共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~理想の物流を創造~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦 ~理想の物流を創造~

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 画像素材:USSIE/PIXTA

<目次>

1.従来の成長戦略から決別、ウォルマートの覚悟

2.共同物流は改善活動ではない

3.真のイノベーションを起こすためのマインドセット

4.物流における本当のニーズ、課題とは

 


1.従来の成長戦略から決別、ウォルマートの覚悟

 

世界最大のスーパーマーケットである米国のウォルマートは店舗数の拡大による成長戦略から一転し、小売業の枠を超えた新規事業を次々にローンチして売り上げを拡大しています。2020年1月~2021年1月の間で26店舗減少して4743店となりました。全体の店舗数からすれば、わずかな減少ではありますが、1962年の創業以来、ずっと店舗数を増やし続けてきたウォルマートが2年連続で店舗数を減らしたというのは過去に例がありません。

AmazonなどのEコマース専用事業者に市場を奪われて規模を縮小しているのかと思いきや、そうではありません。何故なら、業績は順調に伸びているからです。2021年第三四半期の同社の売上高は966億ドルで前年同期比9.3%増でした。同社の最近の投資の内訳をみると、Eコマース、テクノロジー、サプライチェーンの3つに集中して投資していることがわかります。小売業の成長戦略といえば、これまで多店舗展開が当たり前でした。実際、日本の小売業界でも、ここ数十年の間に急成長したコンビニエンスストアは、多店舗展開による成長戦略の代表的な実践者です。
しかし、ウォルマートは長年自社を成長に導いた戦略と決別をしました。新たな成長戦略として、ネットスーパー事業を柱に、DXを加速させつつ、新たなビジネスを次々に創出していく方針です。またBtoBビジネスを幅広く手掛けるビジネスモデルへの転換を進めています。

 


2.共同物流は改善活動ではない

 

本章のタイトルでもある、「共同物流によるグリーン・ロジスティクスへの挑戦」は、物流の理想のシステムの創造です。理想システムの創造は改善とは全く異なります。共同物流を物流改善活動とごちゃ混ぜにしてしまうと、混乱が起こります。理想システムの創造はトップダウンです。改善活動はボトムアップです。改善活動は、現状の課題を分析し、改善ポイントを洗い出して、解決します。改善に必要になるのはIE思考です。

※IE思考・・・IE(インダストリアルエンジニアリング)は改善・改革の土台になっている考え方・分析手法のこと。

理想システムの創造は、「未来に達成する理想の姿をイメージする」ことです。このために必要なのは、現状のプロセスの理解と創造力、洞察力です。これをデザイン思考といいます。IE思考は目の前の問題に対する解決に向いており、デザイン思考は本当のニーズ、本当の問題を見つけるのに向いています。

物流業界でも、UX(ユーザー体験)、CX(顧客の体験)、EX(働いている人の体験)といったキーワードが聞かれるようになりました。多くの企業でユーザーや顧客の体験を重視し、ビジネスモデルの転換を模索しています。それは、市場が成熟しきったいま、サービスやプロダクトの価値が、値段や機能性というよりも、それを使うことによる体験価値に変わってきたからだと思います。ニーズが多様化する物流を共同で行おうとすれば、ルールの壁、文化の壁、商習慣の壁と様々な問題が複雑に絡み合い、正しい答えを見つけるのが非常に困難になります。デザイン思考を使えば、本当のニーズや問題を見つけ出し、解決することができるのです。

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(デザイン思考のモデル図)


3.真のイノベーションを起こすためのマインドセット

 

デザイン思考というと、グラフィックデザインやビジュアルのデザインといった意味を連想しますが、ここでいうデザイン(Design)とは「設計」という意味になります。つまりデザイン思考とは、本当のニーズを満たす方法、本当の問題を解決する方法を設計(Design)するための考え方ということになります。

シリコンバレーなどのスタートアップではこのデザイン思考が浸透していますが、日本ではデザイン思考が問題解決の共通言語になっていません。
弊社は物流テック企業として、物流情報システムを開発していますが、ユーザー企業と物流の問題に取り組むと、「どのようなアイデアを試すか」ではなく、「どのように進めるか」といった考え方が浸透してしまっていることを危惧しています。デザイン思考は小難しい方程式などではなく、一種のマインドセットです。日本は失敗に敏感な文化を持っています。みんな失敗しないためにピリピリ、ビクビクしながら仕事を進めています。
関わる人のマインドセットを「試しにやってみる」という風に変えることで、失敗を恐れずチャレンジできる環境を作れるのがデザイン思考の魅力です。

私は、理想の物流システムを創造するというのは、非常にクリエイティブなことだと思っています。納期や予算などに縛られ、失敗が許されない環境で真のクリエイティブな創造は実現不可能です。失敗が許されない環境ではチャレンジが出来ません。チャレンジがなければそれは価値の模型であり、価値の創造ではありません。今の時代、真のイノベーションを起こすためには、本当にユーザーや顧客が欲しているものを見つけ出し、技術とビジネスと人間が交わる部分をアイディアのスタート地点にする必要があります。

日本の物流は世界に誇れる高い技術力を有していると私は思っています。その技術力にデザイン思考を取り入れることで、より優れたイノベーションが起きることを期待しています。

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4.物流における本当のニーズ、課題とは

 

物流における本当のニーズ、本当の課題として、私は環境問題、カーボンニュートラルに貢献する「グリーン・ロジスティクス」を取り上げることにしました。「グリーン・ロジスティクス」というといかにも最近のキーワードのように感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は30年以上も前から使われていました。共同物流による物流リエンジニアリングの最終的な目的は、顧客ニーズに合った物流プロセスをつくることです。顧客ニーズを真に理解していないと、それに応えることはできません。顧客ニーズに合った物流プロセスを共同で設計(Design)し、飛躍的な効率化を実現するには、トップ主導で行わなければならないことを理解しなければなりません。共同物流は様々な壁を破らないと成功しないので、そうした権限を持っていない中間管理層がそれを実行するのは大変難しくなります。(※経営トップがそうした権限を与えている場合は別)

顧客を理解し、顧客ニーズを理解し、その根底の目的、解決したい問題がわかれば、その解決と実現に向けて「理想システムのイメージを描く」のです。この場合に大切な考え方は、あらかじめ範囲を限定したり、簡単な方法で妥協したり、解決すべき問題を狭く定義しないことが重要です。
企業の枠を超えて範囲が広がれば広がるほど、効果を発揮するのが共同物流です。したがって、共同物流による理想システムの創造は、小さな目標を設定するのではなく、より大きな善に向けて、より大きな達成目標を設定し、そのイメージを具現化し、そして失敗が許される環境で夢の実現に向けて大いに挑戦することが求められるのです。

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