「物流品質を上げる」~管理項目と品質管理手法の基本⑤~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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「物流品質を上げる」~管理項目と品質管理手法の基本⑤~

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 画像素材:Macrovector/PIXTA

<目次>

1.顧客の期待から品質を定義する

2.核となるプロセスを実地検証する

3.品質管理リーダーを育成する


1.顧客の期待から品質を定義する

 

今回も物流プロセスのコストの削減および品質の改善について触れたいと思います。物流サービスの提供方法に
おいて詳細なステップを一つ一つ改善することが出来れば、物流全体のコストと品質を改善することができる点に
ついては既に十分に理解されていることと思います。また、物流の品質問題は一夜で解決できるような簡単な問
題ではないことも承知の上でしょう。

品質管理は物流機関が真摯に取り組むべき長期の戦略方針です。品質改善は「完璧」という捕らえどころのない目
標に向かって、際限なく継続していく取り組みなのです。

この捕らえどころのない目標について、定義づけが必要になります。品質を定義するには、顧客の期待からその価
値を探り当てます。在庫の精度が高い、タイムリーな報告がある、時間を守る、丁寧な作業、などです。

顧客が何を期待しているのかを明確にするために、調査をしましょう。サービスの質や料金について顧客に聞いて
下さい。顧客が何を、いつ、どこで、どのくらい必要としているのかを明らかにするのです。大型で派手な物流
センターは、顧客にとって本当の価値を提供するものでしょうか?豪華なホテルの様なロビーは、顧客に本当の
価値を提供するのでしょうか?物流機関の本質的な目標とは何でしょうか?

物流企業の経営者や役員は、これらの質問に答えるために顧客の声に耳を傾ける必要があります。

顧客の期待を調査できたら、続いて顧客に提供する価値の流れを書き出してみましょう。顧客がオーダーしてから、
モノが最終目的地に届くまでに、顧客に提供することが求められるすべての活動をマップ上に描くのです。

顧客の価値の流れのマップは3つのカテゴリーに分類されます。「明確に顧客に付加価値を提供するもの」、「自社
に価値はあるが、顧客に価値を提供しないもの」、「自社にも顧客にも価値を提供しないもの」です。

いったん顧客の価値の流れが書けたら、付加価値を提供しないすべての処置をやめて、付加価値を提供する活動を
行う時間を増やすことを検討しましょう。

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2.核となるプロセスを実地検証する

 

経営者自ら物流現場の仕事のプロセスを見に行ってほしいと思います。たとえ観察に数日かかろうとも、物流作業の
すべてのプロセスを理解しましょう。経営会議に上がってくる数字を見ていても、現場で何が起こっているかは分か
りません。可能であれば、より一層理解するために物流の作業を経営者が実際にやってみることも検討してみてくだ
さい。

経営者や管理者が物流のすべての業務に精通することで、価値を生まない業務を特定し、社員に付加価値のある業務
を行わせることが出来ます。

自ら物流データを確認し、自ら確認した経験と観察から、全員でプロセスについて考え、話し合い、改善します。
経営者や役員が、プロセスを定期的かつ詳細に観察し、改善を目標とし、そしてその改善を達成して維持しているこ
とを確認しましょう。ムダをなくし継続的な流れを作ることに集中しましょう。時間を設けて注意深く観察すれば、
そこで見えてきたものにびっくりすることでしょう。

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3.品質管理リーダーを育成する

 

品質管理を推進するには現場のリーダーを育成する必要があります。品質管理のリーダーになることは何を意味するの
でしょうか?そして、経営者が望む真のリーダーとはどのような存在でしょうか?

品質管理リーダーは、品質、サービス、価格、顧客と現場作業者の満足の双方に注目しなければなりません。
彼らは付加価値を生まない作業やムダ、ミスをなくし続け、顧客が継続して価値を得られるようにしなければなりません。
彼らは将来の成長、市場シェア、そして利益を確実にするために絶え間なく改善します。そして、ビジネスの一部を
個人的に所有しているかのように大いに尊重と共感を持って管理にあたります。

このリーダーは、現場の作業者の経験と知識を大いに尊重し、より良く標準化されたプロセスを作るために、自分の仕事
を改善する裁量を現場作業者に与えます。そして最終的に世界水準の物流を実現するために実験を促進し、失敗を許容
して失敗から学ぶことを推奨し、価値の流れを継続的に改善する責任を持つのです。

さらにこのリーダーは、会社に対して現在の価値の流れの状況を明確にし、改善した未来の状態を提案し、それを実行
する責任を与えられることを望み、完璧を追求しながらこれらのことを繰り返し実行するのです。

さて、経営者はこのようなリーダーをどのようにして育成すれば良いのでしょうか?高額なコンサルタントに依頼して
任せるのでしょうか?すでにこのような資質を兼ね備えた人材をヘッドハントするのでしょうか?

何よりも重要なことは、彼らに考えさせ、仕事を改善する主導権を与え、継続した改善が顧客にとって価値を生みだす
ということを確信させることです。

最高品質、最低コスト、そして最短のリードタイムをもたらすシステムのために、経営者は彼らと一緒になって努力
します。それが何よりの教育であり、一見遠回りのように思えるこうした方法が最短の近道なのです。

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品質管理リーダーに求められる資質をいくつか以下に紹介します。

1.品質とコストを改善するための3~5年の戦略的計画を作成できる
2.継続的なプロセス改善に重点的に取り組める
3.定期的に現場を観察する時間を持てる
4.問題を浮き彫りにし、流れを改善できる
5.現場作業者の貢献を尊重し、奨励できる
6.現場作業者の経験と知識を尊重できる
7.プロセス改善に取り組み、責任追及や非難を避ける
8.現場の共感を得ることができる

こうしたリーダーのもとで働く現場作業者は、チームを信頼し、自分たちが信頼されていると感じ、自らがチーム
に貢献をしようと努力し、自分たちに品質改善の中心にいることを自覚して最高のパフォーマンスを発揮します。

品質管理の基本は、社員の尊重、責任ある経営者のリーダーシップ、継続的改善、共感を得られる方法によって、
活気的な雰囲気を保ち続けることにあります。

経営者はそれを毎日繰り返すのです。

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