“今すぐ実務に役立つ” 物流センター運営の教科書 ~サービス水準の設定~|オープンソースの倉庫管理システム(WMS)【インターストック】

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"今すぐ実務に役立つ" 物流センター運営の教科書 ~サービス水準の設定~

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 画像素材:yukipon/PIXTA

<目次>

1.サービス水準の設定が出発点

2.全体を理解した上で、処理基準をルール化

3.水準を設定し、遂行あるのみ

4.マーケティング視点で経営トップが決めよ

 

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1.サービス水準の設定が出発点

 

物流の基本システムは、生産拠点と顧客があって、物流拠点(または配送センター)への商品供給のための「輸送」と、物流拠点における「作業」と、物流拠点から顧客へ商品の「配送」という三要素から成り立っています。この物流システムは生産拠点からみれば「販売物流」であり、この生産拠点には素材工場、部品生産者からの「調達物流」があります。このように物流の基本システムは、「調達物流」と「販売物流」の連鎖によって成立していることがわかります。

さらに物流拠点では商品の「保管」、顧客の注文に応じた商品のピッキング・値付け・包装といった「流通加工」や、輸送・配送の「荷役」といった作業が行われます。生産拠点や仕入先は何カ所もあるのが普通であり、顧客数も数千から数万件というのが一般的です。これらを結ぶのが物流センターで、これも最低一カ所から多いと数十カ所にもなり、拠点数が多ければ多いほど、基本システムがシンプルでも、全体のシステムはとても複雑になります。

物流センターの全体的な運営を設計する際、ミクロ的なセンター内のピッキングや流通加工といった物流作業の合理化・改善に取り組む前に、こうしたシステム全体をマクロ的な視点から検討することがとても重要です。物流システム全体の設計を行う場合、柱となるのが物流拠点の配置です。
受注後何時間で、あるいは何日間で届けなければならないかという、物流サービス水準、いわゆるリードタイム(納期)が非常に重要になります。

一般的にはリードタイムが短ければ短いほど拠点の数が増えて、顧客に近い場所に拠点を配置しなければなりません。リードタイムは、顧客からの注文単位の大きさや配送のやり方によっても影響を受けます。物流システムは物流サービス水準が前提となり、この水準を達成するために、各コンポーネントの組み合わせや、その内部の業務処理の作業手順の改善や機械化をすることになります。

つまり、物流システムを構築する出発点は、物流サービス水準の設定であるということです。そして、この与えられた物流サービス水準を、最低の物流コストで達成するというのが各物流センターの目標になります。さらに、これからのロジスティクスとしての物流システムは、経営のトータル・システムです。「間断なきROIの向上」を目指してシステム化に挑戦しなければなりません。

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2.全体を理解した上で、処理基準をルール化

 

最低の物流コストで設定された物流サービス水準を達成するには、ピッキング作業、物流加工、輸送・配送の方法などが検討され、一定の処理基準がルール化されなければなりません。そして経営のROI向上のために、在庫を削減しつつも売上増を推進し、その物流サービス水準に顧客が満足して注文や売上がさらに増加し、保管在庫が適正在庫になるようにシステム化しなければならないのです。

しかし、多くの物流センターでは、多品種・多頻度・少量の物流に対応するために混乱し、コスト増に悩まされているのが実状です。その最たる要因は、ここまで述べたような物流全体のシステムの関係をよく理解しないまま、ミクロ的に標準化、組織化を急いだことによって、結果として物流活動の秩序が失われているのです。

受注から顧客への納品にいたる各段階を理解した上で、それを標準化するための処理基準をまずはつくり、その基準に基づいて物流を管理できるしくみを構築することが、正しい標準化でありシステム化です。顧客の要望する物流サービス水準を満たすためには、いくら費用がかかってもよいというわけにはいきませんから、コストの枠をはめてシステム化を検討することが求められます。このように物流を狭義に考えても広義にに考えても、物流のシステム化の出発点は顧客の物流に対するニーズの把握です。そのニーズを把握し、物流サービス水準を設定し、その処理基準を決めることが物流全体のシステム化のはじまりなのです。

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3.水準を設定し、遂行あるのみ

 

まず、受注の時間帯(曜日)、受注に当たっての最低数量・納期・付帯サービスの範囲などをルール化します。たとえば、注文を受ける時間帯を設けるのか、オンラインによって24時間いつでも受注を受け付けるのかなどです。また受注する場合、ピース単位でも受けるのか、ケース単位でしか受けないのかなど一定のラインを決めます。それ以外にも、受注した商品はいつまでに納品するのか、納品時の包装や値付けのサービスなどはどの程度まで対応するのか、といった処理基準を定めていきます。サービス水準を高くして、顧客のニーズには何でも対応しますといっても、その処理基準のルールを決めることは必要です。ルールがなければ物流システムの設計ができません。このルールがないと、システムが組めないのみならず、コストの上昇はとどまることなく続くことになってしまいます。いかに物流サービス高度化の時代といっても、”いつでも、どこでも、なんでも”やります、届けますというわけにはいきません。物流サービス水準を設定し、処理基準を定めたら、あとは企業戦略としてその通りに遂行しなければなりません。


4.マーケティング視点で経営トップが決めよ

 

ところで、企業戦略としてこの物流サービス水準を決めるのは誰でしょうか?現在は物流は企業の最重要戦略として位置付けされていますので、物流部門単独では判断できない時代になっています。それを決めるのは経営トップです。ただし、”顧客”の意見をしっかりと聞いて、他社との差別化を図りつつ十分に検討をしなければなりません。またBtoBであれば、サービス相手は取引先になりますので、社内の販売部門が取引先の了解を得て決める必要があります。企業競争に勝ち抜くために、ライバル企業がどのような物流サービス水準を設定しているかを調査して、それ以上のサービス水準で顧客ニーズを満たす条件を探索しましょう。ここでポイントとなるのは、顧客によって、または配送する商品の種類によって、顧客の要望する物流サービスレベルが異なるということです。例えば、生産材と消費材とでは全く物流ニーズは異なります。前者は納期の遵守を求め、後者は流通加工などが求められます。このため、物流にもマーケティングの観点が必要となるのですが、この辺りについてはまた別の機会で解説したいと思います。

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