経営者のための物流DX実践ガイド⑮ ~データ戦略編~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

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経営者のための物流DX実践ガイド⑮ ~データ戦略編~

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 画像素材:たっきー /PIXTA

<目次>

1.部分最適のKPI管理に終始する企業

2.データは新しい石油!?

3.データ戦略の前提をシフトさせる

 


1.部分最適のKPI管理に終始する企業

 

1970年代から80年代、多くの企業が当時のコンピュータ技術の進歩にともなって、販売管理、在庫管理、生産管理などの
業務プロセスにコンピュータを導入し、関連データを電算化していきました。それから1990年代に入って、企業の基幹シス
テムがERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれるようになり、販売やマーケティング、資材調達やロジスティクスなど
コンピュータ化の範囲が拡大していきました。

欧米のビジネススクールでは、物流を「オペレーションズマネジメント(OM)」、もしくは「プロダクション・アンド・オペレーション
ズ・マネジメント(POM)」の中で取り扱っています。OMの基本思想は全体最適化であり、部分最適化を推奨するものではあ
りません。OMの中で説明される「機能の階層モデル」では、ロジスティクスは経営計画と同じレベルに属します。(下図)

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経営計画に属する販売や製造は、最適な在庫管理や調達とは切っても切れない関係にあるためです。しかし、一般的な日
本企業のオペレーションを見てみると、OMの視点が取り入れられることは少なく、どちらかと言えば部門単位の「部分最適
のKPI管理」に終始してしまっているようです。システムについても同じことが言えて、ERPと物流システムが柔軟につながっ
ているか、あるいはそれらをつなぐしくみが容易に実現できているかといえば、解決すべき問題はまだまだ多そうです。

特に物流に関連する業務の標準化や、データの標準化は、ひとの習慣やノウハウ、組織の隠されたルールなど、さまざまな
暗黙知に支配されており、各企業の物流部門だけでコントロールし、最適化が図られているのが実状です。物流領域におけ
るデジタル化やITC化が遅れている要因の一つです。


2.データは新しい石油!?

 

今日のビジネスにおいて、デジタル化がこれだけ重要視されるのは、デジタル技術そのものに価値があるからではなく、デジ
タル技術によって、蓄積、分析されるデータの果たす役割が劇的に変化しているためです。つまり、「デジタル革命」とは、「デ
ータ革命」でもあるのです。企業にとって、データはこれまでも重要ではありましたが、1つの企業が扱えるデータの量は爆発的
に増えて、扱えるスピード、新たな情報源も常に拡大成長しており、イノベーションを推進する最重要資源になっています。

「データは新しい石油である」といった言葉が現代ビジネスにおいて、まるでお経のように唱えられているのもこうした理由から
です。埋もれた資産を有効活用するという点、誰も手を付けていない資源を探すという点において、石油とデータは類似点が多
いのです。

物流で収集、管理、分析されるデータそのものが企業の戦略的資産であり、新たなイノベーションと価値創出の源となりつつ
あります。今後、企業はイノベーションや新規事業及び戦略的優位性の源泉としてデータを活用する企業に進化していく必要
があるのです。


3.データ戦略の前提をシフトさせる

 

このデジタル時代に、ビジネスを成長させるには、これまで経営者が抱いていたデータに対する認識を180度変える必要があ
ります。冒頭の通り、1970年代からデータはコンピューターによって、企業の中で一定の役割を担ってきました。しかしそれは
業務プロセスの効率化や管理(ときには予測)を支援するためのものでした。つまりコンピュータによって扱われるデータの一
義的な目的は、既存業務の最適化だったのです。

データは企業内で蓄積され、企業内で活用さました。蓄積されたデータは構造化され、その活用は限定的なものでした。データ
をいかに蓄積し、管理するかに注力し、縦割りの部門の中で個別に管理され、各業務プロセスを最適化するための手段として利
用されたのです。

しかし、デジタル時代では、こうした認識を改めなければなりません。データ戦略の前提がシフトしたからです。データはあらゆる
ところで継続的、爆発的な勢いで生成され、そうしたデータにアクセスする手段は日々多様化しています。大量のデータが企業外
のソースによって絶えず生成されています。

またデータをいかに価値ある情報にするかに注力し、部門間、企業間で標準化され、連結されていきます。非構造化されたデー
タを自由に扱えるようになり、データは新たな価値創出のための無形資産となりつつあるのです。構造化されたデータをスプレッド
シート上で分析をするのではなく、非構造化されたデータをAIが扱うことで全く異なったアプローチが可能になります。

日本企業においては、特に物流現場のデジタル化が遅れているといわれます。このままでは、第4次産業革命の流れにも乗り遅れ、
既存の物流業の存在そのものが危うい状況になりかねません。

1点、注意が必要なのは、物流におけるデータの標準化は他とつながるための標準化に焦点をあてるということです。一般的に認知
されている「業務のアクティビティを標準化させる」方法は物流では推奨しません。全体最適とは、全体を同じフォーマットで標準化す
るということと必ずしもイコールではありません。大手のコンサルタントが突然やってきて、販売から生産、物流までを同じフォーマットで標準化させようと大鉈を振るうことがありますが、私はこうしたプロジェクトが成功したという話を聞いたことがありません。あくまで標準をベースとして独自の特徴を整理し、お互いの個性を認め合ったうえで、共通できる部分で連携するという発想が重要なのです。

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GoogleやFacebookなど多くのデジタル企業の巨人たちは、データが最も価値ある資産であるという認識を早くから持っており、最重要
戦略として取り組んでいます。GoogleはGoogleMapのサービス構築にあたり、ラクダの背中にカメラを積んでアラビア半島の砂漠で地
図データを蓄積しました。GoogleMapでは、常に最高の地図データを蓄積することに注力しており、現在でも最新データ更新の際には、手作業によるクリーニングを常時行っています。Googleに対抗してAppleもApple Mapを開発しましたが、地図データに十分な投資をすることがでなかったため、2012年に競争に敗北してしまいました。

では、データはGoogleやFacebookなどデジタル企業の巨人にとってのみ貴重なのでしょうか?普段、国内の荷物を決まった場所で
トラックに載せて、決まった場所に運ぶ物流ではそれほど貴重な資源ではないのでしょうか?その重要性は、事業の性質によって
若干は左右されるものの、それでも今日の物流にとってデータは重要であり、軽視することはデータを最重要視する企業に敗北する
ことを意味すると私は考えています。こうした考えは、少し大げさでしょうか?物流領域には膨大なデータがリアルタイムに流れています。
小さな企業でも、量は少なくとも物の動きをリアルタイムに捉えることができる物流データを資産として持っているはずです。今後はさまざまなタイプのデータをより多く収集し(どう活用できるかは集めた後で考える)、意思決定の予測レイヤーとして活用し、新たな製品やサービスの開発の源泉とし、他部門や他社とデータを組み合わせて、データ戦略を未来志向で策定して頂きたいと思います。

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