業界に新しい風を吹かせることができるのは、勇気ある経営者の皆さんです

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