経営者のための物流DX実践ガイド⑯ ~実験編~|在庫管理システムならカスタマイズに強い【インターストック】

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経営者のための物流DX実践ガイド⑯ ~実験編~

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 画像素材:Anna /PIXTA

<目次>

1.商品やサービスを価値あるものにするために

2.イノベーションには「実験」プロセスが不可欠

3.正しい問いかけ「企業としてどう変わるべきか?」

 


1.商品やサービスを価値あるものにするために

 

物流業界でもDXを推進する動きが活発になっています。すぐに取り入れようと動き出す企業も今後益々増えていくこ
とでしょう。しかしながら、物流DXの実現において忘れてはならない重要なプロセスがあることを多くの経営者が知りま
せん。そのプロセスを知らないために、最初から成功や完成を急ぎ、結局インパクトの小さい変化に落ち着いてしまう
のです。

イノベーションとは、企業が市場に投入する商品やサービスをより価値あるものに変えていくことです。この時、2つの
アプローチが考えられます。1つは今ある価値を強める、もう1つは新たな価値を生みだすアプローチです。Googleに
とってのイノベーションは、Google MapやAndroidです。これまで存在しなかったサービスを市場に投入しました。これは
新たな価値を生みだすアプローチです。しかし、今ある商品やサービスをより良い形にバージョンアップさせることも、
イノベーションです。ただし、どちらの場合も市場に与えるインパクトが大きくなくてはなりません。

それぞれ異なる市場の情報を保有している2社の企業を想像してみてください。X社は物流の情報を、Y社は消費者の
購買情報を保有しています。これら2社の企業が持つ情報の情報総量は、2社のデータベースに格納されている情報
量の単なる合計値(=X+Y)ではありません。数学的には正しくても、ビジネス的には必ずしもそれが正しいとは限りませ
ん。異なるユーザー、ビジネスシナリオを抱える企業の情報にどんな関係があるのか?それらの情報を一つのデータ
として扱うことで、どのような価値が生まれるのか?このような質問を繰り返すことで新たな価値が生まれます。

誰もが知るように企業が抱える情報量は急速に増えつつあります。しかし、こうしたデータにあまり注意が払われてい
ないため、イノベーションの実行が困難になってしまっています。日本企業のデジタル成熟度については、大同小異の
意見があるとは思います。DXの波に乗り遅れまいと、多くの企業がデジタル・プロジェクトを行っていますが、それが
イノベーションに貢献しているかと言えば疑問符ではないでしょうか?物流業界は、他業界からデジタル能力の欠如を
指摘されることが多いですが、それに気づいている経営者はどれくらいいるでしょうか。

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2.イノベーションには「実験」プロセスが不可欠

 

イノベーションには、新しいアイディアを開発し、検証する「実験」が不可欠です。この実験は、市場に投入する前のプロ
セスとして行われるのではなく、市場に投入してから行われ、市場から得られるダイレクトなフィードバックによって、アイ
ディアの検証をします。

アナログ時代は、完成品にフォーカスされ、アイディアの検証は時間とコストがかかるものでした。膨大な時間とコストを
かけて市場分析を行い、アイディアを出すために社内で話し合い、完成品に向けて何段階もの品質チェックを行い、足り
ない機能があると見れば、最初の設計からやり直し、最終的に実際の顧客からフィードバックを得るには、数年の時間を
用していました。

しかし、デジタル時代においては、この実験が比較的簡単に行えます。デジタル技術を使ったA/Bテストにより、仮説検証を
低コスト、短時間で行えることが特徴です。つまり、安上がりに手っ取り早く実験が行えるデジタル時代では、実験の質より
も、実験の頻度が競争優位性の大きな要素になると私は考えています。よく、昔から言われる成功法則で、「自転車に一番
早く乗れる子は、一番多く転んだ子だ」というあの法則と同じですね。

市場からのフィードバックは、一連のプロセスのかなり早い段階から得られるので、問題を正しく特定、複数のソリューション
を試して、検証し、そこから多くのことを学ぶことが出来るのです。

自らのアイディアでどういった市場でどういったターゲットにどのような商品を投入するのかといったコンセプトを設計したら、
早々に必要最低限の機能で試作品を作って、市場に投入します。経営者はそこから顧客や市場の反応に基づいていくつか
の重要な決定を下し、新たな問いかけを自らに課すのです。ここで非常に重要な点は、イノベーションを起こせる経営者は、
正しい答えを探すのではなく、正しい質問を探すということ。そしてその質問を自身だけでなく、社員や顧客に投げかけて、
良質なフィードバックを得ることで自社の提供価値を向上させていくのです。

もし、スディーブ・ジョブスが常に正しい答えを探し求めることに人生の大半の時間を使っていたとしたら、私たちは未だに
ガラケーを使っていたかもしれません。彼は常に正しい問いかけの仕方を知っていて、かつてないほどのイノベーションを
巻き起こしたのだと私は考えます。

正しい答えを探すようになると、誰もが失敗を恐れるようになります。人も企業も正しい問いかけの繰り返しによって、失敗を
恐れず、行動することができるようになるのではないでしょうか。この考え方はイノベーションを進めていくために必要不可欠
です。当然、早い段階で市場に複数のソリューションを投入すると、細かいリスクや障害などは数えきれないほど出てくること
でしょう。しかし、それでもそれを実行に移さなければなりません。イノベイティブな企業は漏れなくそれを行っているからです。
イノベイティブな企業はいずれも”優れた成功者”である前に、”優れた実験者”なのです。

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3.正しい問いかけ「企業としてどう変わるべきか?」

 

この段階で行われる実験は商品投入後も継続的に行われるのもデジタル時代の特徴です。一旦完成品を投入したら、
それで終いではなく、常に市場からのフィードバックを検証し、改良を加え、実験を繰り返します。経営者は自らが優れ
た実験者となるために、企業としてどう変わるべきかを常に問いかけ、実験的アプローチによってもたらされる真の物
流DXについてデザインします。

私たちは学生時代、実験することによってうまくいくことと、うまくいかないことを学びました。企業が市場を相手に実験す
る目的もこれと同じです。学ぶことで選択肢と可能性を増やし、顧客や市場に価値ある商品やサービスを提供するのです。
このような手法や考え方はだいぶ以前からエリック・リース(Eric Ries)による「リーン・スタートアップ」として経営者の方で
あれば、知っている人も多いでしょう。

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ただし、ここで1点注意が必要です。物流というのは経済の足回りを支えるインフラですので、当然失敗が許されない部分が多分
にあります。商品が間違った顧客の所に届いてしまったというようなことはあってはなりません。ですから、実験の原則としては、
それを適用する領域をしっかりと見定めることです。数人のスタートアップであれば事業の全ての領域で実験を行うことは可能です
が、そうでない場合は、今回説明したような実験を全てに適用することは出来ないでしょう。そこの見極めも非常に大切であること
を理解頂いた上で、ビジネス実験に取り組んで頂ければ嬉しいです。

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