ニトリに学ぶ。今さら聞けない、物流システム内製と外製のポイント|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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ニトリに学ぶ。今さら聞けない、物流システム内製と外製のポイント

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 画像素材:SashkaB /PIXTA

物流システム導入時の選択肢には2通りあります。自社で物流システムを内製するのか、それとも外部に委託するのか。世の中は常に変化し続けており、企業もその変化に柔軟に適応しながらビジネスを展開しています。その中でも、物流デジタル化戦略はビジネスの生命線であり、どちらを選択するかは企業の未来を左右する重要な決断です。今回は、日本を代表する家具や生活雑貨の小売業者であるニトリホールディングス(以下、ニトリ)の物流システム化戦略を参考にしつつ、物流システム構築の内製と外製の2つの違いを追求し、そこで浮かび上がる選択のポイントについて考察します。

2023年8月20日 執筆:東 聖也(ひがし まさや)

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<目次>

1.あるべき姿から逆算するのが”ニトリ流”

2.内製と外製の利点と欠点

3.ニトリは内製化によってデジタル文化を醸成

 


1.あるべき姿から逆算するのが”ニトリ流”

 

ニトリは2022年3月期、36期連続増益増収を達成し、あの米ウォルマートを超える世界記録を更新しました。その事業成長を牽引しているのがデジタル化です。
製造物流IT小売業を自称し、商品開発から製造、物流、販売まで一気通貫で管理するシステムは完全内製しています。一般にチェーンストア理論は、多店舗展開と本部主導のマーチャンダイジングによって、商品を安く提供することを目指す戦略手法です。しかし、この戦略の欠点は商品自体の差別化が難しくなるため価格競争に陥ることです。それに対してニトリは自社で製造することで、商品による差別化と低コスト化を実現しました。さらに、物流の抜本的な改革が低価格・高品質に欠かせないことを認識し、早くから自社物流に取り組みました。例えば、中国の物流センターでコンテナを店舗毎にまとめて出荷し、国内の物流センターは通過側(TC)とすることで国際輸送費を抑え、割高な国内物流をできる限り回避する仕組みを早くから築いたのです。

ニトリは、完全自前主義を世界で勝つための条件と考え、バリューチェーン全て自社管理することでコスト削減を可能にしています。当然デジタルも完全自前主義です。内製することで、深い業務理解とIT技術の掛け合わせを可能にしており、現場業務を一番理解している社員自ら要件定義をすることで、あるべき姿から逆算したシステムを起案できるといいます。創業者の似鳥氏は、「未来から現在を、全体から部分を決めてゆくのがニトリ流です」と著書で述べています。あるべき姿から逆算してシステムを起案するという発想も、この”ニトリ流”から生まれたことは想像に難くないでしょう。

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2.内製と外製の利点と欠点

 

物流システムを構築する際に、選択肢は大きく2つあります。「内製」と「外製」です。内製は自社でシステムを構築運用し、外製はIT専門業者に構築、運用を委託します。それぞれにはメリットとデメリットがあります。物流システムを内製するか外製するかの選択は、企業の状況やニーズによって異なるため、一概にどちらが良いと言えるわけではありません。それぞれにメリットとデメリットがありますので、以下にいくつかのポイントを挙げてみましょう。最終的な判断は、企業の戦略や状況、リソース、ニーズなどを考慮して決定することが重要です。

■物流システムを内製する場合のメリット

1. カスタマイズ可能性:自社でシステムを開発・運用することで、企業の特定のニーズや要件に合わせたカスタマイズが可能です。

2. コントロールと透明性:システムの開発や運用を自社内で行うことで、プロセスの透明性とコントロールが高まります。

3. 長期的なコスト削減:初期投資や運用コストは高くなるかもしれませんが、長期的には外部への支払いを抑え、コスト削減につながる可能性があります。

■物流システムを内製する場合のデメリット

1. 専門知識とリソースの必要性:システム開発や運用には専門的な知識とリソースが必要です。必要なスキルセットを持つ人材を確保することが難しい場合、課題となることがあります。

2. 時間と労力の消費:システムの開発や運用は時間と労力を要します。他のプロジェクトや業務に割けるリソースを考慮する必要があります。

■物流システムを外製する場合のメリット

1. 専門知識とノウハウの利用:物流システムの外製先は専門知識やノウハウを持っていることが多く、効率的なシステムを提供してくれる可能性があります。

2. 素早い導入:外部のプロバイダーが既にシステムを持っている場合、導入までの時間が短縮される可能性があります。

3. リスクの分散:システムの運用やメンテナンスに関するリスクを外部へ委託することで、自社内でのリスクを軽減できる可能性があります。

■物流システムを外製する場合のデメリット

1. カスタマイズの難しさ:外部プロバイダーのシステムは、企業の特定の要件に合わせたカスタマイズが難しい場合があります。

2. 依存度の増加:外部プロバイダーに依存するため、サービス品質や提供の安定性に影響を受ける可能性があります。

3. コストの見えにくさ:アウトソーシング契約の際に全てのコストが明確でない場合、契約後に予期せぬ追加コストが発生することがあります。

最終的な選択に際しては、企業の目標、リソース、専門知識、リスクの許容度などを総合的に検討し、内製か外製かの選択を行うことが重要です。また、外製の場合でも信頼性の高いプロバイダーを選ぶことや、内製の場合でも十分なリソースと専門知識を確保することが成功のカギとなります。

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3.ニトリは内製化によってデジタル文化を醸成

 

ニトリは8~9割の領域はフルスクラッチで基幹システムをコーディングしています。完全内製化することにより、1日に5件以上の新機能を高速にリリースしています。
つまり、毎日システムが進化しているということになります。このようなスピードに加えて、ノウハウの蓄積やIT人材の育成も同社の強みになっています。上流からシステム構築、運用まで外部のプロバイダーに任せることなく、可能な限り内製することで、デジタル文化の醸成をおこなっているのです。

デジタルが事業を牽引する要になる時代になりました。テクノロジーの進化でデジタルディスラプションが起こる中、企業のデジタル戦略は内製と外製に進むべき道が分かれています。さて、あなたの会社はどちらを選択しますか?

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