【3大クラウドを徹底比較!】WMSに最適なクラウドサービスを選ぶ6つのポイント①|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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【3大クラウドを徹底比較!】WMSに最適なクラウドサービスを選ぶ6つのポイント①

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画像素材: Graphs / PIXTA

 

<目次>

1.WMSをクラウドに移行する企業が急増

2.そもそもクラウドに移行するメリットは?

3.クラウドにデメリットはない?

4.まとめ

 

1.WMSをクラウドに移行する企業が急増

 

クラウド全盛のいま、倉庫管理システム(WMS)や在庫管理システム(IMS)などの物流システムをクラウドに移行する企業が急増しています。現在稼働しているオンプレミスのWMSをそのままクラウドに移設する場合もあれば、新たにクラウド上で稼働するWMSのパッケージにリプレイスする場合もあります。
※オンプレミス・・・自社内に物理サーバーを置くこと

多くの企業がWMSをクラウドに移行する中で、これから移行を検討する企業も多い思います。しかし、世の中には数多くのクラウドサービスが提供されています。WMSをクラウド化する際に、どのサービスを選ぶのが最適なのかきっと悩まれると思います。

米調査会社のSynergy Research Groupが発表した2019年第3四半期におけるクラウドサービス市場の調査結果によると、1位がAmazonが提供するAWS(Amazon Web Service)で40%、2位がMicrosoftのAzureで20%弱、3位がGoogleのGCP(Google Cloud Platform)で10%弱、その他IBM、Oracle、Tencent等合わせて30%となっています。

 

■2019年第3四半期クラウドサービス市場調査グラフ

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※Synergy Research Group作成 2019年第3四半期クラウドサービス市場調査を元に筆者作成

本テーマでは、マーケットリーダーである市場シェア上位3社のAWS、GCP、Azureという3大クラウドを比較して、WMSを移行するのに最適なクラウドサービスを選ぶポイントについて2回に分けてご紹介します。

 

2.そもそもクラウドに移行するメリットは?

 

3大クラウドを比較する前に、そもそもクラウドに移行するメリットは何かについて少しご紹介しておきます。
メリットは大きく4つあります。

 

■メリット1:コストパフォーマンスが高い

まずは何といってもコストパフォーマンスが高いことです。オンプレミスの場合、サーバーを構築する際の初期費用が発生します。サーバーのスペックやバックアップ構成にもよりますが、数十万円~数百万円の費用がかかるのが一般的です。

クラウドの場合従量制により月額費用なので、初期費用が一切不要です。またマーケットリーダーによる価格競争も激化しており、月額数万円でハイスペック&高セキュリティなサーバーを利用可能です。

 

■メリット2:高いスケーラビリティ

2つ目のメリットが高いスケーラビリティ(拡張性)です。たとえば、大規模なEC物流でWMSを稼働させる場合、セール時期になると出荷ボリュームが急増し、サーバの処理が追いつかない事があります。オンプレミスの場合は物理的にサーバーを替えるか、CPUやメモリを拡張するといったことが必要になりますが、クラウドであれば一時的にサーバースペックをあげて大量の出荷指示を処理させるといったことも可能です。

また事業の成長に合わせてサーバーのスペックを上げたり下げたり出来るので、中長期的な運用を考えた場合にはクラウドの方が断然メリットがあります。スタートアップ企業がこぞって自社のシステムをクラウドにするのもそうした理由からです。

 

■メリット3:情報共有が容易

3つ目のメリットは、情報共有が簡単に行えるようになることです。インターネット回線さえあれば、どこからでも社内の情報にアクセスできます。スマフォやタブレットで客先から営業担当者がリアルタイムに在庫情報や出荷情報を確認することも可能になります。データの民主化を見据えた物流デジタル化を進める上では重要な意味を持つ特徴と言えるでしょう。

 

■メリット4:高いセキュリティ

クラウドについては、セキュリティ面での不安から移行に踏み切れないというケースをよく耳にします。「企業の機密情報や個人情報をインターネット上に公開するなんて不安だ」という気持ちはよ~く分かります。しかし、実際には全くその逆なのです。

例えば、AWSのセキュリティを見てみると、ISO27001(情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格)やPCIDSS(機密情報のセキュリティ基準)といった、情報セキュリティに関する認証を取得するだけではなく、DDos攻撃(複数のコンピュータから特定のシステムに多大な負荷をかけるサイバー攻撃)に対する保護サービスや仮想プライベートクラウドのサービスも提供しています。

また世界トップクラスのセキュリティのスペシャリスト集団によって、常に最新のセキュリティ対策を幾重にも行い管理運営されています。自社のオンプレミスのサーバーであれば、市販のウイルス対策ソフトをインストールしておしまいなんてことも多いですよね。

これだけのセキュリティを自前で構築するとなると、数千万円の費用が必要になります。つまり、中小企業でもお手軽に大企業並みの高いセキュリティでシステム運用が可能になるのがクラウドなのです。

最近では企業のセキュリティ対策コストが年々増加傾向にあります。情報漏洩を防ぐために自社サーバーからクラウドにデータを移管する企業も増えています。

国内メガバンクである三菱UFJファイナンシャルグループもクラウドの本格活用を決定したことを考えると、クラウドのセキュリティ堅牢性は十分であると判断して間違いないでしょう。

 

3.クラウドにデメリットはない?

 

ここまで見るとクラウドのデメリットが全くないようにも思えますが、唯一上げるとするとカスタマイズ性が低いことでしょうか。自前でサーバーを構築する場合は自由に構成ができますが、クラウドの場合はサービス提供会社が用意している範囲内でのカスタマイズに限定されてしまいます。以下にオンプレミスとクラウドの比較を簡単に表にまとめましたので参考にして下さい

■オンプレミスとクラウドの比較

 

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4.まとめ

 

「チーズはどこに消えた?」の著者であるスペンサー・ジョンソンは「変化とは何かを失うことではなく、何かを得ること」と言いました。自社システムをオンプレミスからクラウドの移行になかなか踏み切れない企業も、本稿をきっかけにクラウド化が進むことを期待します。

決してクラウドが万能であるというわけではありませんが、企業が物流デジタル化進めていく上で、クラウドの活用は今後欠かすことは出来ないでしょう。リアルな物流情報を自社だけはなく、クラウド上で他社と共有することで見えてくるイノベーションもあると思います。自社システムをどこまでクラウド化するのかを決め、コストメリットや運用方針、今後の事業戦略などをトータル的に判断してクラウド化の方針を決めて頂きたいと思います。次回に続きます。

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